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心霊スポットの話/肝試しの結果

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 暴れるとか絡み酒なんかは例外だが、俺はよく知らない人と飲む事に躊躇いはない。だから飲みサーと化したオカ研にすすんで入った。こだわらないと言うか仲間意識が薄いと言うか、部員の増減は激しくて飲み会見覚えのない人が数人混じってても誰も頓着しない。
 なのでその先輩(以下ニシムロ)を俺はたまーに来る幽霊部員未満の人だと思ってたら、部長の知人だったと後で聞いた。素面でもチャラいが酔うともっとチャラい。一応オカルトという事で怪談話になり、俺は文芸部の友人(以下お清さん)から聞いた話(了承済み)を語った。それなりとウケ、ニシムロ先輩に友人の事を聞かれた。ベラベラ喋るわけにもいかず、まあなんていうか怖い話が好きな子ですよとふわっと教える。

「こっくりさんしたり心霊スポット行ったりしてるの?」

 怖い話は好きだが、試したり突撃はしていないようだ。自己暗示や不法侵入、よくよく考えたら後が怖いもんな。するとニシムロ先輩はいきなりディスりだした。俺らにではない、お清さんに。

「降霊術もやらない心霊スポットにもいかないなんて、それでよくオカルトマニアを名乗れるな!」

 別にお清さん自称してないし、ホラハラしないし、人畜無害だ。酒がよくない方に回ったニシムロ先輩は店員が注意しにこないか心配になるくらいお清さんをコケにして、最悪な雰囲気のまま飲み会はお開きとなった。

「お前、金積まれてもお清さんとやらに引き合わせるなよ。脅されたら相談しろ」

 他の先輩に釘をさされたが言われるまでもない。俺含めて大半の部員が暫らく飲み会イイヤーな空気になっていた頃、バイト仲間で飲みに行った。すると友人とのグループLINEとニシムロ先輩からメッセージがきた。

「先輩とうとうやらかしたっぽい」
「今からお清ちゃんと××橋に行ってきます(笑)」

 一人で行かない方がいいと誰もが念を押すヤバめの心霊スポットだ。うわーまずいヤバイとお清さんと同郷のバイト仲間に頼れば、キョトンとされた。

「お清さんなら今地元の祭りに行ってるよ」

 彼女のインスタを確認すると、リアルタイムの写真や映像が投稿されている。××橋の周辺は交通手段は限られており、最速の方法を使っても片道二時間は確実にかかる。

「ハッタリじゃない? それかドッペルゲンガー」

 ニヤニヤ笑う彼女に、お清さん無事そうならいっかと安否確認できたとグループLINEに適当な返信して飲み会を堪能した。その後のニシムロ先輩はバイクのノーヘル&飲酒運転で捕まったらしい。誰もいないのに「二人で来た」と何度も主張してヤク中じゃないかと疑われたとか何とか。
  そして、同時刻にSNSに投稿されたノーヘル男がバイクの後ろに女を乗せて爆走している短い動画も関係があるかは、すぐ削除されたので俺は噂しか知らないままだ。
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