三色の日常(1/19更新)

狂言巡

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海辺にて【あったかもしれない世界】

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 銀髪の少女が、海を見ていました。たくさんの子供達が海で遊んでいる中、浜辺に差してある海色のパラソルの下で、海を見つめていました。隣に座っている少女は本に夢中です。二人の表情は其処に座ってからずっと変わっていないので、楽しいのか退屈なのかは、本人以外判らないでしょう。そんな女の子達を、小麦色の肌の少年が海の中から見ていました。

(何が楽しいんだろう?)

 三人とも同じ事を思っていました。小麦色の肌をした少年は、二人の少女の方へ歩き出しました。
 すぐに気付いたようですが、黒髪の少女は知らぬ顔の半兵衛を貫き、銀髪の少女は難癖をつけてくるかもしれないと内心不安でいっぱいです。
 小麦色の肌の少年は、二人の少女の目の前まで来て言いました。

「お前らも来いよ」
「やだ」

 目も合わせない黒髪の少女の態度はつれません。

「なんで?」
「日に焼けるから……」

 黒髪の少女は実に嫌そうな顔を少しだけ少年に向け、また本に顔を戻しました。そんな態度にちっとも嫌そうじゃない顔の少年は言いました。

「じゃーよ、一緒に潜ろうぜ。海」
「何で?」
「水の中なら焼けないだろ?」
「まあ、そうだけど……」
「じゃあ一緒に行こう」

 敵意がないと察した銀髪の少女がそわそわし始めました。

「すっげー綺麗なんだぞー海の中。魚とかサンゴとか」
「…………」

 まだ少し渋っているような顔をしている黒髪の少女を他所に、小麦色の肌の少年は二人の手を引っ張ってパラソルから出し、ずんずんと海へ歩いていきます。黒髪の少女は小麦色の肌の少年に引きずられながらも、やれやれとあんまり嫌そうじゃない顔をしました。銀髪の少女は誘ってもらえてウキウキです。そして三人は海に入って、たくさん一緒に遊びました。
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