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眠る(夫婦期)
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何かと対峙する為に縋りきたい存在を欲しているのなら求めればいい。愛しい人が、どんな理由でも自分を求めて手を伸ばせばいい。それこそが至福だと。
「大丈夫、大丈夫」
柔らかな髪を梳いて撫でるたび、蓮の掌なら簡単に掴んでしまえそうな頭はゆるゆると重みを増して腕枕へと沈んでゆく。日頃見る奇想天外な振る舞いとはまた違う様子に柔い優越感が満ちてゆく。眠りへと誘うように繰り返し呟く「大丈夫」という言葉に、脳裏で『本当に大丈夫なワケあるか』という一抹の卑屈な声も灯ったが、それは唇をきつく結ぶ事で為りを潜めた。
嘘でも並べ立てていなければ、やっていられないだろう。彼女はもう、嘘で金継された歪な世界でしか存在できいないのだから。
「大丈夫、大丈夫」
揺れる華奢な肩を叩く。眠たげに落ちて行くその頭がふれる鎖骨あたりに、じわりと滲む涙の温もりを感じて少しだけ奥歯を噛み締めた。勿論、朝が来ればこんな他愛のない嘘の言葉など一斉に吹き飛んでしまい、彼女は理不尽な現実と戦うしかない。
「……大丈夫」
それでも、蓮は全てから彼女を守りたい。揺らすような緩慢な動きでその背中を大きく撫でる。オニキスの瞳が自分を見つめながら、青白い瞼がゆるゆると閉ざされて行く。
「先に眠っていて」
「直ぐに追い付くから」
彼女が最期の眠りにつく時も、同じ言葉を囁けたらいい。
「大丈夫、大丈夫」
柔らかな髪を梳いて撫でるたび、蓮の掌なら簡単に掴んでしまえそうな頭はゆるゆると重みを増して腕枕へと沈んでゆく。日頃見る奇想天外な振る舞いとはまた違う様子に柔い優越感が満ちてゆく。眠りへと誘うように繰り返し呟く「大丈夫」という言葉に、脳裏で『本当に大丈夫なワケあるか』という一抹の卑屈な声も灯ったが、それは唇をきつく結ぶ事で為りを潜めた。
嘘でも並べ立てていなければ、やっていられないだろう。彼女はもう、嘘で金継された歪な世界でしか存在できいないのだから。
「大丈夫、大丈夫」
揺れる華奢な肩を叩く。眠たげに落ちて行くその頭がふれる鎖骨あたりに、じわりと滲む涙の温もりを感じて少しだけ奥歯を噛み締めた。勿論、朝が来ればこんな他愛のない嘘の言葉など一斉に吹き飛んでしまい、彼女は理不尽な現実と戦うしかない。
「……大丈夫」
それでも、蓮は全てから彼女を守りたい。揺らすような緩慢な動きでその背中を大きく撫でる。オニキスの瞳が自分を見つめながら、青白い瞼がゆるゆると閉ざされて行く。
「先に眠っていて」
「直ぐに追い付くから」
彼女が最期の眠りにつく時も、同じ言葉を囁けたらいい。
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