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狂言巡

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期待

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 突然、嘉興の唇が激しく求めてきた。貪るようなキスを施されたままの聖美はベッドへ仰向けにひっくり返される。足の間に嘉興の体が素早くねじ込まれて、ざらりと彼の長い髪が垂れてきた。あっという間に下着が脱がされ、嘉興の掌が乳房を包んでゆっくり揉みしだく。

「う、」

 声を殺して身を固くした聖美の皮膚が、その先を予期して徐々に火照ってきた。組み敷いた男の手管を知っているから。その所為で、躰に情念の火が灯るのも早かった。嘉興がどう自分を暴いて、どう攻め込んでくるか……。聖美はよく知っている。その予感じみた期待は、燃え盛る火に注がれる油と同等であった。
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