10 / 15
共鳴/海賊と商人
しおりを挟む
上陸してすぐ喧嘩を売られた。ビートは父の血を目覚めさせて獣型になり、手っ取り早く片付けた。そのままの姿で残党が居ないか確かめていると、歩み寄る者が居る。牙を剥いて威嚇するも、若い女は一切怯まない。それどころかビートの鼻先まで来て、こちらを見上げた。その顔に見覚えがある。【深淵の傀儡師】コロンだ。軽々しく戦闘を仕掛けるわけにはいかず、ビートは彼女の出方を窺う。傀儡師は細い指先を獣の口に伸ばした。ビートが面喰らって動けないのをいい事に、血塗れの牙をなぞる。
「なんて素敵なの。竜の方、私の船に乗って下さい」
コイツ、何を言い出すんだ。自分の正体はバレていないようなので、逃げる事にした。仲間と合流したビートは、連絡も一人で戦った事を咎められる。平謝りしながら、宿の浴室に逃げ込んだ。傀儡師の事があるので、この島では変身を控えようと決める。夕方、皆と食事に向かう途中で傀儡師の一団と鉢合わせた。商人にとって海賊は天敵である。ビート一味は殺気立つ彼らを無視し、すれ違うおうとする。その行く手をコロンが遮った。
「何か用か?」
素知らぬふりで尋ねる。コロンは目尻を釣り上げて応えた。
「無視するなんて酷い人ですね。私と貴女の相性はいいんです。もう一度申し上げますが、私の船に乗りなさい」
双方にどよめきが広がる。ビートも酷く動揺した。
「俺の正体を知った上で声を掛けたのか!?」
「今知ったばかりです」
コロンは涼しい顔で返す。しまった、服装や刺青でバレたか。そう考えたビートだったが、どうやら違うらしい。
「姿は変えられても、魂は誤魔化せない。特に、こんなに美しい波動は稀ですから」
よく解らないが、取り敢えず褒められているようだ。それにコイツ、噂で聞いたのとずいぶん違っている。
まずは一晩食事でも……。ビートの誘いを傀儡師は受けた。名前はコロン。よく調べて、結果によっては……様々な計算をしていると、コロンが隣に立った。その横顔が美しくて、思考が途切れる。
「逃がしませんよ、竜の方」
――嗚呼、傀儡師はやはり恐ろしい女なのだ。怪しい術でも使ったに違いない。でなければこの自分が……。
「なんて素敵なの。竜の方、私の船に乗って下さい」
コイツ、何を言い出すんだ。自分の正体はバレていないようなので、逃げる事にした。仲間と合流したビートは、連絡も一人で戦った事を咎められる。平謝りしながら、宿の浴室に逃げ込んだ。傀儡師の事があるので、この島では変身を控えようと決める。夕方、皆と食事に向かう途中で傀儡師の一団と鉢合わせた。商人にとって海賊は天敵である。ビート一味は殺気立つ彼らを無視し、すれ違うおうとする。その行く手をコロンが遮った。
「何か用か?」
素知らぬふりで尋ねる。コロンは目尻を釣り上げて応えた。
「無視するなんて酷い人ですね。私と貴女の相性はいいんです。もう一度申し上げますが、私の船に乗りなさい」
双方にどよめきが広がる。ビートも酷く動揺した。
「俺の正体を知った上で声を掛けたのか!?」
「今知ったばかりです」
コロンは涼しい顔で返す。しまった、服装や刺青でバレたか。そう考えたビートだったが、どうやら違うらしい。
「姿は変えられても、魂は誤魔化せない。特に、こんなに美しい波動は稀ですから」
よく解らないが、取り敢えず褒められているようだ。それにコイツ、噂で聞いたのとずいぶん違っている。
まずは一晩食事でも……。ビートの誘いを傀儡師は受けた。名前はコロン。よく調べて、結果によっては……様々な計算をしていると、コロンが隣に立った。その横顔が美しくて、思考が途切れる。
「逃がしませんよ、竜の方」
――嗚呼、傀儡師はやはり恐ろしい女なのだ。怪しい術でも使ったに違いない。でなければこの自分が……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる