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共鳴/海賊と商人
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上陸してすぐ喧嘩を売られた。ビートは父の血を目覚めさせて獣型になり、手っ取り早く片付けた。そのままの姿で残党が居ないか確かめていると、歩み寄る者が居る。牙を剥いて威嚇するも、若い女は一切怯まない。それどころかビートの鼻先まで来て、こちらを見上げた。その顔に見覚えがある。【深淵の傀儡師】コロンだ。軽々しく戦闘を仕掛けるわけにはいかず、ビートは彼女の出方を窺う。傀儡師は細い指先を獣の口に伸ばした。ビートが面喰らって動けないのをいい事に、血塗れの牙をなぞる。
「なんて素敵なの。竜の方、私の船に乗って下さい」
コイツ、何を言い出すんだ。自分の正体はバレていないようなので、逃げる事にした。仲間と合流したビートは、連絡も一人で戦った事を咎められる。平謝りしながら、宿の浴室に逃げ込んだ。傀儡師の事があるので、この島では変身を控えようと決める。夕方、皆と食事に向かう途中で傀儡師の一団と鉢合わせた。商人にとって海賊は天敵である。ビート一味は殺気立つ彼らを無視し、すれ違うおうとする。その行く手をコロンが遮った。
「何か用か?」
素知らぬふりで尋ねる。コロンは目尻を釣り上げて応えた。
「無視するなんて酷い人ですね。私と貴女の相性はいいんです。もう一度申し上げますが、私の船に乗りなさい」
双方にどよめきが広がる。ビートも酷く動揺した。
「俺の正体を知った上で声を掛けたのか!?」
「今知ったばかりです」
コロンは涼しい顔で返す。しまった、服装や刺青でバレたか。そう考えたビートだったが、どうやら違うらしい。
「姿は変えられても、魂は誤魔化せない。特に、こんなに美しい波動は稀ですから」
よく解らないが、取り敢えず褒められているようだ。それにコイツ、噂で聞いたのとずいぶん違っている。
まずは一晩食事でも……。ビートの誘いを傀儡師は受けた。名前はコロン。よく調べて、結果によっては……様々な計算をしていると、コロンが隣に立った。その横顔が美しくて、思考が途切れる。
「逃がしませんよ、竜の方」
――嗚呼、傀儡師はやはり恐ろしい女なのだ。怪しい術でも使ったに違いない。でなければこの自分が……。
「なんて素敵なの。竜の方、私の船に乗って下さい」
コイツ、何を言い出すんだ。自分の正体はバレていないようなので、逃げる事にした。仲間と合流したビートは、連絡も一人で戦った事を咎められる。平謝りしながら、宿の浴室に逃げ込んだ。傀儡師の事があるので、この島では変身を控えようと決める。夕方、皆と食事に向かう途中で傀儡師の一団と鉢合わせた。商人にとって海賊は天敵である。ビート一味は殺気立つ彼らを無視し、すれ違うおうとする。その行く手をコロンが遮った。
「何か用か?」
素知らぬふりで尋ねる。コロンは目尻を釣り上げて応えた。
「無視するなんて酷い人ですね。私と貴女の相性はいいんです。もう一度申し上げますが、私の船に乗りなさい」
双方にどよめきが広がる。ビートも酷く動揺した。
「俺の正体を知った上で声を掛けたのか!?」
「今知ったばかりです」
コロンは涼しい顔で返す。しまった、服装や刺青でバレたか。そう考えたビートだったが、どうやら違うらしい。
「姿は変えられても、魂は誤魔化せない。特に、こんなに美しい波動は稀ですから」
よく解らないが、取り敢えず褒められているようだ。それにコイツ、噂で聞いたのとずいぶん違っている。
まずは一晩食事でも……。ビートの誘いを傀儡師は受けた。名前はコロン。よく調べて、結果によっては……様々な計算をしていると、コロンが隣に立った。その横顔が美しくて、思考が途切れる。
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