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漣の家/髪の話
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ハート模様の可愛らしいバッグから、マジシャンのようにシュシュを出してくる亜玖登は、今に鼻歌を歌いだしそうな程に上機嫌だった。その傍らでは、海月が櫛で沙々波の髪を丁寧に梳いていた。
「沙々波さんの髪はふわふわで本当触り心地が最高いですね。叶うならずっと触っていたい……」
そろそろ腰に届きそうな長さの黒髪に指を絡ませ、うっとりと呟いた海月に、キーホルダーを収めている箱を整理していた沙々波は首を傾げた。
「そうかえ? うちの髪て伸ばして重たしてもすぐ寝癖がついたり絡まって大変じょ。うちゃ、海月ちゃんや亜玖登くんみたいにまっぐすな髪に憧れるわぁ」
「きっとさらさらヘアーな紗々波ちゃんも可愛いよね!」
「沙々波さんならどんな髪型にされても世界一素敵ですよ」
「おおきにやれ。お世辞でも嬉しいわ」
過剰なぐらいだが素直に好意を示す二人の言動は未だに照れ臭くて、沙々波ははにかんだように微笑んだ。花が綻ぶような可憐な笑みに、海月も亜玖登も黄色い悲鳴をあげる。
「沙々波さん! なんでこんな可愛いんですか! 後光が差していらっしゃる……まさに地獄に菩薩……!」
「もーお世辞じゃないっていつも言ってるでしょ! もう宇宙一可愛い!まさに天使!」
きゃぴきゃぴの桃色的悲鳴を通り越して蛍光色的音声で騒ぐ二人だが、これもいつもの事。沙々波は一人冷静に時計を見て「あっ」と声をあげた。
「海月ちゃん、亜玖登くん、子供らそろそろ学校から帰ってくるわ」
「え、もうそんな時間!?」
「アクト、シュシュ決まった?」
「うん。今日は清楚な白のお花模様のレース!」
「最高に沙々波さんにお似合いです!」
「白は沙々波ちゃんの髪に映えるからねぇ」
海月の長い指先が器用に沙々波の髪をポニーテールにしてまとめ、可憐なシュシュを結ぶ。
「完成しました」
「おおきに、スッキリしたわ」
シュシュは亜玖登が製作した物の一つで毎日違い物をセレクトしてくる。髪を結わうのは海月の担当だ。彼らは、愛する女のその髪の毛一本まで愛していた。
「沙々波さんの髪はふわふわで本当触り心地が最高いですね。叶うならずっと触っていたい……」
そろそろ腰に届きそうな長さの黒髪に指を絡ませ、うっとりと呟いた海月に、キーホルダーを収めている箱を整理していた沙々波は首を傾げた。
「そうかえ? うちの髪て伸ばして重たしてもすぐ寝癖がついたり絡まって大変じょ。うちゃ、海月ちゃんや亜玖登くんみたいにまっぐすな髪に憧れるわぁ」
「きっとさらさらヘアーな紗々波ちゃんも可愛いよね!」
「沙々波さんならどんな髪型にされても世界一素敵ですよ」
「おおきにやれ。お世辞でも嬉しいわ」
過剰なぐらいだが素直に好意を示す二人の言動は未だに照れ臭くて、沙々波ははにかんだように微笑んだ。花が綻ぶような可憐な笑みに、海月も亜玖登も黄色い悲鳴をあげる。
「沙々波さん! なんでこんな可愛いんですか! 後光が差していらっしゃる……まさに地獄に菩薩……!」
「もーお世辞じゃないっていつも言ってるでしょ! もう宇宙一可愛い!まさに天使!」
きゃぴきゃぴの桃色的悲鳴を通り越して蛍光色的音声で騒ぐ二人だが、これもいつもの事。沙々波は一人冷静に時計を見て「あっ」と声をあげた。
「海月ちゃん、亜玖登くん、子供らそろそろ学校から帰ってくるわ」
「え、もうそんな時間!?」
「アクト、シュシュ決まった?」
「うん。今日は清楚な白のお花模様のレース!」
「最高に沙々波さんにお似合いです!」
「白は沙々波ちゃんの髪に映えるからねぇ」
海月の長い指先が器用に沙々波の髪をポニーテールにしてまとめ、可憐なシュシュを結ぶ。
「完成しました」
「おおきに、スッキリしたわ」
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