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翁草の照準

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「篝火さん、貴方は厄介な女性に惚れましたね」

 長年の付き合いがある部下が、咎めるような言い方にちらりと視線を篝火に寄越したものの、当人はすぐに元より眺めていた方向を向く。その先には、近所の子供と彼が連れてきた犬と遊んでやっている彼の親戚が居る。

「そうだね」

 微かに喉を鳴らして浮かべる、老いてもそれが魅力になる程に整った面には、厄介事の前兆が浮かんでいる。

「ケリは早目につけて下さいよ」

 お互いの為にも。
 獲物に狙いを定めた主人を止めるすべはただ一つ――。
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