青春チャンプルー(4/1更新)

狂言巡

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初恋デビュー2

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 美浦伊織は覚悟している。





 世の中には、何でも賞味期限というものがある。それはモノのように形がない恋愛だって同じだ。誰かを好きだと思えるのには、限界がある。その切欠は人それぞれだし、相手にもよって違いは生じるけれど、けれどやっぱり、期限というものは存在するんだとか。一週間かもしれないし、一か月かもしれないし、一年かもしれないし十年かもしれない。
  伊織が思うに、恋愛の賞味期限はイコールその人の持つ愛情なんじゃないだろうか。細く長くならそれなりに続くだろうし、一気に注いでしまえばすぐに尽きてしまうだろうし。そんなもんじゃないのかしらあと、思うわけですよ。
  まあ小中学時代はオネエを隠していたから今よりしゃっきり振る舞っていたから、女の子には人気があったから、レンアイ経験は人より多いと思う。でも好きだって思える期間は短いし、好きで付き合うっていうよりは好きって言われてまあいっかぁという適当さお付き合いを始めていた。手を繋いだり、キスしたりセックスするのも、したいっていうよりは求められたら応えてあげるというスタンス。
  『愛しい』というよりは『キモチイイ』が大きかったし、でもそれ以上に面倒だなって気持ちが大きかった。自分が第一で、コイビトなんて二の次三の次。デートなんていろいろ自分を隠さなきゃならないし、本気で時間の無駄だし面倒だと思っていた。
  今自分で言ってみて、本気で最低だと思う。そんな伊織が、こんなにも一人の人間を愛しいと思えるなんて、予想できなかったのだ。





  校舎を出ると、空は夕焼けに染まっていた。眩しそうにアナタは、空を見上げていて。それにちょっと。少しだけ。この青い空に嫉妬した。

 「……ねぇ、紫ちゃん」

  アナタのシャツの裾を軽く引っ張って。

 「どうした」

  振り返った、アナタに。

 「イオ? な――」

  キスをした。アナタは驚きながら顔を赤く染めて。そんなところも、愛しいだなんて思ってしまう。

 「紫ちゃん、好きよ」

  あたしのキモチを、ストレートにぶつけた。そうすると、ほら。アナタは困惑して。戸惑って。でも、照れたように笑いながら、あたしを見てくれる。もう、空なんて……いいえ、あたし以外の他のモノ全てを見られないように。家に帰ったら、まず目隠しをしてあげよう。たぶん、これがあたしの、最上級の愛し方。

 「紫ちゃん」

  ――あたしを見て。あたしだけを、見て。あたしの事だけ、愛して……。

 「大好きよ」

 (きみにしか、かなえられないねがいがあるんだ)
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