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1章 We love, because He first loved us.
マサキ6
ぐるぐる見えない何かが頭の中を駆け巡っていく。
靄がかかった何かが、目の奥で点滅してリズムよく真っ白になる視界。
(なに…これ、)
もう目を開けているのか閉じているのか、意識があるのかも感覚があるのかもわからない。
点滅する光に合わせて、呼吸する胸の動きだけが自分を構成するような、それだけの世界。
もう何も聞こえない、考えられない。
「はい、終わり」
ブツっと、途切れた光。
暗転すると、せっかく繋がった神経が切れたかのように急降下し、空中で手放された不安定な感覚がした。
もみくちゃに回されるように一変した脳内に何もかもついていけない。
やっと元の世界に戻れたことに安堵し、ちゃんと自分の体がここにあるのか疑心暗鬼になってしまう。
恐る恐る手足に力を入れて感覚があることを確認した。
点滅する意識から現実に戻されても、
「大丈夫?」と覗き込む先生の顔とピカピカと光る残像が重なっていた。
「変な感じだったでしょう?」
うん、と頷くだけでまだ精一杯、
「ちょっとチューニングしたんだよ」
??
チューニングって音を合わせる…みたいな事かな?
「脳波を見れば鬱っぽい人の特定の波形がわかるんだけど、その精神状況がSub性からくるものだったら、過剰に反応するアルファ波と低下するベータ波のズレをコマンドで修正することができる。」
「君は普段の生活でDomと会うことがなかったみたいだから、定期的にメンテナンスが必要なんだろうね。前の病院に通っていた時はDomの先生とカウンセリングしてたから平気だったんじゃないかな。
あまり期間をあけずに来てくれてたら、ここまで負のスパイラルにハマってなかったかもね。」
自分の選択が全部間違っていたのか…。ここ一ヶ月の不調の理由がわかってほっとしたけれど、やるせなさはきえない。
「まぁ、今後は定期的に脳波見て、ズレ直して、プレイもやっていけばdropせずにいつも通り過ごせると思うよ。」
うん?
「drop?僕落ちてたの?!」
ガバッと起きて先生の顔を凝視した。
「え、うん、さっきからそう言ってるんだけど…笑
慢性drop症だよ、君。」
言ったら悪化する人もいるから言わないこともあるよ、と後出しで付け加えて、ここでは全部管理できるからちゃんと言うけどね。ともはや療養目的ではない入院と示唆する。
全部自分が悪いなんて思ったけど、もしかして色んなこと秘密にされてたのが原因なんじゃないかと今更気づいた。
看護師さんに連れられて裏ルートのような人気のない廊下を進む。
どうやって辿り着いたかわからないまま僕は自分のベッドに倒れこんだ。
はぁ、なんかドッと疲れた…。
今は何も考えたくないくらいただ眠りたい。
強い眠気に襲われてそのまま目を閉じる。
あ、そういえばお尻の薬ってなんのために入れたんだろう…
一瞬浮かんだ疑問はまどろみに消えていった。
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