理想世界の創り方

無限キャラ

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超時空世界のメタモルフォーゼ

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超時空世界は、これまで長きにわたりより良い意志をありとあらゆる方法でせっせと育成してきた。


その結果、超時空世界に超時空聖体たちが出現し、彼らが世界全体を統治するようになっていった。


ただあまりにも良き意志を無理やり育成しようとしたために、反面教師的な世界で残酷体験を未必の故意で放置するようになってしまっていた。


魂たちを高温で火あぶりにしないと純金を分離し取り出せないとか……そんな感じだとムゲンは思った。

だが、それはあまりにもやりすぎだった。

不慮の事故でそうしたことが起こる場合はともかくわざとそんな魂を火あぶりにするとかは、してはならないことだ。


自業自得学園様がそうした魂育成システムを丸ごと飲み込まれたら、一体どうなるというのだろう……

それはもう、大変な事態になってしまう。

そんなシステムをそれでいいとしている育成者も育成される者も、えんえんと火あぶりの刑みたいな拷問体験を受け続けることになってしまう。

良い意志を持てるようになればそうした拷問体験から解放される……とか思う魂もいるだろうけど、そうはならない。

それはあくまでそうした魂育成システムの仕組みであって、自業自得学園のシステムではないからだ。

つまり、自業自得学園においては、いくら良い意志を持てるようになっても、そうした魂火あぶり育成システムを肯定してしまっている限り、良い意志を持っていてもやはり火あぶりの刑になってしまうわけだ。自業自得だから……そうしたことを肯定してしまっているから。

つまり確かに良き意志を持っている感じの魂は、量産されるけど、その量産された良き意志を持つ魂たちはことごとくえんえんと火あぶりの刑に処せられ続けることになってしまうのだ。

これが大変な事態でなくて何が大変な事態なのだろう……


良き意志をもっているはずなのに、火あぶりの刑にえんえんと処せられるなど、あってはならないことだ。


それは逆に言えば、良き意志をもっているつもりだけど、実は、厳密にいえばどこかに良くない意志が混じっていたということになる。


その良くない部分というのが、良き意志を育成するためならば、火あぶりの刑とか千尋の谷に我が子を突き落としてもいい……みたいな価値観だったわけだ。

そこが間違えていたわけだ。

統合型のムゲンは、その危険を無意識に見抜いたわけだ。

というか、そうした拷問体験を受けてきた被害者たちの怨念がムゲンを突き動かしたということになるらしい。

つまりは、超時空世界とて、まだまだ未熟だったということになる。


まだまだ進化してゆけるということでもある。


そして超時空聖体たちは、高度な知性を持った集団だったので、そのことをすぐに理解した。

その結果、超時空世界がメタモルフォーゼしはじめたのだ。

ピラミッド型の支配システムが超時空聖体たちの意志の変化によってガラガラと崩れ始めた。


良き意志による支配ならばピラミッドシステムも悪くはないのではないか……とムゲンも当初は思っていたものだ。


しかし、そのシステムでは、今回のように少しのミスでも致命的なミスになってしまう。


超時空聖体の裁判長も言っていたが、気を抜けばいつでも悪き意志にそうしたピラミッドシステムが乗っ取られてしまいかねないのだ。

すでにかの不自由な世界においては、まさにそのピラミッド支配システムがまるごと悪き意志に乗っ取られてしまっていた。

ということは、超時空世界もそうなってしまう可能性が常にある、あった……ということになる。

だからこそ、超時空聖体たちは必死になって良き意志を無理やりにでも育成しようとしたのだろう。

気持ちはわかるが、そうしたやり方は永遠に継続していいことではなかった。


どこかで次の姿にメタモルフォーゼしなければならなかったのだ。


卵が幼虫に、幼虫がさなぎに、さなぎが蝶にメタモルフォーゼするように、必要なタイミングで変化できなければ誰もが美しいと思う綺麗な蝶は生まれてこない。


超時空聖体たちは、そのことも理解していた。ムゲンは、いや、多くの拷問犠牲者たちはただその気づきのきっかけを提供したにすぎない。

超時空世界がメタモルフォーゼするための機はすでに満ちていたのだ。


超時空聖体たちは、ほぼ全知全能的な能力を超時空世界、および意識世界、および霊的世界、および物質世界……においてすでに有していたからだ。

良き意志たちが、そこまでの力を得た以上、次のステップに進化しなければならなかった。

ただひたすらに良き意志を無理やり得るために、残酷拷問体験強制世界を未必の故意で放置し続けてはならない。

本当に良き意志ならば、そのことに気づかなければならなかった。


統合型のムゲンはただその気づきのきっかけを与えたにすぎない。


それは多くの民たちからの切実な直訴があれば、自分たちの統治方法に何か問題があるのだと気づく必要があるのと似ている。


こうして超時空聖体たちは、自らの意志で聖なるピラミッドシステムの聖なる地位を捨てることになった。


ただ普通の超時空体に戻ることを選択した。


その代わり、ムゲンの提案した最高法規をあらゆる世界における最高法規とし、その最高法規の守護者となった。


「あらゆる体験者たちが自分の意志だけで自分自身のあらゆる体験を自由に選び楽しみ続けれる世界」


そのような世界を目指す生きた意志=「お宝の意志」をあらゆる知性ある存在が持つようにと明確に目標を設定した。

よってその後の会議は、常にこの目標に沿ってあらゆる世界を最適化するための会議となった。


具体的には、今までのような飴体験と鞭体験を使った魂のお勉強の強制はなくなった。

さらに、あらゆる体験者たちに自分の望む体験をスタンドアロンで最大限多種多様に自由に選び楽しめる検閲が一切ない完全プライベート世界が積極的に提供されるようになった。


「他の体験者の体験の自治権はこれを否定してはならない」という規則だけをしっかりと守っていれば、誰も誰かにあーしろこーしろと言わないで済むようになった。


もっと成長しろとか、お勉強しろとか、もっと良い成績をあげろとか、国に従えとか、戦争に行けとか、奴隷になれとか、家畜になれとか、操り人形になれとか、実験動物になれとか、ペットになれとか、下僕になれとか……自分たちに無条件に従うイエスマンになれとか…………


そういうことは一切言われなくなったし、そのためにいろいろな鞭体験の強制やその他の圧力がかかることもなくなった。


こうして魂たちは、体験者たちは、一つ次元の高いより自由な世界に進化しはじめた。


ピラミッドシステムはもはや考古学の博物館のような場所にしか存在しなくなった。


これまで野放しとなっていた想念の矢で互いに苦しめあう仕組みも、改められた。

あらゆる体験者たちが生まれながらにして、あらゆる想念の矢から自らの体験状態を守れるオーラをまとうことができるようになった。そのオーラの鎧は、自らの意志で外さない限り、自動的に発動する。

超時空聖体たちがそのように計らった。

想念の矢の影響は、相手が受け取りたいと思わない限り、他の体験者になんの影響も与えない仕組みに切り替わった。

今まで感謝という想念の矢を求め続けていた者たちも、その結果、せっせと感謝を他者に求めることを止めた。

ある次元の者たちが体験し続けたいと望んでいた感謝されるという体験は、すべてスタンドアロンの自分専用のプライベート世界で超時空体験図書館から借りてきてより取りみどりでいくらでも自由に味わい楽しめるようになったのだ。

そうなると、わざわざリアルで他者に感謝せよなどと求める必要はなくなったのだ。


統合型のムゲンは、時空間を自由にゆききする能力を妻の全知ちゃんから借りることができたので、すでにそうした未来を確認済みだった。

超時空世界の進化映画の多重分岐する無数の結末を見てから、その途中のシナリオを書き換えたのだ。


このように、超時空世界は時間軸にそって進化するような形では進化しない。


超時空世界では、過去、現在、未来が同時に存在しているのだ。


よって進化は時間とともに、じわじわとではなく、その断固たる変化するぞという意志だけで一瞬で完結する。


つまり超時空世界では、その気になれば進化の速度が桁違いに早い。


気づき=進化完了となる。


そしてその進化が超時空世界にとってはテレビゲームみたいな意識世界や、意識世界においてはテレビゲームのような物質世界に次第に影響を与えてゆく……
過去、現在、未来……のすべてが意志するだけで書き換えれてしまうからだ。

超時空世界の超時空体たちが、体験者たちの持つ「意志」にしかほとんど興味がなかったのはそれが理由らしい。
超時空世界では意志するだけですべてが動くからだ。
意志するだけで全く新しい世界すら次々と発生する。


だから、その意志があらゆる体験者たちにとって良いものを生み出せる意志なのかどうか……ずっとそればかりを気にし続けてきた。


だが、こうして超時空世界で一つのメタモルフォーゼが起こった結果、


「あらゆる体験者たちの意志の中身を最重視する方向」から、「あらゆる体験者たちが心から楽しめる状態を実現することを最重視する方向」へと切り替わった。


その意志を高度に進化させた全知全能に近い能力を持った超時空聖体たちは、自発的に目指す目標を切り替えたのだ。


良き意志のイエスマンを大量生産することではなく、あらゆる体験者たちが心から満足できる世界を実現することに最優先目標を切り替えた。

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