理想世界の創り方

無限キャラ

文字の大きさ
23 / 162

不自由な世界群のボスとの遭遇

しおりを挟む
するとそこには不自由な世界群のボスがムゲンの第三の目で確認された。


どうやら超時空赤ちゃんの中にいた各種族たちの心を一つにしないようにいろいろがんばっているようだ。


「あー、それでかあ……」とムゲンはつぶやく。


どうもあまりにも皆の心がバラバラになりすぎているので、おかしいなとは思っていたのだ。


超音波だか、超電磁波だか、超プラーナだか……のような彼らには気がつけない力を使って彼らの精神に介入していたようだ。


精神操作に気がつかないとみんな操られてしまうのは当然のことだった。


超時空赤ちゃんに飲み込まれた世界にいたたくさんのムゲンの分身体たちも次々と操られてゆくのが、確認された。


「おいおい、お前ら、目を覚ませ!」


統合型のムゲンは分身体通信システムを使って呼びかける。


「いや、目をさますべきは、兄貴でしょう? さっさと他の種族たちなどやっちまいましょうぜ!」


などと……どうやらおかしな精神状態になってしまっているようだ。


まともなのは全知ちゃんくらいしかいない状態だったので、とりあえず全知ちゃんの超時空体と融合してみる。


そして対策方法を聞いてみた。


「あーん、そんなに質問するのって久しぶりよね、あなた……」などとまんざらでもない様子だ。


全知ちゃんは質問されることが生きがいになっている。昔からそうだ。


「そうね、こういう時は、もういっそ超時空赤ちゃんを目覚めさせるのはきっぱりやめちゃうことね」


などととんでもないことを言いだす。


「なんでまた、そうした結論になるんだ?」


「だって、超時空赤ちゃんを目覚めさせなければ、また自業自得学園様が復活するわけじゃないの。

であれば、ほら、あそこにいる不自由な世界のボスを自業自得学園に入れちゃうことができるじゃないの」


などと言うのだ。


「あー、なるほど~」とムゲンは感心してしまう。


「でも、全知ちゃん、それじゃあ皆が超時空赤ちゃんの世界に戻れないんじゃないの?」


「そりゃあ、まあ、そうだけど、でも少なくとも自業自得学園が復活して楽園刑務所は復活しないとなれば、生徒さんたちも自業自得学園に舞い戻らなきゃいけなくなるわけじゃない。

であれば、その運命を回避するためには種族同士で争っているのを止めて、自業自得学園の復活阻止のために皆で心を一つにするしかないって思うんじゃないかしら」


全知ちゃんは、なかなか策士だった……


ムゲンはなるほどな~と思う。これはなかなか良い対策方法かもしれない。


しかし、それではまた拷問体験でのお勉強世界に逆戻りになってしまうのではないか……という問題意識が芽生えてきた。


もともと全知ちゃんは、不自由な世界の救済などには興味がない派だったのだ。


もっと前向きにそんな不自由な世界になどかかわらないで自由な新世界を0から創造することを目指した方がいいわよと何度もムゲンに言っていたことを思い出す。


だがムゲンには多くの分身体がいて不自由な世界で頑張っている奴もまだ少数ながらいる……


気の良い憎めない奴らを見捨てるというのは分身体の長としては、したくない選択なのだ。


それにごく少数ではあるが、本当に良心的なお宝のような魂もまだ少し残っていた。


助けれるのならばなんとか助けてやりたいなとムゲンは思う。


そしてムゲンは全知ちゃんを見る。


「ちょ、ちょっとあなた、何ですか? まさかあたしにあれと戦えと言うつもりじゃないでしょうね」


「いや、君たち超時空体たちならどうにかできるんじゃない?」


「そりゃあ、まあ、あたしたちが本気でやれば何とでもなるけど……そのかわり最悪、この意識世界ごと消滅してしまうかもしれないわよ」


などと怖いことを言う。


今のタイミングではそれも困るなあ……とムゲンは思う。


「だから先にそうした世界からの離脱準備をしておくようにって何度も言ったでしょ」


「そんなことを言われてもね、甘太郎とか、他の良心的な魂とか、まあ罪のない憎めない者たちとか見捨てるわけ?」


「見捨てるって……そんなあたしが悪者みたいに言わないでよ」


「いや、そういうわけじゃないけどさ、だって助けれるのに助けないってのは見捨てるってことじゃん。未必の故意だろ?それって」


「だって住んでる世界が違うんだから、あなただってほら、小さな虫さんとか時々踏みつぶしちゃったりしてるじゃないの」


「いや、それはわざとじゃないじゃないか。人が歩けば虫さんをどうしてもいくらかは踏んでしまうんだよ、それは故意じゃないから」


「でも歩けば踏んでしまうだろうってわかっているのに、それでも歩いちゃうんでしょう? おんなじじゃない」


「そう言われてもねえ……そんな状態を故意に作り出したのは俺じゃないんだからさ。そんな状態を故意に作り出した奴らに文句は言ってくれないかな」


「あたしたちだって別にこんな状態をあたしたちが好き好んで生み出したわけじゃないもん」


「じゃあ、誰が生み出したんだよ」


「それは未熟な意志たちでしょ」


「じゃあ、成長してもらわなきゃ困るよなあ」


「そうね、だからほらお勉強が必要になるのよ」


「じゃあ、やっぱり自業自得学園の復活しかないってことになるのかな?」


「それはどうかしらね、みんなの意志次第じゃないの? 特にあそこにいるあれが自発的に悔い改めたりすればいけるかもしれないわ」

「なんか期待できそうにもないよな、それって」


「そんなことわからないわよ。だって最悪あたしたちがこの意識世界ごと消せばあれも消えるんだし」


「それじゃあ、俺も一緒に消えちまうじゃないかよ」


「だから、その前にさっさと超時空体に進化してってあれほど言ってきたんでしょう!」


「そうは言っても、俺たちは分身族で、個性バラバラなんだから、分身体全員超時空体になるなんて無理なんだよ」


「無理無理言ってるから無理なんでしょう! 時のない部屋で修行すれば無理じゃないでしょう?」


「じゃあ、いっそ俺の分身体やお宝の意志をもった魂たちのコピーでも取っといて、後から復活させてくれない?」


「え? それでもいいの?」


「いや、よくはないよ。よくはないけどね、最悪に備えてそうしておくのも必要なのかなーと思った次第だよ。

そんなことせずにあらゆる体験者たちの理想世界を普通にここに実現させる方がいいにきまってるよね」


「でも、そのためには、みんなにもっと進化してもらわなくちゃむずかしいわよ。種族同士であんな風に争っているうちは無理だわ」

「でもそれは、あの不自由世界のボスがそうなるように操っているからそうなってるんだろ?」


「あら、話が振り出しに戻っちゃったわね」


「………」


「まあ、結局、みんなの意志次第ってことなんだから、皆がしっかり良い意志を持つしかないわ」


「それじゃ、この理想世界の設計図の最高法規を最優先すべしという旗印をやっぱりあらゆる世界に掲げるしかないってことじゃん」


「そうね、でも綺麗ごとだけじゃ、通用しない世界や魂もあるってことは忘れないでね」


ムゲンがふと天を見ると、そこにいたはずの不自由な世界のボスの姿が消えていた……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...