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みんなの意志がバラバラ問題
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まるで夢から覚めたかのように、皆が異変に気づきはじめた。
「あれ? なんだ? 俺のプライベート世界が消えちまった……」
「私の王子様が、消えちゃったわ!!!」
「僕のラスカルがいなくなっちゃった~!」
「天の神様が、神様が~~~消えちゃった~~~!!!」
「俺の超時空暴走バイクが消えちまったぞ!」
「我々の超時空楽園UFOはどこにいったんだ!」
「ぐわーーーー!!!」
「いやーーーーー!!!!」
たちまちパニックになった。
なんとか元に戻せないのかと皆で必死に右往左往している。
「おい! 時間巻き戻しボタンを押した程度で超時空世界が消えるなんておかしいんじゃないの?」
などと結構冷静な神族の一体が言っている。
ムゲンもそれには同意見だ。
超時空世界なのだから、そんな程度で消えるなどありえない。
それはとある世界にあるゲームソフトの巻き戻しボタンを押したら、その世界が丸ごと消えてしまうような現象に近いのだ。
そんなことになるわけない。
すると、一人動じていなかった全知ちゃんが、真相を説明しはじめた。
「あのね、皆さん、超時空赤ちゃんは……というかもう成長して赤ちゃんじゃなくなっちゃってるけど、誤解しちゃったみたいなのよね」
「誤解???????」皆が口をそろえて聞き返す。
「そう、ほら時を巻き戻すボタンを押したことで、皆が元に戻りたいと思っているんだと誤解したのよ。だからその願いに応えて自ら休眠することを選んだみたい」
「そ、そんな~~~!!!」 「あんまりだわ!」「誰がそんなボタンを押したんだ!」
皆、口々に叫んでいる。
「じゃあ、あれだろ? おいらの超時空暴走バイクは、その赤ちゃんが目覚めたら復活するんだよね?」
などとムゲンの分身体が縋り付いて聞いてくる。
統合型のムゲンは、
「それは俺に聞かれてもわかんないよ」
としか答えれない。
すると全知ちゃんが、
「そうね、復活してほしいと願っていれば多分復活すると思うわ」と答えてくれる。
皆は、それを聞いて大喜びだ。
「それじゃあ、早く、早くわたしたちの神様を復活させましょう!」と天使族たちがせっついてくる。
必死で復活の祈りを捧げ始めた。
「いや、まずは、赤ちゃんを復活させないと……」と全知ちゃん。
「でも、私たちにとって大事なのは私たちの神様なんです!」と天使族。
「みんなが自分が大事なものの復活をバラバラに願っても復活するわけないでしょう?」と神族の女神の一体が叫ぶ。
「あ、そうか、心を一つに合わせないとダメなのかもしれないね」と小さな宇宙人族。
「それもそうよね。みなで心を合わせましょう!」と超時空赤ちゃんに飲み込まれた世界のとある女性。
とはいえ、皆の心がひとつになるには、かなり状況が変化してしまっている。
当初は、拷問苦難の自業自得学園から抜け出して楽園刑務所に入ろうとする意志で皆の心が一つにまとまっていたが、今や、それぞれが自分専用のプライベート世界でプライベートな楽しみ体験をしまくっていたために、皆の心がなかなかひとつにならないようだ。
一生懸命、祈願をしたり、「赤ちゃん、復活して!!!お願い!!!」などと皆で叫んでいるが、その心と言えば、どうもひとつになっている気配がない。
かけ声だけ合わせても、心が一つになっていないとどうもダメなようだ。
ムゲンは仕方がないので、また「理想世界の設計図」を引っ張り出す。
「あー、皆さん、まあ、それぞれに思い思いの願いがあるのかもしれませんが、何か大事なことを忘れているんじゃないですか?」
そして、皆の心の中にテレパシーで「理想世界の設計図」が送信される。
「そもそもあの超時空赤ちゃんが生まれたのは、この理想世界の設計図がみんなの心の中にしかと意識されていたからだと理解すべきでしょう。
今は、どうですか? ぜんぜん理想世界の設計図のことなんててんで心の中になくなってしまっているんじゃないですか?
おそらくそれが復活できない原因だと思われますが、どう思いますか?」
ムゲンがそういうと、
「でも、私たちの神様が絶対なんですよ! そんな設計図よりも私たちの神様が優先なんです! わんわん!!!」
などと天使族の一体が叫ぶ。
「違うやろ? 俺たちの悪魔王こそが絶対やろ? ふざけたこと言ってんじゃねーぞ、お前ら」などと悪魔族の一体が売り言葉に買い言葉で応じ始める。
「そんなこと言ってないで、われわれ宇宙連合の総司令官の指示に皆さん従ってください!」などと宇宙人族の一体が割り込んでくる。
「私たちの将軍様こそが絶対者なのです!みなさん、頭おかしいんですか? そんなバカげたことを言っていると強制収容所に入れられてしまいますよ!」などと飲み込まれた不自由な世界の恐怖政治国家の一市民が叫ぶ!
「兄貴!こいつらもうしめちゃってくださいよ!」などと分身族の一体がわめきはじめる。
こりゃダメだ……と統合型のムゲンは絶望的になる。
なんでこうなってしまったのだろうか……
最優先にすべきは理想世界の設計図の最高法規である「あらゆる体験者が自分の意志だけで自分のあらゆる体験を自由に選び楽しみ続けれるようにしてゆくこと」だったはずなのに……
その最高法規を皆で最優先にしなければならないのに、もうてんでバラバラになって互いに否定しあってしまっている。
これではせっかく生まれた超時空赤ちゃんが空中分解してしまってもおかしくない感じだ。
そのまま永眠してしまうんじゃないだろうか……などと心配になってくる。
この事態……さてどうしたものだろうか……とムゲンは腕組みをして天を見上げた。
「あれ? なんだ? 俺のプライベート世界が消えちまった……」
「私の王子様が、消えちゃったわ!!!」
「僕のラスカルがいなくなっちゃった~!」
「天の神様が、神様が~~~消えちゃった~~~!!!」
「俺の超時空暴走バイクが消えちまったぞ!」
「我々の超時空楽園UFOはどこにいったんだ!」
「ぐわーーーー!!!」
「いやーーーーー!!!!」
たちまちパニックになった。
なんとか元に戻せないのかと皆で必死に右往左往している。
「おい! 時間巻き戻しボタンを押した程度で超時空世界が消えるなんておかしいんじゃないの?」
などと結構冷静な神族の一体が言っている。
ムゲンもそれには同意見だ。
超時空世界なのだから、そんな程度で消えるなどありえない。
それはとある世界にあるゲームソフトの巻き戻しボタンを押したら、その世界が丸ごと消えてしまうような現象に近いのだ。
そんなことになるわけない。
すると、一人動じていなかった全知ちゃんが、真相を説明しはじめた。
「あのね、皆さん、超時空赤ちゃんは……というかもう成長して赤ちゃんじゃなくなっちゃってるけど、誤解しちゃったみたいなのよね」
「誤解???????」皆が口をそろえて聞き返す。
「そう、ほら時を巻き戻すボタンを押したことで、皆が元に戻りたいと思っているんだと誤解したのよ。だからその願いに応えて自ら休眠することを選んだみたい」
「そ、そんな~~~!!!」 「あんまりだわ!」「誰がそんなボタンを押したんだ!」
皆、口々に叫んでいる。
「じゃあ、あれだろ? おいらの超時空暴走バイクは、その赤ちゃんが目覚めたら復活するんだよね?」
などとムゲンの分身体が縋り付いて聞いてくる。
統合型のムゲンは、
「それは俺に聞かれてもわかんないよ」
としか答えれない。
すると全知ちゃんが、
「そうね、復活してほしいと願っていれば多分復活すると思うわ」と答えてくれる。
皆は、それを聞いて大喜びだ。
「それじゃあ、早く、早くわたしたちの神様を復活させましょう!」と天使族たちがせっついてくる。
必死で復活の祈りを捧げ始めた。
「いや、まずは、赤ちゃんを復活させないと……」と全知ちゃん。
「でも、私たちにとって大事なのは私たちの神様なんです!」と天使族。
「みんなが自分が大事なものの復活をバラバラに願っても復活するわけないでしょう?」と神族の女神の一体が叫ぶ。
「あ、そうか、心を一つに合わせないとダメなのかもしれないね」と小さな宇宙人族。
「それもそうよね。みなで心を合わせましょう!」と超時空赤ちゃんに飲み込まれた世界のとある女性。
とはいえ、皆の心がひとつになるには、かなり状況が変化してしまっている。
当初は、拷問苦難の自業自得学園から抜け出して楽園刑務所に入ろうとする意志で皆の心が一つにまとまっていたが、今や、それぞれが自分専用のプライベート世界でプライベートな楽しみ体験をしまくっていたために、皆の心がなかなかひとつにならないようだ。
一生懸命、祈願をしたり、「赤ちゃん、復活して!!!お願い!!!」などと皆で叫んでいるが、その心と言えば、どうもひとつになっている気配がない。
かけ声だけ合わせても、心が一つになっていないとどうもダメなようだ。
ムゲンは仕方がないので、また「理想世界の設計図」を引っ張り出す。
「あー、皆さん、まあ、それぞれに思い思いの願いがあるのかもしれませんが、何か大事なことを忘れているんじゃないですか?」
そして、皆の心の中にテレパシーで「理想世界の設計図」が送信される。
「そもそもあの超時空赤ちゃんが生まれたのは、この理想世界の設計図がみんなの心の中にしかと意識されていたからだと理解すべきでしょう。
今は、どうですか? ぜんぜん理想世界の設計図のことなんててんで心の中になくなってしまっているんじゃないですか?
おそらくそれが復活できない原因だと思われますが、どう思いますか?」
ムゲンがそういうと、
「でも、私たちの神様が絶対なんですよ! そんな設計図よりも私たちの神様が優先なんです! わんわん!!!」
などと天使族の一体が叫ぶ。
「違うやろ? 俺たちの悪魔王こそが絶対やろ? ふざけたこと言ってんじゃねーぞ、お前ら」などと悪魔族の一体が売り言葉に買い言葉で応じ始める。
「そんなこと言ってないで、われわれ宇宙連合の総司令官の指示に皆さん従ってください!」などと宇宙人族の一体が割り込んでくる。
「私たちの将軍様こそが絶対者なのです!みなさん、頭おかしいんですか? そんなバカげたことを言っていると強制収容所に入れられてしまいますよ!」などと飲み込まれた不自由な世界の恐怖政治国家の一市民が叫ぶ!
「兄貴!こいつらもうしめちゃってくださいよ!」などと分身族の一体がわめきはじめる。
こりゃダメだ……と統合型のムゲンは絶望的になる。
なんでこうなってしまったのだろうか……
最優先にすべきは理想世界の設計図の最高法規である「あらゆる体験者が自分の意志だけで自分のあらゆる体験を自由に選び楽しみ続けれるようにしてゆくこと」だったはずなのに……
その最高法規を皆で最優先にしなければならないのに、もうてんでバラバラになって互いに否定しあってしまっている。
これではせっかく生まれた超時空赤ちゃんが空中分解してしまってもおかしくない感じだ。
そのまま永眠してしまうんじゃないだろうか……などと心配になってくる。
この事態……さてどうしたものだろうか……とムゲンは腕組みをして天を見上げた。
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