理想世界の創り方

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「体験の自治権」推進委員会の発足

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超時空世界からの講師の教えを受けて、魂のお勉強推進委員会は、体験の自治権推進委員会に名前が変わることになった。


一部の支配者たちは、まだ「支配特権!支配特権が~!!!」と言っていたが、委員会全体としては、自業自得学園に送られるよりは方向転換をする方がいいと思うようになったらしい。


委員会としてはこれまでの支配特権を維持しようとする少数意見は排除された模様だ。


「じゃあ、あんたたちだけで自業自得学園に行けばいいでしょう!」などと言われて引き下がったらしい。


こうして体験の自治権推進委員会が不自由な世界に発足した。


ひらすらに体験の自治権を推進することを目指す霊的集団だ。


神族や天使族やや悪魔族や宇宙人族たちは、これまでの仕事をやめて、この仕事に転職することになった。


「世の中、変われば変わるものだなあ……」とムゲンは感慨深くそうした様子を観察している。


さすが超時空体様……影響力が半端ない。


体験の自治権とは、「体験者が自分の意志だけで自分のあらゆる体験を自由に選ぶ権利」のことだ。


よって今までのように体験者たちをいろいろな方法で支配すればそれでいいという話ではなくなってしまった。


むしろ、その逆で何とかして体験者たちに自らの意志で自立させ、自治してもらわなければならなくなった。


体験の自治権推進委員会の面々は、これまでと真逆なことを推進しなければならなくなったのだ。

なかには「こんなことやってられるか!」とさじを投げてバックレる者もいたが、その彼はどうやら自業自得学園で体験の自治権を失って悪戦苦闘しているらしい。その彼とは、例の自業自得検証システムからの脱出ボタンを破壊した悪魔族のアックンだ。

委員たちはそもそも肉体ではなく意識体なので、自業自得学園様がその意識体を召喚してしまったのだ。

その彼が見せしめとなり、他の委員たちは全身全霊で体験の自治権の推進活動にいそしむようになった。


しかし、その意識世界での大きな変化の結果、物質世界が急速に変化しはじめた。


まず目についた変化は、家畜文化の消滅だった。


人間たちが営む家畜利用文化……これが消滅した。


理由は、家畜利用は家畜たちに宿る体験者たちの体験の自治権がはく奪されている状態だと判断されたからだ。

中には、家畜たちを大自然の中で生きれるようにしてあげるべきだと主張する者もいたが、その案を自業自得検証システムで確かめたところ、その案を提案した者がその提案を取り下げたのだ。


どうやら、大自然の中で品種改良されてしまった家畜種として生き続けることに耐えれなかったらしい。

それなら…と他の提案者が、人間たちが手厚く保護してあげればいいのだと提案したが、その案を提案した者もまた自業自得検証システムで確かめたところ、やはりその提案を取り下げることになった。

理由は、すべての家畜に手厚い保護をする人間側としての体験が苛酷になりすぎたためらしい。人間の数をはるかに超える家畜たちを手厚く面倒を見続ける負担に耐えれなくなったらしい。

ならば……と家畜の頭数をグッと減らせば何とかなるだろうと提案した者もいたが、頭数を減らしてしまうというなら次の転生ではわざわざ家畜ではなく、普通の野生の種として生きれるようにしてやる方がいいという話になった。

だが、であれば、何もわざわざ野生の動物に転生させなくとも、人間や意識体に転生させてやる方がいいのではないかという意見もあり、ついに相当にマニアックな変わり者の魂がたまに家畜体験がしたいと願い出る場合以外、家畜として生きる体験者はいなくなってしまったのだ。
そしてついには世界に家畜は、いなくなってしまったのだ。
ただ家畜ゲームというのが意識体の世界で存在するのみになってしまった。一部のマニアたちが家畜役と牧場主の役をしながらマニアックに楽しんでいるらしい。

こうして物質世界にはついに家畜はいなくなった。


さらに、人間も減り始めた。

体験の自治権推進委員会からの求めに応じて超時空城へのフリーパスが超時空城から提供されたのだ。

超時空城は、時空間に制限がないためにいくらでも希望者を収容できた。

その結果、次々と人間をやめて超時空城に引っ越すものが出始めたのだ。

希望者たちは、その願いが切実で真摯なものであれば、肉体という体験強制装置から意識体にしてもらって体験者として救助された。

また同時に物質世界の体験の自治権推進委員会は、切実に強く望む希望者に安楽死する自由と権利を提供した。


その結果、多くの体験者たちが、劣化し続ける肉体という体験強制装置を捨てて、超時空城で意識体の体を得て体験自由自在の超時空大遊園地で遊ぶ生活をしはじめた。

素晴らしい体験を至れり尽くせりで何でも自由に無限に味わえる昭雄ダンジョンに入って出てこなくなった体験者は数知れない。

この昭雄ダンジョンは、空想能力が飛躍的に進化した元引きこもりの魂がその並外れた空想力で創造したダンジョンだが、その空想能力と老賢者様たちの体験交換術とが合体したことで生まれた望む体験自由自在至れり尽くせりの無限体験楽園に進化した超時空大遊園地のアトラクションだった。

そこでは、各々の体験者たちは、自分で自分の体験を空想する必要もなく、ありとあらゆる素晴らしい体験を無限メドレーで至れり尽くせりで体験できるようになっていた。そこにいるだけで何もしなくてもそうした素晴らしい体験を体験し続けることができるのだ。
老賢者様たちが、体験者本人よりも体験者の望みや特性を熟知していたのでそうしたことが可能になった。
つまり嫌だと思う体験が全く発生せず、自分が考えるよりもはるかに素晴らしい今まで知らなかったような体験も無限メドレーで自動的に味わえるようになっていた。


本来ならば、各々の体験者たちが自分で自分の体験を思い描いて創造してゆく必要があったものが、元引きこもりの昭雄と体験交換術に秀でた老賢者族たちのおかげて、そんな努力をしなくとも最高だと思える体験を無限メドレーで無限に体験し続けれるとんでもないダンジョンが発足したのだ。

入ると出てこれるものは、よほどの精神的鍛練を積んだツワモノしかいないというヤバいダンジョンになっていた。
しかし、出てこれなくなって誰かが困るわけではないので、そのままずっと昭雄ダンジョンに住み続ける者が続出したのだ。

しかも、昭雄の空想力は際限がなかったのでいくらでも新しい参加者を受け入れることができるようになっていた。彼の空想力は時空間制限もなくほぼ無限だったのだ。


そんな超時空大遊園地とそのアトラクションの昭雄ダンジョン、また超時空城にいる未来の世界から来た元犬猫族である変身自由自在のスピリチュアルアクター、略してスピアたちとの共同演劇サークルプレイルームなどの噂を聞いた者たちがやんややんやと超時空城への引っ越し申請をしはじめたのだ。


その結果、物質世界の人間の数は激減してしまった。

戦争や天災や毒汚染や産児制限や伝染病……などがなくても、このような方法でも人口削減ができるということがわかった。

人口過密であった国々は、こうして体験者たちの自発的な選択で、より住みやすい状態に急速になっていった。

ただよりよい体験が自由自在に楽しめる新世界への門戸を開いてあげるだけでそうなった。


また、超時空城では物質世界に戻りたいという希望者がいれば、その願いを叶えてくれたのでノーリスクで新世界への引っ越しができたというのもそうした流れが加速する理由となっていた。


こうして物質世界の体験者たちは、とにかく自分が望む体験や世界や状態を自由に選べるようになったのだ。


さらに物質世界では、肉体という体験強制装置が肉体に自由に憑依できる超時空城の意識体たちの協力もあり、どんどんと改良されていった。
痛み苦しみのほとんどがただその肉体に宿る体験者がそう願い意志するだけで麻酔をかけたように消えるように改良された。
睡眠なども望まねば取らないでも問題なくなった。

食欲も肉体に宿る体験者たちが自由に自分の意志だけでオンオフできるようになり、性欲もまた同じようにオンオフできるようになった。

さらには、生存本能や恐怖心のあるなしや不安状態のあるなしや気分や感情まで自由に選べるようになった。

また、夢体験も本人が自由に選べるようになったし、望めばいつまででも望む夢体験を味わえるようにもなった。


肉体という体験装置は、こうして急速に改良されていった。


肉体への憑依自由自在の意識体たちは、そうしたいろいろな肉体の性能を確かめつつ、よくできた肉体をとっかえひっかえして憑依して楽しむようになっていった。
それはあたかも着物を自由に着替えて楽しむような感じだった。


そんな変化が物質世界に発生しはじめたので、これまでの人間社会の常識は、ガラガラと崩れていった。


食事は、未来世界から「元素再構成マシン」が逆輸入されてきて、空気中の元素と土壌成分だけであらゆる食材や栄養素が自由自在に大量生産できるようになり、食料を得るために人間たちが労働する必要がなくなった。

どんな種類の食べものでも、その元素再構成マシンは元素レベルを再構成してほぼ際限なく生み出すことができたのだ。
改良の末、あらゆる名シェフが作った過去から今までの料理の数々も自由に再現し大量生産できるようになってしまった。
そしてその元素再構成マシンを悪用しない限り、誰もが自由に使うことができるようになった。


その元素再構成マシンの逆利用方法として、物質世界にある毒とされるものを無毒化することもできるようになっていた。
その結果、世界中の元素再構成マシンは、大気中や土壌中や水中のあらゆる毒素を取り込み無毒化していった。
放射性物質なども無毒化していった。


こうして、ストレスばかりの監獄のような世界から楽しみばかりの遊園地のような世界に変わっていった。


「して、体験の自治権は?」と世界を見渡すと、ほぼすべての体験者たちが自分の体験を自分の意志だけで自由に選び楽しめる状態になっていた。

その頃には、体験の自治権推進委員会は、超時空城から派遣されたスピアたちやその他のボランティアの意識体たちも参加して大所帯になっていた。

また超時空城でいろいろ楽しんできた出戻りの体験者たちが、ボランティアで委員を務めはじめた。


その有様は不自由な恐怖政治国家の強制収容所で生まれた体験者が、解放され、人権国家でしばらく暮らした後に、その恐怖政治国家に戻ってきて世直しをしているような感じに似ていた。

もはやそのころには権力ピラミッドシステムは、完全に崩壊して消滅していた。

必要なものはすべて望めば手に入るようになったので、お金というものも消滅した。
元素再構成マシンは、ありとあらゆる製品や道具類などもコピーして自動的に大量生産できたのだ。
ひとつ優秀な製品やロボットや道具類を作れば、あとは全自動でコピーし同じ複製を大量生産できたのだ。

また、そもそも望めば超時空城でどんな体験でも自由に味わえるようになっていたので、権力者や大富豪などはそのために喜んでその権力や財産を手放した。

権力がいくらあっても、お金がいくらあっても彼らはその望む体験を完全に自由に楽しむことができなかったからだ。
彼らの多くは超時空城にお試しでおそるおそる参加し、その後、昭雄ダンジョンに入り、そのまま戻らなくなった。
彼らの権力や財産はこうして超時空城の手に渡ったらしい。
彼らはそれを自らの意志で放棄したのだ。もう、あの世界には戻りたくないと……
その中にはいろいろなところからやってきていた宇宙人なども多数混じっていたりした。

彼らはそのお礼として一人乗り用の宇宙船を製造して物質世界にいる体験者分、提供した。

それによって、物質世界では誰もが水陸空宇宙を自由に移動できるようになっていた。
宇宙船には元素再構成マシンが備えられていて、食べ物、水、空気は自動生成され完全循環される仕組みになっていた。
不足した元素は、宇宙や大気から自動的に取り入れていた。
エネルギーは元素再構成マシンが生み出す元素再構成時に出るエネルギーをふんだんに使えるようになっていた。

その個人用の宇宙船は個人用の完璧なバイオスフィアになっていた。外界との接触がほぼ0で完結できる個人用宇宙船だった。

その宇宙船は、また他の個人用宇宙船とドッキングすることができる仕様になっていて、互いの運転手が望めばドッキングして共同生活もできるようになっていた。
またそれが嫌になれば、いつでもまた個人用に戻ることもできるようになっていた。

こうして広大な宇宙空間で周囲気兼ねなく体験者たちは、住む場所における不公平や領土問題など気にする必要がなくなった。
普段は好きな宇宙空間で暮らしていて、たまに惑星世界に遊びに行く感じになっていった。

この頃には、宇宙船内には瞑想ルームが備えられるようになり、そこで瞑想すると肉体から意識体に変身することができるようになっていた。

こうして物質世界と意識体の世界を、また超時空世界の一部を自由に行き来して楽しめるようになっていった。


この頃には、体験の自治権推進委員会は、ほぼすべての体験者たちが参加するような状態になっていた。
どこもかしこも委員だからけの状態になっていた。

委員になるにはただ「あらゆる体験者が自分の意志だけで自由に自分の体験を選び楽しめるようにしたい」と願う真摯な意志があるだけでよかったので、自然にそうなっていった。

こうしてついに物質世界、霊的世界、意識世界、超時空世界…の全世界の体験者のほとんどが、体験の自治権推進委員になった。

体験の自治権を奪う能力を持っていたものは、そんな能力を使わなくとも自分たちが望む体験が自由自在に楽しめるようになると自らその能力を捨て去った。


体験の遠隔操作能力を手にしていた権力者、支配者、創造主たちは、ついに自発的にそうした能力を捨てた。


そんな能力を手にしているとうっかりミスで間違えた使い方をしてしまう危険があったからだ。


実際に、そうした能力を頑なに手放さなかった権力者たちの一部は、昔の癖でその能力を使ってしまい体験自由自在の世界から自業自得学園に送られてしまった。

それを見て、「こんな能力や技術は危険物でしかない!」と手放したのだ。


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過去現在未来のすべての体験の記録が保存されている超時体験図書館には、そうした歴史が記録されていた。

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