理想世界の創り方

無限キャラ

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体験強制ピラミッドシステムの存続に必要な条件

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「だからですね、まだ私やその他少数派ですが良心的な体験者がその不自由な世界には結構いるんですよ。

そんな状況で世界ごと消すなんてことをしたら、私やその他少数の良心的体験者たちから告訴されてしまいますよ!

自業自得検証システムで検証すれば、その手を今使うと超時空体様たちだってかなりの痛手を受けるのではないですか?」



ムゲンはヤバいと思ったので、体験強制ピラミッドシステムの分析を中断して、意識だけで超時空聖体会議の場にワープしてきていた。


すると超時空体の一体が言う。


「しかしね、ムゲン君、このまま放置すれば、一定時間が経過すれば犠牲者の数は、今すぐに世界ごと消す場合よりも明らかに多くなってしまうんだよ。

状況が改善されていっている状態ならまだしも、悪化していっている状態では、放置するわけにもいかないんだよ」


などと言われる。


ムゲンはいきなり痛いとことを突かれたなと思う。それを言われると、実に反論しにくい。


「ね、そうでしょう? ムゲンさん、あの不自由な世界は、どんどんとみんなが酷い体験を強制される方向に突き進んでしまっているじゃないですか。

しかも嘘までついて、これから良い世界になるんだとか……体験者たちを確信犯で騙したりしているじゃないですか。

なんですか?あの体験遠隔操作毒の全人間族への投与キャンペーンは?
完全にあの世界の体験者たちの体験の自治権を確信犯で嘘までついて奪おうとしている行為でしょう?

そもそも人間族に落ち度があるというなら、人間族が落ち度がある存在に創造してしまったあの世界の創造主の責任が問われなければならないはずでしょう?

その倫理的な責任を本気で問うている方って、ほとんどあの世界にいないじゃないですか!
諸悪の根源のあの残酷体験強制ピラミッド世界のボスを否定できない精神しか持てていない者たちが恣意的に使えてしまう遠隔操作毒なんか使ってボスに悪い本能や欲望を強制的に与えられた犠牲者たちの体験の自治権やその命をせっせと奪っても状況を改めれるわけないでしょう? そんな状態で、あたしたち以外の一体、誰が改めてくれると思っているんですか?

本来、治療してあげなきゃいけないはずの犠牲者全員を苦しめたり殺してしまって、表向きだけの善人だけの世界なんかにしても、そんなことではぜんぜんダメでしょう?

そもそも残酷体験強制ピラミッドシステムやそのボスが消えていない状態でそんなことをしても、すぐにまた悪人が生まれてくるだけだし、人間族をたとえ全部消したとしてもボスがまた同じような残酷体験強制装置を最創造したら全部元の木阿弥でしょう?

そんなことで一体何が解決するんですか? そんなことをしても、あらゆる体験者に体験の自治権が結果的にちっとも提供されていかないですよね」


などと、ムゲンは、女神風の超時空体に非常に厳しいことを言われてしまった。返す言葉がない。


ムゲンはなんでこんなことをするはめになってしまったんだろうとちょっと泣きたくなってきた。


むやみやたらと分身体を危ない世界に派遣するんじゃなかったな…と後悔する。


できれば酷い世界にいるあらゆる体験者を助けてあげたいな……などと甘太郎にそそのかされて思ってしまったのが悔やまれる……

難易度高すぎだと今にして思う。


しかし、そう簡単にあきらめたくもない。


何しろ、自分自身の問題であるし、少なくともああした残酷世界やそのボスを自発的に否定できる良心的な体験者たちは救われねばならない…という思いがあるからだ。
そうでなくとも、ほとんどの体験者は、生まれた場所が本当に自由で安全な世界であれば、また悪い本能や欲望や感情や気分や価値観を強制的に与えられていなければ、良心的な選択ができる体験者になっていたと思うからだ。


であれば、悪い本能や欲望や気分や感情や価値観…だけを消してあげればいいじゃないか……という思いがある。


その思いをムゲンは超時体たちに具申する。


すると、


「だから、それは自業自得学園でいったん消してもらえるんだよ。それでも悪いことをする場合だけ自業自得学園で学ぶことになるって前に伝えたよね。

でも、あの不自由な世界では、ボスやその部下たちが、確信犯でわざとそうした問題のある本能や欲望や気分や感情や価値観…などを植え付けたり、洗脳したりしているんだから、少なくともそうしたことを確信犯でしている者たちにおいては、完全に無罪放免というわけにもいかないんじゃないか?

そこを無罪放免だとしてしまえば、他の体験者たちが、なんだ、そんなひどいことを確信犯でしても無罪放免になるのなら、遊び気分でやってみよう……などと思ってしまうだろう?

だから、確信犯でない者たちは情状酌量できると思うけど、確信犯たちには一定のペナルティは他の体験者たちの手前、与えないと問題があるんだよ」


などと言われてしまった。


ムゲンは、


「しかしですね、その確信犯なんですけど、そもそもそうした悪い本能や欲望や気分や感情や価値観…なんかを故意に強制的に与えられてしまったから、洗脳されてしまったから、確信犯になってしまったという面もあるんじゃないですか?


であれば、はじめにまずそうした悪い本能や欲望や気分や感情や価値観…を綺麗に取り除いてからの行為にしか確信犯の判定をすべきではないんじゃないですか?

ライオン族などが、確信犯でシマウマ族を襲う行為…これを確信犯なのでペナルティ対象になるとすれば何かおかしくないでしょうか?」


超時空体たちは、苦笑する。


「そうだね、確かにライオン族などの場合には、自分の本能に抗う自由度が極端に低いので、ペナルティがあるとしても極端に低いペナルティになるだろうね。
あるいは、自由度が0だと判定された場合には、ペナルティも0になるだろうね。

でも、君の問題としている不自由な世界のピラミッドシステムの上層部はそれなりの自由意志を持っていたり、かなりの知性をもっていたりするだろう?

ライオン族と同様の自由度や知性というわけではないはずだよ。少なくとも自由度0、知性0ではないよね」


なるほど、まあ、ライオン族と同様だと言えば怒り出すだろうから、同様ではないだろうとムゲンは思う。


「しかしですね、その自由度の判定って結構あいまいではないですか?

自分は自由だと思っていても、実は全然自由じゃない状態というのもあったりするでしょう?

ほら、本能の奴隷状態とか、欲望の奴隷状態とか、気分の奴隷状態とか、感情の奴隷状態とか、価値観の奴隷状態とか……そうであるにもかかわらず体験者本人は自分が奴隷ではなく自由なのだと思い込んでいるような場合はどうなるんですか?」


すると、


「そうした場合は、我々が客観的に見て奴隷状態だと判断すれば、奴隷状態ということになるよ。本人がどう思っていようとね。客観的にどういう状態かということで判断されるよ。

例えば、精神がおかしくなっていたり、麻薬のような薬などを飲まされていて、本人は自分は自由だと口では叫んでいても、実際は自由でないのなら、その状態は自由な状態ではないとうことになるね」


「であれば、まずは本当の自由をあの不自由な世界の体験者全員に提供してあげるのがいいんじゃないですか?

超時空体様たちに、それができるならしてあげるべきなんじゃないですか?」


そう質問すると、議長が、


「うむ、まさに我々は、そうしてやろうとしているのだよ。ムゲン君。

あの体験強制ピラミッドシステムをそのままにしている限り、本当の自由が提供できないのだよ。

しかもあの世界の体験者のほとんどが、あの体験強制ピラミッドシステムをそのまま抜本的に改めようともせずに何とかして守り続けたい…などと思っているのだから、本当の自由を提供するためには、強制力を行使するしかない状態なのだよ

あの体験強制システムを抜本的に改めない限り、あの世界を存続させたまま本当の自由を全員に提供できないのだとご理解くださらぬか?」


などと言われる。


「いやいや、今、私の分身体たちが説得をしているんですけど……まだ反省して改める可能性は完全に0ではないのではないでしょうか?」


とムゲン。


「いや、そんなことを言われてもねえ…完全に可能性0が確定するまで待っていたら、はじめにお伝えしたように、一定時間が経過すれば、今すぐにあの世界を消す場合よりも犠牲者の数が多くなってしまうんですよ。

せめてあらゆる体験者に体験の自治権を提供してゆくのだという断固たる決意表明でもボスや上層部の者たちにしてもらわないと…ピラミッドシステムがそのままである以上、上からの命令が絶対なら部下たちの一部やピラミッドの下層の体験者たちがそれを意志したとしても、あの世界の体験者全員が自由になれるわけないでしょう?」


と超時空体。


「では、あのピラミッドシステムだけを消せばいいんじゃないですか?」


とムゲン。


「いいかい、ムゲン君、ピラミッドシステムというものは、体験者たちの意識の中にあるんだよ。であれば、ピラミッドシステムだけを消すということは、あの世界の体験者たちの意識を私たちが乗っ取ることと同じことになってしまうんだよ。

まあ、いわゆる君たちが洗脳と呼んでいる行為を我々がしなければならなくなる。

ピラミッド型の組織の建物とか、そうした形だけ消しても意味ないからね。

体験者の意識にピラミッドシステムが存在するのが当然だという価値観が残っていれば、ピラミッドシステムを表面的に消しても消しても、そうした体験者がいる限り延々と生まれ続けるんだよ。

でもそうすると体験者の意識ごと白紙にしなきゃいけなくなったりするわけだよ。

そして、そうしたことをしてしまうと我々もより高次元の存在が生まれた時に、同じことをされてしまう危険を背負うことになるんだよ。

それは物質の肉体の世界での殺人と同じことをすることになるからね。殺人犯になってしまうわけさ。

であれば、そうした行為はできるだけしたくないわけだよ。

まあ、体験者本人からの切実な請願などがあれば、また話は変わるんだけどね。強制力を使って相手の合意もなくそうしたことをするのはそういう理由でやりたくないんだよ」


などと言われる。


ムゲンは、


「でも、世界ごと消されるよりは、意識だけ白紙にしてもらう方がいいって思う体験者の方が多いんじゃないですかね?」


と聞いてみる。


すると、


「多い多くないという問題ではないんだよ。ムゲン君。

多ければ全員をそうしていいとかそうした価値観は間違っているんだよ。

一体でもそれを望んでいない体験者がいれば、その体験者ごと全体にそうしたことをしていいということにはならないんだよ。

逆に言えば、君や私が、その一体の運命を担当しなければならなくなる自業自得の責任が発生してしまうからね。

だから個々別々の対応ができるのにせずに、まとめて体験者全体に網をかけるようなやり方は、自滅するやり方になるんだよ」


などと言われる。


「であれば、個々別々に問い合わせをして、個々別々に希望者だけその意識の白紙化をしてくれればいいのではないですか?」


とムゲンが質問すると、


「いやいや、すでにそうした問い合わせはいろいろな方法ですでにしているんだよ。

しかし、その問いにノーと応じる体験者が圧倒的多数状態なんだよ。

例えば、より弱いものから搾取しない生き方を選択したいかどうか?などと聞くと、多くがそのまま搾取し続けたいなどと答えてしまっている状態なんだよ。

また、例えば、人間族に憑依してその体験の自治権を奪わない生き方をしたいかどうか?などと聞くと、多くの霊的存在たちは拒否するんだよ。

まあ、ボスについては言わなくてもわかるよね。

まあ、ごく少数の体験者は、自発的に意識の白紙化を願い出てくれて、そうした体験者は超時空城などが救助してくれているけど、そうした体験者はほとんどいない状態になっているんだよ。

まあ、皆、自分が体験者であるという自覚がないから、意識の白紙化をされたら、自分が消えてしまうと思ってしまうようだね
。だからかなり賢明で心の広い自分が体験者だと理解して覚醒している体験者しか請願しないんだよ

自分が体験者であるとはっきりと自覚できている以上、意識が白紙化されても、体験者自体は消えないからね」


などと言われる。


ムゲンは、なるほどなあ……と思う。
へたに富や権力や地位や身分や自分の才能……などに執着していれば、そうした請願はできなくなるんだろうなあ……と思う。

しかし、それは不自由な世界の体験者たちが、不自由な世界しか知らないからそうなるのであって、本当に自由な世界を仮体験ででも知ることができれば、ごっそりと大集団で意識の白紙化を請願するんじゃないだろうか……などと思う。


すると、


「うん、それはいいアイデアだよ。 しかし、そのためにもやはりその仮体験ツアーに請願してもらわないと仮体験を提供できないんだよ。

そして仮体験をするためには、少なくとも肉体や霊体から意識体になってもわらわないといけないんだよ。

そうなると皆、それは嫌だと拒否してしまうんだよ。

まあ、空想の世界などである程度の仮体験などは提供することはできるんだけど、完全に意識丸ごとで体験するには意識体や超時空体に進化してもらわないと提供できないんだよ。

でも、肉体であれ、霊体であれ、空想力、まあ、想像力というのかな、高いイメージ力がある体験者なら劣化版であってもそこそこの仮体験はできるんだけどね。

ほら君たちの世界の映画とか漫画とか小説とか…そうした娯楽などは、そうした仮体験がそれなりにはできる分野になるよ。

あくまでそれなりに…までだけどね」


ムゲンは、この説明にわずかな希望を感じた。


「ということはですね、超時空体様、私がその映画とか漫画とか小説とかを制作して、それなりの仮体験をしてもらって請願者がいれば、どうなんでしょうか?」


すると、


「そりゃあ、完全な合意納得理解があって心から切実に請願する体験者がいれば、われわれもその申し出に応じる準備があるよ。

とはいえ、さっき伝えたように、放置しているとどんどんと犠牲者が増え続けている状態だから、その犠牲者の発生速度が早くなればなるほど、そんな悠長なことは言ってられなくなるんだけどね。

そこのところは理解してもらえるかな?」


と言われる。


「といいますと?」


ムゲンは悠長なことが言ってられなくなるとどうなるのだろうと思って聞いてみる。


すると、


「それはもう強制力を行使した救助や断罪をするしかなくなるよ」


「え? それって具体的にはどうするってことですか?」


「それは具体的な状況に応じて…ということになるから、確定的なことは言えないよ。

でも、基本、体験強制ピラミッドシステムごと消すことになると思うよ」


「はあ? なんでそうなるんですか?! 確信犯で悪いことをする体験者だけを成敗してくれればいいだけじゃないんですか?」


「あのね、ムゲン君、悪いことをする者たちというのは、さっきも話に出たように、体験強制ピラミッドシステムの仕組み自体が生み出し続けているんだよ。

ほら、悪い本能や欲望や気分や感情や価値観…みたいなものを故意に植え付けたり、洗脳したりするシステムがそのままである以上、いくら今現在の悪者を全部消しても、また新しく悪者が生まれてくるんだよ。延々とね」


「いやいや、今現在悪いことをしている者を全部消せば、その後は、残った良い者たちがそうした悪いシステムを改めるようになるんじゃないですか?」


「では聞くが、その良い者は、その不自由な世界にどれくらい残っているの?

われわれの価値観からすれば、本当に良い者とは、一人でも死ぬよりも耐え難い拷問苦を強制されている体験者がいるなら、その拷問苦をなくしてあげるためなら自分も世界ごと消されてもいいと本気で思えるような者なんだけど……」


「ええーーー!!!それはあまりにもハードルが高すぎるんじゃないですか?!」


「いやいや、ムゲン君、それが超時空世界では当たり前の常識なんだよ」


「いやいや、この話は物質世界や霊的世界の話であって、超時空世界の話ではないではないですか!」


「いや、そんなことはないんだよ。どの世界においてもそうした部分は変わらないんだよ

ただし、確かに利己的な生存本能などを肉体や意識に植え付けられてしまっているというハンデは情状酌量されるけど、世界を改めるという仕事をするために必要な精神的資格としては、それくらいの覚悟がないと我々としては認めれないんだよ。


だってそうだろう? もし、その良い者たちの中の誰かが乱心して、悪いことをしないとその命を奪うぞと脅せば、そうした覚悟がない者たちはすべてその悪者に従ってしまって、世界改革ができなくされてしまうんだからね」


そんなことを言われてしまい、ムゲンは返答に窮してしまった。


果たしてかの不自由な世界に、それほどまでの命がけで世界改革ができる覚悟を持った良い者はどれほどいるのだろうか……


そう考えると、実に少数派であることは確かだと思われた。


1000人に一人? あるいはそれ以下かと思われた。

霊的世界の存在たちなどに限定して言えば、さらにその確率が低くなるように思われた。

自分が永遠の命などを手に入れたと思っている霊的存在たちは、その体験強制ピラミッドシステム内だけでしか通用しない永遠の命であっても100%絶対確実に奪うぞと脅されたら、悪党に従ってしまう可能性が高いだろうなあ……などと思った。
すでに悪党ボスに従ってしまっているのだから、おそらくそうなるだろうなと思った。

ムゲンの希望は次第にまたしぼみはじめた…


どうやら、


★あらゆる体験者が自分の意志だけで自分自身のあらゆる体験を自由に選び楽しみ続けれる世界を実現しようという断固たる不屈の意志があり、

★さらに、乱心した悪党に殺すぞと脅されてもその意志を貫けるような体験者が少なくとも一体はいないと、その方法は認めてくれないようだということがわかってしまった。


条件がちょっと厳しすぎだろう……とムゲンは思う。


そんな体験者いただろうか……とムゲンはその不自由な世界に派遣している分身体たちの体験記録を高速で調べて見るが、これぞという体験者がいない……

そこそこいい線いっていると思える体験者はそれなりにはいたが、「あらゆる体験者に体験の自治権提供しようとしている」という部分が完全にはクリアーできていないのだ。


この「あらゆる体験者」という部分がなければ何とかなりそうだと思うも、その部分は絶対必要条件だと言われた。


神も悪魔も霊的存在も宇宙人も人間も動物も、惑星意識も、銀河意識も、宇宙意識も、その他の体験者たちも全部となると、そもそもそうした体験者を全部意識することすらできていない者も多かった。


ムゲンは、なんだよこれは……そんな過酷な条件つけたら無理ゲーじゃないか!と腹が立ってきた。


そんなの無理だよ……と思う。


いや、しかし今から育てれば……何とかなるかもしれない……などとも思う。


そこで、そうだ、ムゲン自身ならその条件を満たしているんじゃないか!と閃いた。


しかし、ムゲンだけがその不自由な世界に生き残ってもしょうがないじゃないか……と思う。


そんなの意味ないよな……と思う。


ムゲンは別にそうした不自由な世界に無理に生き残りたいわけでもないし、超時空城の超時空大遊園地などで愉快に遊ぶ方がいいからだ。


じゃあ、ダメじゃん……などと閃いた案を投げ捨てる。


そんな聖人だか超人だか勇者だか…を育てるっていっても、どうすれば育つのかもわからない。


そもそも今から育てはじめて間に合うのか……という問題もある。


育ってくれよ……と祈れば育つだろうか……などとも思う。


試しに自分の分身体を育てようとしたが、その多くに嫌がられてしまった……


ムゲンの分身体は、それぞれに独自の個性があるので、分身体といえども、平気で拒否してくるのだ……


仕方ないのでムゲンは、嫌がらない分身体を暗中模索で教育しながらも、すでにそうした条件をクリアしていると思われる他の体験者を必死に探しはじめた。


とりあえず、ボスやその部下の説得に成功するか、あるいは、そうした条件をクリアしている体験者を複数見つけないと体験強制ピラミッドシステムごと消されるらしいとわかり、ムゲンは途方に暮れながらもこうなればもうできることをするしかないな……と思った。

分身体たちの超時空城への避難準備にも着手しはじめた。


体験強制ピラミッドシステムのボスとその部下たちが自発的にあらゆる体験者に体験の自治権を提供しようと意志しはじめ、その他の体験者たちも命がけの良い意志を持った聖人や超人や勇者となって難関条件を大集団でクリアしてくれますように……と祈った。

そうなれば全員が助かる……


「あらゆる体験者の体験の自治権を尊重すること、あらゆる体験者の体験の自治権を尊重すること、あらゆる体験者の体験の自治権を尊重すること……この価値観さえその意志に最優先にセットしてくれればなんとかなるかもしれない……」


ムゲンはそうつぶやいた。


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