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第1部 ホワイティア支部改革編
【第13話】「はじまりの小さな一歩」
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朝。ホワイティアの空は、雲一つない快晴だった。
やわらかな陽光が村全体を照らしている。
ギルド支部の建物に近づくにつれ、ざわざわとした人の気配が耳に届いた。
まだ朝も早いというのに、支部の前にはすでに人だかりができていた。
「おおっ、四谷が戻ってきたぞ!」
「本当に倒れてたんだってな……あの畑を一晩で……?」
「いや、あれはマジで伝説だって。村の連中もドン引きしてたし」
興奮と驚きが入り混じった視線が、四方から知久に注がれる。
普段なら見向きもされない、地味で頼りない☆1冒険者だったはずの自分が、今はまるでヒーローでも見たかのような扱いを受けている。
「うわっ、えっと、なんだこれ……?」
注目を浴び慣れていない知久は、戸惑いに声を裏返しながら小さく身を縮める。
「──あ、知久! あんたもう大丈夫なの!?」
人混みをかき分けて現れたのは、アゼリアだった。
彼女の声には少しだけ心配がにじんでいるような気がした。
「ああ。……なんだよ、心配してくれてたのか?」
「はあ!? べ、別に心配なんかしてないけど!? ただ、王族として臣下の安全を“形式的に”気にしただけなんだけど!?」
顔を真っ赤にして、早口で言い訳を連ねるアゼリア。
ツンデレのテンプレみたいな返しに、思わず知久は笑ってしまう。
逆にここまで振り切ってるのは最近では貴重かもしれない。
そんなことを考えていると──
「あ、知久さん!」
「よお、大将! 大活躍だったな!」
ミロリーとゴルディが駆け寄ってきた。
ミロリーは以前よりも少しだけ、顔色が明るく見えた。
「ご、ごめんなさい……私が余計なことして、失敗して、全部知久さんが……」
しゅんと小さくなって謝るミロリーに、知久は首を横に振った。
「何言ってんだよ。むしろミロリーのおかげだろ。あの魔法がなけりゃ、あんなにすんなり進まなかった。大したもんだったよ」
その一言に、ミロリーの目がぱちくりと瞬き、それからふっと伏せられた。
「……うん。ありがとう」
その声は小さく、でも、確かに温かかった。
昨日まで自信なさげにうつむいていた彼女の背筋が、ほんの少しだけ、まっすぐ伸びたように思えた。
「聞いてくれよ、大将。あれからこのお嬢ちゃん、土魔法のコントロールがだいぶ上手くなってな、今じゃ畑仕事でも大活躍なんだぜ!」
「ええ!? 本当に!? すごいじゃないか!」
ミロリーは照れくさそうに頬を染めながらも、素直に嬉しそうに笑った。
「ま、まだちょっとずつだけど……あんまり広い範囲に使うと、また失敗しちゃいそうだから……」
「でもな、それでも1から手で耕すより、ずっと早くて効率的なんだよ。こりゃ今日中に終わるかもしれねぇな!」
「──よし、続き、みんなでやろうぜ。……協力してくれるか?」
知久の言葉に、集まっていた仲間たちが顔を見合わせ、次々にうなずいた。
「しゃーねぇ、ここまで来たら、やるしかねぇだろ!」
「あんたらばっかりにいいかっこさせられねぇからな!」
小さな支部で起きた、ほんの小さな改革。
だけど、その一歩が、確かに何かを変え始めていた。
やわらかな陽光が村全体を照らしている。
ギルド支部の建物に近づくにつれ、ざわざわとした人の気配が耳に届いた。
まだ朝も早いというのに、支部の前にはすでに人だかりができていた。
「おおっ、四谷が戻ってきたぞ!」
「本当に倒れてたんだってな……あの畑を一晩で……?」
「いや、あれはマジで伝説だって。村の連中もドン引きしてたし」
興奮と驚きが入り混じった視線が、四方から知久に注がれる。
普段なら見向きもされない、地味で頼りない☆1冒険者だったはずの自分が、今はまるでヒーローでも見たかのような扱いを受けている。
「うわっ、えっと、なんだこれ……?」
注目を浴び慣れていない知久は、戸惑いに声を裏返しながら小さく身を縮める。
「──あ、知久! あんたもう大丈夫なの!?」
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「はあ!? べ、別に心配なんかしてないけど!? ただ、王族として臣下の安全を“形式的に”気にしただけなんだけど!?」
顔を真っ赤にして、早口で言い訳を連ねるアゼリア。
ツンデレのテンプレみたいな返しに、思わず知久は笑ってしまう。
逆にここまで振り切ってるのは最近では貴重かもしれない。
そんなことを考えていると──
「あ、知久さん!」
「よお、大将! 大活躍だったな!」
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「ご、ごめんなさい……私が余計なことして、失敗して、全部知久さんが……」
しゅんと小さくなって謝るミロリーに、知久は首を横に振った。
「何言ってんだよ。むしろミロリーのおかげだろ。あの魔法がなけりゃ、あんなにすんなり進まなかった。大したもんだったよ」
その一言に、ミロリーの目がぱちくりと瞬き、それからふっと伏せられた。
「……うん。ありがとう」
その声は小さく、でも、確かに温かかった。
昨日まで自信なさげにうつむいていた彼女の背筋が、ほんの少しだけ、まっすぐ伸びたように思えた。
「聞いてくれよ、大将。あれからこのお嬢ちゃん、土魔法のコントロールがだいぶ上手くなってな、今じゃ畑仕事でも大活躍なんだぜ!」
「ええ!? 本当に!? すごいじゃないか!」
ミロリーは照れくさそうに頬を染めながらも、素直に嬉しそうに笑った。
「ま、まだちょっとずつだけど……あんまり広い範囲に使うと、また失敗しちゃいそうだから……」
「でもな、それでも1から手で耕すより、ずっと早くて効率的なんだよ。こりゃ今日中に終わるかもしれねぇな!」
「──よし、続き、みんなでやろうぜ。……協力してくれるか?」
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「しゃーねぇ、ここまで来たら、やるしかねぇだろ!」
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だけど、その一歩が、確かに何かを変え始めていた。
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