最強チート集団、雲上の支配者を地に落とす

ニャルC

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2章救世主、養殖業者になる編

第5話:プランB

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第5話:プランB
1ヶ月後。
会議室で一同を前にナノハは冷徹な元帥として、作戦開始を宣言する。
「こちらのカードは、
1.龍脈遺跡を押さえている、召喚を餌に魔王をおびき出す。
2.龍脈を満たすタイミングはこちらの望むタイミング。
この2枚で勝ちに行く。プランA発動」

龍脈が満ちつつある頃。
魔王とその切り札が、ついに龍脈遺跡周辺で観測された。
燐光を纏うチート持ちの3体の魔物。
理不尽な力で防衛線を突破し、龍脈の核に至ることだろう。

目的は新たな召喚による逆転か、人間側の召喚の妨害だ。
防衛線も抵抗も虚しく突破された、ように見えた。
狙いは遺跡の中に誘導するための演技のため、実は大した被害はない。
1ヶ月の訓練の成果だ。

遺跡の深部、龍脈の核。
伊織、劉斗が龍脈の召喚の間の入り口で待機している。
ユゴスが無機質に言った。
「お出迎えしないと、ね」
ついに姿を現した。

魔王は遠目にはローブを纏った人間に見えたが、
ローブの中には星空が浮かんでいる。
左右には切り札、チート持ちの魔物がいた。

だが、結果はワンサイドゲームで終わった。
伊織どころか、劉斗の剣すら全て当たり、相手の攻撃はかすりもしない。
戦いでも、稽古ですらない。作業に過ぎなかった。

なぜこんなことが出来たか?
一か月をかけて、結はレギーナの行った
「龍脈の核によるチートのブースト」を再現した。
龍脈の力を借りた【愚者の黄金】は、【黄金】となる。

つまり、劣化コピーではなく完全コピーを作成する。
「神のサイコロ」と「不死の理」。効果は完全回避、必中、復活。
この2つの理不尽なチートを得た、伊織と劉斗にとっては魔王の切り札も無意味だ。

魔物2体が大地へ還り、ついに龍脈は満ちた。
三度目の召喚が始まる。遺跡の床に召喚魔法陣が展開される。
その時、劉斗が魔法陣付近に移動していた。

水晶の柱が光り、新たな「召喚者」が姿を現した。
が、次の瞬間には伊織の二刀流の餌食となった。
人間と違い、召喚された瞬間にチートを持っていても、
アンチチートの精度低下からは逃れられない。

まして、召喚されてすぐでは回避も不可能。
召喚システムの隙を突いたこの一手で、魔王の増援は露と消えた。

残るは魔王、ただ一人。
ついに伊織、結、劉斗と魔王の最終決戦。
龍脈のブーストが切れ、【愚者の黄金】は、劣化コピーに戻る。
3人で包囲し、『確率変動』と『不死の欠片』の守護を頼りに劉斗が近づく。

魔王のチートの精度を落とし、攻撃は伊織に任せる作戦。
伊織がけん制に棒手裏剣を投げると、間合いを詰める。
対する魔王は、空間が歪む程の魔力弾を放った。
人類の運命を決する戦いになると、誰もがそう思った。
ただ、一人を除いては。

「時よ止まれ、汝は美しい」
と召喚の間に声が響いた。
魔王の放った魔力は、伊織に届くことはなく空中で停止した。

ウルフギャング、チート能力は『事象の未確定』。
元C9、現7thH協力者。
崩落する鉄骨を止め、結の愚者の黄金・狙撃を止めたこともある。
魔王の攻撃は全て空中で停止し、伊織に届くことはなかった。

ワンサイドゲーム、魔王を伊織が切り刻んだ。
ユゴスが伊織の顔を見ると、からかうように言う。
「せっかくの大手柄なのに不満そうだ、ね。魔王を討った剣聖さま?」
伊織が憮然と答える。
「釈然としないだけだ、これで手柄などと」
結がからかうように言った。
「戦場の合理主義者とは思えないわね、最短で魔王討伐したのに」
伊織がそっぽを向いた。

指揮所で戦況を表示する、ディープブルーを見ていたナノハ。
「私のプランB、間に合ってよかった。
ウルフは今でも、結も劉斗もアルの仇だって言うだもん。
説得に一カ月かかった。
でもなんとかしたわよ。おじさん。
「セレス、エスプレッソ砂糖多めでお願いね」
言うとそのまま、机に突っ伏した。

第6話:お互いの利益2
魔王の召喚で空になった龍脈は、魔王を倒した分だけ満たされた。
だが、決して100%になるほど甘くはない。

その日から魔物を血眼で探して狩る日々が始まりだ。
魔王という統率者を失ったせいか、個体数が減ったせいか、効率が悪い。
ついには、空の魔物や海の魔物、深海の魔物を狩るには?
などと検討されるに至った。

ついにフリーダから、衝撃的なプランが提案される。
「チャージ速度を安定させる、ウルフギャングから試作品が届いたの」
そのプランは、魔王軍の残党を捕獲し、管理下で繁殖させる。

彼女は帰還計画の当初から、魔物を素材として活用することを検討していた。
資源になる魔物を選別し、養殖する。
現地人には資源を、転移者には龍脈のチャージを。
お互いの利益になるプラン。

養殖プランが軌道に乗ってしばらくして、劉斗がふと、遠い目をして聞いた。
「結、転移者は王様が『世界を救う救世主』として召喚したんだよな?」
その問いに、結が、視線を書類に向けたまま即答する。
「私もそう聞かされたけど、養殖業者とは聞かされてなかったわ。
ほら、手が止まってるわよ」
「だよな、知ってた」
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