【完】ＢＬゲームに転生したオレは鬼畜王子から逃げだしたい

ひゃくさん

    食事も風呂も済んで本を広げたところだった。

    薔薇の花束・・・

    マジか・・・

    オレの頭にゲームのハッピーエンドのスチルが浮かんでは消える。この人、なんでこんな不吉な物持ってるの？しかも本気の笑顔で・・・
「分かったぞ」
戸惑うオレにグイグイ薔薇を押し付けてくる。
「はぁ・・・」
「結婚してくれ」
「はっ？」
想像の右斜め上４５度を行く『殿下』の発言に素っ頓狂すっとんきょうな声が出た。待て！こいつ何を言ってんだ？
「すみません、何がどうなって結婚なんでしょうか」
「執着ではないからだ」
オレが受け取らないので『殿下』は薔薇をテーブルに置いた。いつの間にか手にはタオルを持っている。どこから出てきた？『殿下』はオレの背後に立って、濡れたままの髪を拭きだした。
「ようやく分かった。お前は俺がお前に執着していると言ったが、そうではない」
おっ？私じゃなくて俺になったよ。
「お前に感じていたのは愛だ」
「へっ？」
思わず素で返事してしまった。いやいやいやいや。どうやったらあそこから愛なんて結論が導き出せるんだ？『殿下』が色気ダダ漏れの顔で覗き込んでくる。
「結婚してくれ」
腰にくる魅惑のバリトンが耳許をくすぐる。

    なんでー！

   どーして愛に目覚めるのー？

    オレは理不尽なプロポーズに、遠い目になってライフを減らした・・・