【朗報】体型に自信のなかったこの俺が、筋トレしたらチート級の筋肉になった! ちょっと魔王倒してくる!【ラノベ】

ネコ飼いたい丸

文字の大きさ
30 / 42

第三十話 最果ての地 その二

しおりを挟む

「弓矢よ! ゴーレム、防いで!」

 ルナが叫んだ。

 ゴーレムはオリバたちの前に密集する。

 大きな矢が何本も飛んでくるが、ゴーレムの体に弾かれる。

 この陣形のままオリバたちは前に進む。

 敵の姿がハッキリ見えた!

 敵は五人。
 真ん中に小さい魔法使い、その両脇に漆黒の鎧をまとった巨大なスケルトンが二体ずつ立っている。

 オリバたちが近づくとスケルトンたちは弓矢を捨て、鞘から剣を引き抜く。

「ネクロマンサーとその操り人形ね! 巨人族の屍を利用してる。合計五体、私がやるっ!!」

 ルナは地面に飛びおりた。

「森魔法! ツリー・ハンド!!」

 ルナが魔法を唱えると、地面から無数の木が生えてくる。

 木々はネクロマンサーとスケルトンに巻き付き、彼らの動きを妨げる。
 その隙にゴーレムがスケルトンの胸にパンチを打ち込む。

 スケルトンは低いうめき声をあげて黒い霧となって消えていく。

「残すはネクロマンサーね!! やれ、ゴーレム!!」

 ルナが命令すると、四体のゴーレムが一斉にネクロマンサーに飛び掛かる。

 ゴーレムの拳がネクロマンサーに触れる直前、ネクロマンサーが消えた。

 ネクロマンサーはルナの目の前に現れる。

「小娘! このワシを誰だと思っておる! 死を操りし者・ネクロマンサーだぞ! 貴様なぞが倒せるわけなかろう。これがワシの本当の力じゃ! S級魔法! デスキル!!」

 ネクロマンサーの前に黒い魔法陣が浮かびあがる。
 魔法陣から漆黒のエネルギーがルナに向かって放たれる。

 ルナは杖を前に向ける。
 杖の前に緑色の魔法陣が浮かび上がる。

「召喚魔法! 悪食あくじきワーム!!」

 魔法陣から巨大なワームが飛び出す。
 ドラゴンの顔と蛇の体をもち、全身が固い鱗で覆われている。

 悪食ワームは大きく口を開く。
 ネクロマンサーの魔法をその口で受け止めた。

 ネクロマンサーは魔法を唱え続ける。

 悪食ワームは魔法を飲み込みながら、どんどん前に進む。

 ネクロマンサーの前まで来た。
 悪食ワームは魔法陣に噛みつき、ネクロマンサーの魔法を破った。

「バ、バカな……。ワシの魔法を食らいおった……。だが、ワシはアンデッドじゃ! 殺すことなどできんぞ!!」

「どうかしら!? あんたは死を操りし者。こういう魔法に弱いんじゃないの? S級魔法! 生命の息吹いぶき!!」

 ルナは杖を地面に着ける。

 ネクロマンサーの足元が光り、そこから色とりどりの花が咲き始める。
 花はネクロマンサーの足にも広がってくる。

「な、なに! 動けない……。くそ……ワシの力が吸い取られていく……」

 ネクロマンサーは苦しそうに体を震わせる。
 体の半分が花で覆い尽くされている。

「生きものの死をもてあそんできたことを後悔しなさい! これがあなたの最期よ!!」

 ルナは魔法を強める。

「こんな小娘にワシがぁぁぁああ!!」

 ネクロマンサーの全身が花で覆われる。

 ネクロマンサーは黒い霧となって消えていった。

「へへーん! どんなもんよ、オリバ! 私にかかればS級モンスターのネクロマンサーだってお茶の子さいさいよっ!!」

 ルナは勝ち誇った顔でオリバのほうを向く。

「ルナって実は凄いんだな……。ただの口が悪いエルフだと思ってた……」

 オリバは正直だ。

「はぁ~!? 当たり前でしょ! 私は歴代最高の魔力を持つエルフよ! エルフの王族の血だって引いてるのよ。でもまぁ、ずっと昔に王国は滅んじゃったけどね」

「王族の血を引いてるとは思えない口の悪さだけどな」

「うるさいわね!! これは個性よ! 私とこうやって話せるだけでも光栄に思いなさい!」

「いや、思わん」

「思いなさい!! 『ああ、神様! 今日もルナ様とお話できるなんて夢みたいです』って四六時中、神に感謝してなさい!!」

「あっそ。ところで、ここに敵がいたってことはこのあたりになにかあるってことだよな?」

 オリバは話題を変える。

「ぐぬぬ……。勝手に話題を変えるんじゃないわよっ! ……でもまぁ、その通りよ。このあたりに何かあるに違いないわ」

「荒野が続いてるだけだけどな……」

 ふたりはあたりを見渡すが何も見当たらない。

「きっと隠蔽いんぺい魔法で隠されてるんだわ。ここはこのルナ様の出番ね! さっきからまったく役に立ってない誰かさんとの違いを見せてやるわよ! まぁ、誰とは言わないけどねぇ?」

 ルナは勝ち誇った顔でニヤニヤしながらオリバをみる。

 ルナは地面に杖をつき目を閉じる。

「探知魔法! アンヴェイル!!」

 杖の周りの地面が緑色に光り始める。

 緑色の光は杖を中心に同心円状にどんどん広がっていく。

 あたり一面が緑色の光で覆い尽くされた。

「見つけたわ!」

 ルナは目を開け、魔法を解除した。

 ルナは歩き始める。

 オリバもルナのあとを追う。

「ここよ! 隠蔽いんぺい魔法で隠されてるけど、ここから強い魔力を感じるわ!」

 ルナは何もない地面を指さす。

「本当か? 俺には何にも見えないけど……」

「本当よ!! あんたはもっと私の力を信じなさいっ! 見てなさい! 解除魔法! マジックキャンセル!!」

 ルナの両手から緑色の光が放たれ、地面を照らす。

 …………。

 何も起きない。

 地面が緑色の光で照らされているだけだ。

「ほらっ! やっぱりなんにもないじゃ……」

 オリバがルナをからかったとき――

 氷が割れるような乾いた音が辺り一面に響き渡る。

 照らされている大地から音は聞こえる。

 音量がどんどん大きくなる。

「どりゃぁぁあ!! さっさと壊れろぉぉぉお!!」

 ルナはさらに魔法の出力を上げる。

 突如、何もない大地に大きなガラスのようなものが浮かび上がる。
 ところどころヒビが入っている。

 ヒビはどんどん広がっていく。

 大きな乾いた音とともにガラスのようなものは粉々に砕け、消え去った。

 何もなかったところに大きな穴が開いている。

 オリバは中を覗き込む。

 穴の中は真っ黒でトロトロした液体で満たされている。

「ネクロマンサーはここを守っていたのね。ここから強力で邪悪な魔力が溢れ出ている。魔王城に通じる道で間違いないわ」

 ルナは自分とオリバに魔法をかける。

「水の中でも呼吸ができる魔法よ。魔法攻撃も防げるわ。ここから先は危険ね……。妖精たちとはここでお別れよ。妖精さんたちありがとね!」

 ルナは巨大アリとゴーレムに妖精たちを故郷まで送り届けるよう命じた。

 妖精たちは最後の挨拶とばかりにオリバたちの周りを楽しそうにクルクルと飛び回り、故郷へ帰っていった。

 ルナはオリバに手を差し伸べる。

「わ、私の手を握りなさい! あんたは魔法が使えないから、この穴の中で迷ったら最期よ。必要だからやってるだけで、変なふうに勘違いしないでよねっ!」

 ルナは顔を赤らめそっぽを向く。

 オリバはルナの手を握る。

 小さくて薄くて柔らかい。

 そんな手のひらだった。

「それじゃ、『せーのっ!』でこの穴に飛び込むわよっ!」

 ルナが掛け声をかける。

 ふたりは手をつないだまま、穴の中に飛び込んだ。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

無能と追放された鑑定士の俺、実は未来まで見通す超チートスキル持ちでした。のんびりスローライフのはずが、気づけば伝説の英雄に!?

黒崎隼人
ファンタジー
Sランクパーティの鑑定士アルノは、地味なスキルを理由にリーダーの勇者から追放宣告を受ける。 古代迷宮の深層に置き去りにされ、絶望的な状況――しかし、それは彼にとって新たな人生の始まりだった。 これまでパーティのために抑制していたスキル【万物鑑定】。 その真の力は、あらゆるものの真価、未来、最適解までも見抜く神の眼だった。 隠された脱出路、道端の石に眠る価値、呪われたエルフの少女を救う方法。 彼は、追放をきっかけに手に入れた自由と力で、心優しい仲間たちと共に、誰もが笑って暮らせる理想郷『アルカディア』を創り上げていく。 一方、アルノを失った勇者パーティは、坂道を転がるように凋落していき……。 痛快な逆転成り上がりファンタジーが、ここに開幕する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

処理中です...