ブチギレ勇者と学年一かわいい幼なじみ~ドキドキッ! 宇宙人のダンジョン☆攻略大作戦!!~

ネコ飼いたい丸

文字の大きさ
2 / 37

第2話 ドキドキッ! 宇宙人のダンジョン☆攻略大作戦!!

しおりを挟む

 ハヤトが教室に入ると、教室内は騒然としていた。
 同級生たちは夢中になってなにか話している。

「おはよう。ハヤトくんも昨日、変な夢みた? みんな夢のこと話してるんだよ」

 飯田いいだ 陽介ようすけがハヤトに話しかける。
 コミュ障なハヤトの数少ない友達だ。

「おはよ、ヨースケ。変な夢? そういえば、なんか見たような……」

「やっぱり! ボクも見たんだ! 全員が同じ夢みるなんて不思議だよねっ!」

「でも昨日は深夜までネトゲやり過ぎたからな~。爆睡してイマイチ覚えてないな……」

「あはは、ハヤトくんらしいね。昨日の夢はね、宇宙人がでてきたんだ。宇宙人が作ったゲームを攻略できたら、どんな願いでも叶えてくれるって!!」

 目を輝かせてイキイキと話すヨウスケ。

「うさんくさっ! なんかのイタズラじゃないのか? お前、そーいうのホント好きだよな~」

 ハヤトは呆れた顔をヨウスケにむける。

「と・こ・ろ・がっ!! 高校生全員のスマホに知らないアプリがインストールされているんだよっ! 削除できない謎のアプリだよ!!」

 ヨウスケはスマホをハヤトの前に突きだす。
 一つのアプリが表示されている。
 その名は――

【ドキドキッ! 宇宙人のダンジョン☆攻略大作戦!!】

「嘘つけ! 朝から変な冗談いう……」

 自分のスマホを見て絶句するハヤト。
 同じアプリがインストールされている。
 インストールした記憶なんてない。

「グッドモーニングでゴザルよ、諸君。昨日は夜中まで精進してて寝坊したでゴザル」

 ポニーテールに結んだ紫色の長髪。長身細身の学生がハヤトとヨウスケに話しかける。
 ハヤトの同級生・上杉うえすぎ 錬太郎れんたろうだ。

「精進って。どうせくだらないことでもしてたんだろ」

 投げやりな態度でハヤトはレンタロウに顔を向ける。

「くだらないとは失敬なっ! 拙者が保有するエロ動画を『女子高生』から『団地妻』までカテゴリーで分類し、カテゴリーごとに連番をふったでゴザルぞっ!!」

「守備範囲広すぎんだろっ!」

「ハヤト殿、えり好みしないで何事にも挑戦してみる。そうやって人は成長するでゴザルぞ」

「た、たしかに……」

「落ち着いて、ハヤトくん! レンタロウは何にも良いこと言ってないよ!? ただ自分の性癖を公開しただけだよ!」

 ヨウスケがハヤトをなだめる。

「フンッ、ヨウスケ殿にはこのロマンスが理解できぬとな! 武士の風上にもおけぬでゴザル」

「そんな武士いやだよっ!!」

「でもいいでゴザル。このゲームをクリアすれば、拙者の願いは叶うでゴザル!!」

 レンタロウはふたりにアプリ『ドキドキッ! 宇宙人のダンジョン☆攻略大作戦!!』を突きつける。

「レンタロウくんのスマホにも入ってたんだね! ボクとハヤトくんのスマホにも勝手に入ってたんだよ!!」

 ヨウスケは嬉しそうにアプリを見せる。

「レンタロウくんはもしゲームをクリアしたらなにを叶えてもらうの?」

「聞かなくていいだろ、そんなもん。どうせコイツのことだから、『透明人間になって女風呂を覗きたい』とかだろ」

「さすがハヤト殿! 卓越した洞察力の持ち主でゴザル。伊達だてに我ら三人で童貞同盟を結んでおらぬでゴザル!」

「オイッ! そんな同盟結んだ覚えないぞっ!」

「ボクもないよっ!!」

 ハヤトとヨウスケは慌てて否定する。

「しかーし、ハヤト殿の推測はハズレでゴザルよ。最初は透明人間も考えたでゴザル。しかし、覗きなど卑劣な行為。拙者、犯罪には手を染めぬでゴザル!」

「レンタロウくんがまともなこと言った!!」

「そんな『クララが立った』的なテンションで言われても困るでゴザルよ、ヨウスケ殿。拙者、現在に生きようとも心は常に戦国時代にゴザル」

「うるせぇよ。で、結局、お前は何を叶えてもらうんだ?」

「ふふふ……この高尚な志に打ちひしがれるがよい! 拙者、上杉 錬太郎の願い! それは、女子高生が乗る自転車のサドルになるでゴザルよっ!!」

「「は……?」」

 ハモる二人。

「ふっ、感銘を受けて言葉もでぬでゴザルか。サドルになれば女子高生に毎日座ってもらえるでゴザル! しかも、サドルの役割はご主人様に座られること! まったくやましいところがないでゴザルよっ!!」

「ちょっ、落ち着いてよ、レンタロウくん! サドルになったら喋ることも動くこともできないよ!」

「かまわぬっ! 武士道とはサドルになることと見つけたり!」

「見つけちゃダメだよっ!! そんな特殊性癖な武士道ないよ!」

「いや、ある! ヨウスケ殿も一緒にサドル道を極めようではないか!!」

「極めないよっ!!」

「やけに反対するでゴザルな……さてはヨウスケ殿も同じことを考えておったな! 友達のよしみでゴザル。ゲームをクリアしたら一緒にサドルになるでゴザルよ」

 満面の笑みでレンタロウはヨウスケの肩に手をおく。

「絶対に嫌だよっ!!」

 ヨウスケはレンタロウの手を振り払う。

「ふふ、照れ隠しでゴザルか。しかしっ、いくらヨウスケ殿と言えどサドルの尖った部分は譲れぬでゴザルよ!! ヨウスケ殿はサドルの後ろ側の丸い部分になるでゴザル」

 レンタロウは真剣な眼差しをヨウスケに向ける。

「黙れ、サドル侍。お前に健全な答えを期待した俺がバカだったよ。……まあ、みんなどんな願いを叶えてもらうかめっちゃ盛り上がってるけどな」

 ハヤトは教室を見回す。

「でも、雪城ゆきしろ りんさんはほんとブレないよね。こんな状況でもいつも通りひとりで読書しているよ」

 ヨウスケはリンに視線を向ける。

 クールな美少女が一人静かに読書をしている。
 紺色のストレートロングヘアー。切れ長の涼しい目。
 周りの騒ぎなどまったく気にしていない。

「グフフフ……相変わらずリン殿は美しいでゴザル。あの周りに媚びない性格にグッとくるでゴザル」

「お前はほとんどの女子にグッと来てるだろうが。クラスの女子にフラれまくってるやつがよく言うぜ。リンにも告白したのか?」

「当然でゴザル! 休み時間の10分間、リン殿をひたすら口説き続けたでゴザルよ。拙者の口説き文句を無言で聞き続けたリン殿は最後に一言だけこう言ったでゴザル。『あら、カメムシだと思ったらレンタロウくんだったのね』とっ!!」

 レンタロウは机を叩く。

「うゎ……さすがにそれはキツイな……」

「うん。ボクもそれはリンさんが言いすぎだと思うよ」

 ハヤトとヨウスケはレンタロウをなぐさめる。

「否!! もっと拙者をののしってほしいでゴザル! クール美少女に罵られて喜ばない武士などおらぬでゴザルよっ!!」

 レンタロウは頬を紅潮させて語気を強める。

「お前、ほんとブレないな……」

「当然でゴザル。拙者の心は日本刀。真っ直ぐ芯が通っているでゴザルよ! ところでハヤト殿、さっきから気になっていたでゴザルが……。ハヤト殿の右手から良い香りがしますぞ。まるで女子の香りでゴザル」

(コイツは犬か!!)
(言えない……童貞という絆で結ばれたこいつらに、激かわ女子高生(しかも幼なじみ)のおっぱいを揉んだなんて……)

 ハヤトは必死で言い訳を考える。

「よく見ると、ハヤト殿の右手に微小繊維が付着してゴザらんか? 女子高生のブラウスに由来した繊維っぽいでゴザル」

(お前は一体なんなんだっ!?)

 ハヤトの額から汗が噴き出す。

「ハ・ヤ・ト殿!? これは一体どういうことでゴザルか??」

 レンタロウの顔は世界滅亡を目の当たりにしたように深刻だ。

「いや……それは、その……」

「そのなんでゴザルか!? まさかだとは思うが、『漫画みたいに曲がり角でぶつかって、その流れで女子高生の胸をわしづかみにした』などとは言わぬでゴザルなっ!?」

(お前はエスパーかっ!?)
(もうダメだ。素直にほんとのことを言うしかない)

 ハヤトが諦めて口を開いたとき――

「みんな、静かにしなさいっ!」

 長身の女子生徒が教室に入るなり叫んだ。
 真っ赤な瞳。腰までまっすぐ伸びた燃えるような赤髪。
 その細身に似つかわしくないほど豊かな胸が歩くたびに揺れる。

「学級委員長の赤司あかしレナ殿でゴザル! モデル顔負けのスタイルにあの美貌! あの美脚を見るでゴザルよっ!! 拙者はレナ殿の自転車のサドルになるでゴザルよ!」

 レンタロウは恍惚とした表情でレナを見つめる。

「先生方は例の不審アプリのことで職員会議中よ。朝のホームルームと1時限目の授業は自習とします。くれぐれもあのアプリを触らないようにっ!」

 レナはピシャリと言い放ち、クラス全員を睨みつける。

「以上よ。みんな着席して自習を始めて」

 レナが自席に向かおうとしたとき――

 クラス全員のスマホが振動し始める。
 『ドキドキッ! 宇宙人のダンジョン、攻略大作戦☆』が勝手に起動する。
 強烈な光がスマホから発せられる。

 生徒たちの体がふわっと宙に浮いてそのままスマホの画面に吸い込まれた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...