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03 トライアル (3)Vesta & Baltroy
09 Baltroy (殺人犯的思考)
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一人目の被害者。街中の化粧品の販売員。現場の画像を端末に映し出した。美人だ。デスマスクを見ても隙のない化粧。首を絞められたせいで舌が飛び出しているけど、それ以外はマネキンみたいだ。死姦されている。
次。こちらはステーション近くにある企業の受付嬢。45歳だが、年齢調整で十代後半に見える。これも首を絞められて窒息死した後、死姦されている。一人目との違いは、服をはだけられたまま放置されていること。一人目の時はたぶん、本当にスカートを捲り上げ陰部だけ出してやって逃げた。二人目は体中を弄ったんだろう。なんというか、犯行に余裕が出てきている。
三人目。これは刺殺。かなり部屋が荒れて見える。そこら中に血が飛び散っているが、残念ながら、加害者の血液は見つかっていない。全部被害者の血。
おそらく最初の一撃が致命的で、ろくに反撃もできずに部屋の中を逃げたんだろう。被害者はヨガインストラクター。髪が腰まであったらしいが、遺体はばっさり切られている。直前のクラス指導の時は長いままだったので、犯人が切って持ち帰ったと考えられる。
四人目はレプリカント。ステーション近くの病院の看護師をしていた。第三種公務員。これが一番凄惨。三人目と同様、刺殺と見られる。右前方から肝臓まで到達する深さの刺創。腹を裂かれたり、目をくり抜かれたりしたのは絶命してから。
よくできるもんだ。絞殺遺体なんて、決して生きてる時ほど綺麗じゃない。そうまでして無抵抗にしたいのか? まあこの辺の心理はわかる必要はないだろう。芯から理解できても困る。
俺たちに期待されてるのはレプリカントの被害者の件についての考察。こっちが持ってる情報の中で犯人に結びつきそうなやつをザムザに渡してやらなければならない。
殺されたレプリカントの名前はリリナス・ネア。外見年齢は23歳の設定。AI支配率は34%。納品から一年半で払い下げられて第三種になっている。
発注者の方を念のため調べてみたが、彼女が払い下げられる少し前に死亡している。もともと彼女には看護師としての手技がインストールされていたようだったので、発注者の看護用に購入され、発注者の死亡とともに親族が払い下げたと見るのが妥当だろう。さて。
「ヴェスタ。何か思いつくか?」
「うーん。どうして三人目からは刺殺になったのかな?」
「絞殺がめんどくさくなったからかなと。絞殺は力がいるし、時間がかかる。その分抵抗もされる。他の殺し方をしてみたくなった可能性もある」
「なるほどね。他の殺し方か。じゃあ四人目からなんでいきなりお腹を開いたり目をくり抜いたりしたんだろう。エスカレートしただけにしては突飛じゃない? 三人目は同じ刺殺でも髪の毛だけなのに」
「そうだな。確かに急に飛んだ感じがあるな。うーん、例えば、他の三人でもやりたかったけど時間がなかったとか」
「3人目の被害者のときは余裕ありそうだけど」
「そうかも知れない。でもな……」
「でも?」
「こういうやつの気持ちはわからないからな」
「それを言っちゃうと推理にならない」
「まあそうだ」
四人目でいきなり猟奇度が上がってるのは確かなんだ。何か、そういうスイッチを入れた要因はあるわけだ。なんだろう。三人目と四人目で何が違う?
「やっぱり四人目がレプリカントだからか?」
もう一度リリナスの納品書を確認してみる。詳細。看護師の知識及び手技をプレインストール。サーモ、血圧測定、温湿度計つき。サーモか。
「サーモも夜目が光るな。これってどうなってる? 年がら年中サーモで見えるのか?」
「ううん、意識的に落とすことができるよ。見え方がややこしくなるから、普段はサーモでは見てないな」
「夜は?」
「俺は暗視しちゃうけど、サーモだけの人はどうなんだろう。サーモで暗闇を見たら、人が来たりするのはわかりやすそうではあるけど」
「お前あんまりサーモ入れた甲斐がないな」
「ちょっとは役に立ってるよ」
リリナスはだから、外見でレプリカントだとわかったはずだ。レプリカントだから何をしてもいいと思った? 被害者たちの生前の画像を並べてみる。全員が陶器のような肌。びっしりと生え揃ったまつ毛。ちょっときつい美人たち。
「画像だけ見ると全員レプリカントみたいに見えるな」
「間違ったんじゃない?」
「ん?」
「レプリカントを殺そうとして、間違ってヒューマンを殺しちゃったんじゃない?」
「なるほど。実にレプリカント人権保護局の捜査官ぽいコメントだな。俺たちはその線を考えてみるか」
レプリカントを連続で殺傷する事件は、対象がヒューマンの事件よりずっと多い。ヒューマンを殺傷するより比較的刑が軽かったり、そもそもヒューマンから攻撃されると死に物狂いでの抵抗がレプリカントにはできないから。人権の無いのを選んで殺して回っていたやつもいた。これは器物損壊にしかならないから、すぐに放免になった。
「今回の件で、夜に目が光ってるのがレプリカントだってわかったんだよね?犯人は」
「まあ。わかったかも知れない。犯行時刻は午後七時半だから、暗闇の中待ち伏せか何かで部屋に押し入ったとして、光ってるのはわかったんじゃないかな」
「だから目をくり抜いたんだよね? きっと」
そうか。
「お前結構……」
「何? だからね、ステーションで夜に目が光る俺が立ってたら、目をつける可能性はないかな?」
「待て。待て待て待て。だめだからな。囮捜査は基本的にだめって前も言ったよな?」
「潜入はよくてこれはダメってのは意味がわからない!」
「潜入はレプリカントの中に入るだけなんだから大人しくしてりゃ死なないだろ! これは大人しくしてても殺されるんだよ」
「殺される前に助けてくれりゃいいじゃん!」
「そううまく行くかよ! だめなもんはだめ。大体お前はなんだってそんなに囮になりたがるんだよ!」
「だって簡単じゃん! 俺レプリカントだし!」
「お前を囮に使うくらいなら俺がなった方がましだ! 怪我したら死ぬくせに。てか実際死にかけたくせによ。勝手に乗り込んで。しかも2回も!」
ヴェスタはぷいと自分の席に戻ってしまった。本当になにか手を考えないと。次の犯罪が起こる前に止められればベスト。まだレプリカントは一人目。
確率として一番高いのを考えてみよう。体液の登録がないなら18歳未満だ。そして学校があるはずだ。たいていは。どんな行動をする? 街を歩く女たちの顔を見て、好みのを探す。放課後。犯行時刻は? 資料を確認してみる。七時半から九時。被害者たちが家に帰る時刻。
ステーションの近くの職場ばかりなら、ステーションで物色してるんだろう。学生なら長時間ステーションにいても怪しまれない。四人目から一ヶ月だ。そろそろ次に手がかかってしまうんじゃないか。
次。こちらはステーション近くにある企業の受付嬢。45歳だが、年齢調整で十代後半に見える。これも首を絞められて窒息死した後、死姦されている。一人目との違いは、服をはだけられたまま放置されていること。一人目の時はたぶん、本当にスカートを捲り上げ陰部だけ出してやって逃げた。二人目は体中を弄ったんだろう。なんというか、犯行に余裕が出てきている。
三人目。これは刺殺。かなり部屋が荒れて見える。そこら中に血が飛び散っているが、残念ながら、加害者の血液は見つかっていない。全部被害者の血。
おそらく最初の一撃が致命的で、ろくに反撃もできずに部屋の中を逃げたんだろう。被害者はヨガインストラクター。髪が腰まであったらしいが、遺体はばっさり切られている。直前のクラス指導の時は長いままだったので、犯人が切って持ち帰ったと考えられる。
四人目はレプリカント。ステーション近くの病院の看護師をしていた。第三種公務員。これが一番凄惨。三人目と同様、刺殺と見られる。右前方から肝臓まで到達する深さの刺創。腹を裂かれたり、目をくり抜かれたりしたのは絶命してから。
よくできるもんだ。絞殺遺体なんて、決して生きてる時ほど綺麗じゃない。そうまでして無抵抗にしたいのか? まあこの辺の心理はわかる必要はないだろう。芯から理解できても困る。
俺たちに期待されてるのはレプリカントの被害者の件についての考察。こっちが持ってる情報の中で犯人に結びつきそうなやつをザムザに渡してやらなければならない。
殺されたレプリカントの名前はリリナス・ネア。外見年齢は23歳の設定。AI支配率は34%。納品から一年半で払い下げられて第三種になっている。
発注者の方を念のため調べてみたが、彼女が払い下げられる少し前に死亡している。もともと彼女には看護師としての手技がインストールされていたようだったので、発注者の看護用に購入され、発注者の死亡とともに親族が払い下げたと見るのが妥当だろう。さて。
「ヴェスタ。何か思いつくか?」
「うーん。どうして三人目からは刺殺になったのかな?」
「絞殺がめんどくさくなったからかなと。絞殺は力がいるし、時間がかかる。その分抵抗もされる。他の殺し方をしてみたくなった可能性もある」
「なるほどね。他の殺し方か。じゃあ四人目からなんでいきなりお腹を開いたり目をくり抜いたりしたんだろう。エスカレートしただけにしては突飛じゃない? 三人目は同じ刺殺でも髪の毛だけなのに」
「そうだな。確かに急に飛んだ感じがあるな。うーん、例えば、他の三人でもやりたかったけど時間がなかったとか」
「3人目の被害者のときは余裕ありそうだけど」
「そうかも知れない。でもな……」
「でも?」
「こういうやつの気持ちはわからないからな」
「それを言っちゃうと推理にならない」
「まあそうだ」
四人目でいきなり猟奇度が上がってるのは確かなんだ。何か、そういうスイッチを入れた要因はあるわけだ。なんだろう。三人目と四人目で何が違う?
「やっぱり四人目がレプリカントだからか?」
もう一度リリナスの納品書を確認してみる。詳細。看護師の知識及び手技をプレインストール。サーモ、血圧測定、温湿度計つき。サーモか。
「サーモも夜目が光るな。これってどうなってる? 年がら年中サーモで見えるのか?」
「ううん、意識的に落とすことができるよ。見え方がややこしくなるから、普段はサーモでは見てないな」
「夜は?」
「俺は暗視しちゃうけど、サーモだけの人はどうなんだろう。サーモで暗闇を見たら、人が来たりするのはわかりやすそうではあるけど」
「お前あんまりサーモ入れた甲斐がないな」
「ちょっとは役に立ってるよ」
リリナスはだから、外見でレプリカントだとわかったはずだ。レプリカントだから何をしてもいいと思った? 被害者たちの生前の画像を並べてみる。全員が陶器のような肌。びっしりと生え揃ったまつ毛。ちょっときつい美人たち。
「画像だけ見ると全員レプリカントみたいに見えるな」
「間違ったんじゃない?」
「ん?」
「レプリカントを殺そうとして、間違ってヒューマンを殺しちゃったんじゃない?」
「なるほど。実にレプリカント人権保護局の捜査官ぽいコメントだな。俺たちはその線を考えてみるか」
レプリカントを連続で殺傷する事件は、対象がヒューマンの事件よりずっと多い。ヒューマンを殺傷するより比較的刑が軽かったり、そもそもヒューマンから攻撃されると死に物狂いでの抵抗がレプリカントにはできないから。人権の無いのを選んで殺して回っていたやつもいた。これは器物損壊にしかならないから、すぐに放免になった。
「今回の件で、夜に目が光ってるのがレプリカントだってわかったんだよね?犯人は」
「まあ。わかったかも知れない。犯行時刻は午後七時半だから、暗闇の中待ち伏せか何かで部屋に押し入ったとして、光ってるのはわかったんじゃないかな」
「だから目をくり抜いたんだよね? きっと」
そうか。
「お前結構……」
「何? だからね、ステーションで夜に目が光る俺が立ってたら、目をつける可能性はないかな?」
「待て。待て待て待て。だめだからな。囮捜査は基本的にだめって前も言ったよな?」
「潜入はよくてこれはダメってのは意味がわからない!」
「潜入はレプリカントの中に入るだけなんだから大人しくしてりゃ死なないだろ! これは大人しくしてても殺されるんだよ」
「殺される前に助けてくれりゃいいじゃん!」
「そううまく行くかよ! だめなもんはだめ。大体お前はなんだってそんなに囮になりたがるんだよ!」
「だって簡単じゃん! 俺レプリカントだし!」
「お前を囮に使うくらいなら俺がなった方がましだ! 怪我したら死ぬくせに。てか実際死にかけたくせによ。勝手に乗り込んで。しかも2回も!」
ヴェスタはぷいと自分の席に戻ってしまった。本当になにか手を考えないと。次の犯罪が起こる前に止められればベスト。まだレプリカントは一人目。
確率として一番高いのを考えてみよう。体液の登録がないなら18歳未満だ。そして学校があるはずだ。たいていは。どんな行動をする? 街を歩く女たちの顔を見て、好みのを探す。放課後。犯行時刻は? 資料を確認してみる。七時半から九時。被害者たちが家に帰る時刻。
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