Occupied レプリカント人権保護局

黒遠

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08 デモンストレーション

07 Vesta (骨)

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 レプリカントで首がないと、こんなに難航するとは思わなかった。首。頭蓋骨。顔の復元もできないし、最終手段のAIチップを取り出してチップの中身を見ることもできない。

 身長と体型で行方不明のレプリカントの照会をするけど、かなり多いし絞りきれない。直近2年以内に捜索願が出ているのは外す。5年以内に326件。10年にしてみると1000件近くになってしまう。なんでこんなに行方不明になるの? 他にどんな特徴がある?

 ふと思いついて他の7人のデータを並べてみる。共通点はないか。それが首無しの彼女にも当てはまるはずだ。女性型。画像を見る。みんな赤毛だ。明るい赤毛。ルーさんの赤ワインのような髪じゃなくて、オレンジに近いような赤毛。いわゆる「ジンジャー」と呼ばれるやつ。そんなに人気のカラーではない。これで絞れるかもしれない。

 赤毛の女性で絞り込む。いきなり減った。56人。画像を見ていく。深い濃い色の赤毛の人は抜く。22人。

 いける気がしてきた。遺体の状態をもう一度確認してみる。バルのメモが書き加えられている。「骨の状態が悪い。寒暖差による損傷とのこと。山中のためか?」。骨の状態が悪い……。鑑識にコールする。

『やあ。今度はヴェスタか』
「骨の件なんですけど、寒暖差による損傷ってどう言うことなんでしょうか?」
『細胞が凍るとして。骨の細胞、皮膚や筋肉の細胞……。ヒトの細胞の中に水分のないものなんてないからね。何でも凍る。すると細胞の内外の水分が膨張する。そのせいで細胞の中や細胞同士の間に隙間ができてしまうんだね。膨らんだ分ね。だから水分が溶けた時、その物体は脆くなったり、ものすごく細かい穴や隙間ができていたりするんだよ』
「じゃあ、この寒暖差っていうのは、凍るくらいのってこと?」
『そう。まあ、真冬も山奥でほったらかしならそうなるかな。それにしてもぼろぼろだとはおもったけどね』

 ぼろぼろの骨。この人だけ頭がなくて、ミイラになっている。この遺体は犯人にとって特別なんじゃないだろうか。ただ一人、頭を落としたくなるくらいに。どんな風に特別? 憎い? それとも……。

 この人を見つけ出せば犯人に届く気がする。





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