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Another story カイトside
一話
その人は、とても綺麗だけど…かなり抜けてる人だった。
「うわー、また失敗しちゃったよぉ」
パンもまともに焼けないし、
「あれー?なべ、鍋どこにあるの?」
物の管理はできないし、
「ひぃ、コブラの毒一滴なのに一瓶入れちゃった!!」
ぶきっちょだ。
でも、森に転がり込んだ僕を助けてくれた、命の恩人で、聖母みたいに優しい人なんだ。
「おぉー恋してるね、少年」
「…ユリさん」
塔の中で実験に勤しんでいるノアさんを見つめていたところをユリさんに話しかけられた。
ユリさんはノアさんと一緒に住んでいるスライム。
とても可愛らしい少女の姿をしてるけど中身は親父くさい。
「まぁ、熱い視線で見つめちゃって…♡」
「うるさいです」
成長するにつれて、僕のノアさんへの好意が親愛より情愛に近い物であることに気づいていった。
でも、ノアさんは僕のことを可愛い子供だと思っている…
それを壊すことはできなかった。
「それにしても、カイトはすぐそばに俺みたいな超絶美少女がいるのに、なんでノアなんか好きなったわけ?」
「外見じゃありませんよ。ただ僕は…あの人の人柄に惹かれたんです」
純粋で、優しくて、可愛らしい。
僕を守ってくれた人、そして今は守ってあげたい人。
「ふぅん…?でも、お前を見てると可哀想になってくるよ」
「…なんでですか?」
「だって見向きもされてないじゃん、お前」
ぐさ、と胸に突き刺さった。
「見向き…ぐらいはされてますよ」
「いやいや、ノアはお前のこと恋愛対象として見てないじゃん。眼中にないよ」
どうしたらこの関係を変えられるのか、それが僕の悩みだった。
「カイトくーん。ちょっと手伝ってー!」
「っはーい!」
塔の上の窓からノアさんに呼ばれた。
「まぁたあいつ変な実験して…」
呆れた目をしたユリさんを置いて僕はノアさんを手伝いに塔へ駆けこんだ。
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