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Another story カイトside
四話
しおりを挟む久しぶりに見たその人は相変わらず可愛らしいままだった。
もじもじと居心地悪そうに僕の前で座っているその人。
なんだかよそよそしい感じがする。
八年という時間はもしかしたら長過ぎたのかもしれない。
ノアさんのほうはほとんど…というか全く変わっていないけど、僕の方は歳をとってしまったし。
もうノアさんに可愛がられるという歳でもない。
もしかしたらノアさんは可愛くない僕には興味がないのかもしれない…
「と、思ったんですけど…」
「へぇ」
心底どうでもよさそうな顔をするユリさん。
ユリさんの方は相変わらずな感じで安心した。
「八年で変わっちゃったってのはそうだけどさぁ…よそよそしいっていうのは違うと思うけどな」
「そうですか?」
「はぁ…なんで八年越しに再開したのにまた拗れちゃうのかね、お前らは…」
「え…」
ユリさんはぐにょんと体を歪めると、姿を変えた。
ユリさんは僕の姿に擬態していた。しかも僕が森を出て行った頃の。
「俺はね、お前がいない間、ノアがあんまりにめそめそするからこんな擬態してあいつを慰めてやってたんだからね」
「へ?」
「あいつ俺に抱きついてきて『カイトくーん、ぼくさみしいよぉ~』って言ってたよ」
は…
なんだ、それ…
「かわいすぎませんか…?」
「いや普通にキモいわ。可愛いと思うお前もキモい」
想像しただけで可愛すぎる。
というか、そんなことしてたなら、今すぐにでも僕が抱きしめてあげるのに。
「ま、とりあえずノアはお前のこと大好きだから安心しなよ。以上」
そう言ってユリさんは去って行った。
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