大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります

三十一話 そうしよう

　しかし、できることとやることは全く違うことだ。

　意図せずカイトくんに魔力を与えてしまっていたが、カイトくんの合意なしに魔物化させてしまうなんてあってはならないことであった。

「ノアさん？」

　僕はカイトくんと一緒に生きたいけど、カイトくんの方はどうかわからない。
　カイトくんは僕を愛してくれてるし、それは確かなんだけど、永遠に近い時間を生きるのは辛いことだ。

　死というのは恐怖の対象でもあるが解放でもある。

　それをカイトくんから奪ってもいいのだろうか。

「ノアさん！」
「ふぇ」

　カイトくんが僕のほっぺたをうにゅんと手で挟んだ。

「なに、考えてたんですか？」
「あ、えっと…」
「あなたがそうやって思い悩んでいるとき碌な答えに行きつかないことはもう分かったので、なにを考えてたか教えてください」

　随分な言い方だ。

　でも、カイトくんがじーっと僕を見つめるから僕は考えていたことを白状した。

「僕、カイトくんと一緒に生きたい…でもカイトくんを不老不死にしたくないの」
「は…？ちょっと待ってください、どういうことですか？」

　僕はカイトくんに順を追って説明した。

「そうですか…あまりにもいきなりで理解できないんですが…」

　僕は不安で手を握った。

「…あなたを置いて死ぬか、あなたと永遠を生きるかだったら、絶対にあなたと生きることを選びます」
「っ…カイトくん」

　僕がカイトくんに抱きつくとカイトくんは優しく抱き返してくれた。