大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります

かとらり。

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三十二話 幸せだから

 それから僕は少しずつカイトくんに魔力を渡していった。

 カイトくんの成長は止まってしまった。
 でも若返るなんてことはなく、相変わらず僕よりも大人なままだった。

「いいなぁ…」
「なにが良いんですか?」
「いや…カイトくんの外見。僕もう少し大人っぽくなりたくて…」
「僕は今のノアさんが好きですけど」

 カイトくんは丁寧に僕の髪を梳いた。
 髪はすごく遅いけど伸びる。
 切ってしまおうと思ったけど、カイトくんは僕の髪の世話をするのが好きらしいのでそのままにしている。

「ね、カイトくん…」
「なんですか?」
「プレゼントしたいものがあるんだけど」

 僕はずっと隠し持っていたものをカイトくんに見せた。

「これ…指輪?」
「そう、受け取ってくれる?」
「はい」

 この世界には結婚相手に指輪を贈ると言う習慣はない。でも、僕が贈りたかった。

「最近やっと、カイトくんに僕の魔力が半分渡せたでしょ。この指輪は移された魔力を固定する効果があるの」
「そうなんですか」

 僕はうやうやしくカイトくんの薬指に指輪をはめた。
 僕の指にはすでにペアとなるリングがはまっている。

「カイトくん…この指輪に、誓ってくれる…?」

 僕はカイトくんの青い瞳をじっと見つめた。

「いつまでも僕と一緒にいるって」
「…はい。誓います…永遠にあなたといます。あなたが嫌って言っても離れません」
「ふふ…大好き」

 僕はカイトくんにキスをした。
 カイトくんはそのまま舌を入れ込んで僕を翻弄する。

 ほんとに大人になっちゃったんだから…

 僕は幼い頃のカイトくんを思い出して感慨深い気持ちになった。

 でも、それはすぐに忘れてカイトくんとのキスに酔いしれた。




 もしも僕が大魔法使いに召喚されて乗り移らなければ、大魔法使いは勇者に倒されていた。
 だからもちろんカイトくんと出会うこともなかった。

 だから、カイトくんと出会えたのは奇跡のようなことでもあり、カイトくんからしたら人生を狂わされてしまったのかもしれない。

 でもなんでもいいんだ。

 だって今、僕は幸せで、きっと目の前の愛おしいこの子も、幸せなんだから。
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