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相談(ミカエルside)
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どうしよう
さっきからミカエルの頭にはその言葉ばかり浮かんでいた。
学友のマリウスとアザゼアが婚約すると言うことで、少しの間公務を抜け出して婚約パーティーに顔を出した。
仕事があるから早めに帰ろうとしたら廊下でアザゼアそっくりの美少年に出くわして、しかもその子はなんと監禁されていたと言う。
少年の怯えようからしてどうやら嘘ではない。
とりあえず保護はしたけど、これからどうしよう…
とりあえず頼りになる兄、フィリップに相談しようと会場に戻った。
「兄上!」
「え、ミカエル?お前帰るって言ったよな。忘れ物か?」
「少し話が…あって…」
そう言いつつミカエルは周りを見回した。
会場にはジオルドがいる。
と言うことはあの子が逃げ出したのもまだバレてない。
「実は…」
ミカエルは兄にあったことをそのまま話した。
「…にわかには信じがたいな。あのジオルドがそんなことをしてるなんて。新手の暗殺者だったりしないか?」
「こんなめんどくさいやり口で?なにより、彼はアザゼアにそっくりでしたよ。驚くほどに」
「…分かった。とりあえずそいつを匿ってやれ。もしもその話が本当だったら大変だからな。そいつが本当にアザゼアの弟がどうかはアザゼアと親に聞けばわかる」
アザゼア達の両親はアザゼアが幼少の頃から国内外を飛び回って仕事をしている。確認には時間がかかるかもしれない。
「とりあえずアザゼアに聞こう。パーティーに水を差すようで悪いが」
「じゃあ僕が聞いてきます」
ミカエルはマリウスと話しているアザゼアの方に向かった。
「アザゼア、ちょっといいですか?」
「なに?」
ミカエルはジオルドを気にして小声でアザゼアの耳元にささやいた。
「あなたに、監禁されている同い年の弟っていますか?」
アザゼアは真っ赤な目を丸くして、それから微笑んだ。
「良かった、ジオルドに見つかる前に助けてもらえたのね」
「じゃあやっぱり…」
「そうよ、ユキは私の双子の弟」
まさか本当にジオルドが弟を監禁してたなんて。
「本当によかった。ずっと解放してあげたいと思っていたの。でも、失敗したら2度目はない。今日はジオルドも油断していて、しかもユキを助けてくれそうな人が屋敷に来てくれるチャンスだったの」
アザゼアは安心したようにため息をついた。
「ミカエルなら安心だわ。面倒ごとを押し付けるようで悪いけど、ユキのことをお願いしてもいい?」
美しいアザゼアに首を傾げてお願いされると悪い気はしない。
「わかった、責任を持って彼は僕が守ります」
ミカエルはアザゼアとマリウスに礼をして兄の元へ戻った。
「兄上、どうやら本当だったみたいです」
「そうか…」
「彼を城に連れて行きます。いいですか?」
「あぁ」
ミカエルは馬車の中で震えて待っているだろう少年のために挨拶もそこそこに会場を後にした。
さっきからミカエルの頭にはその言葉ばかり浮かんでいた。
学友のマリウスとアザゼアが婚約すると言うことで、少しの間公務を抜け出して婚約パーティーに顔を出した。
仕事があるから早めに帰ろうとしたら廊下でアザゼアそっくりの美少年に出くわして、しかもその子はなんと監禁されていたと言う。
少年の怯えようからしてどうやら嘘ではない。
とりあえず保護はしたけど、これからどうしよう…
とりあえず頼りになる兄、フィリップに相談しようと会場に戻った。
「兄上!」
「え、ミカエル?お前帰るって言ったよな。忘れ物か?」
「少し話が…あって…」
そう言いつつミカエルは周りを見回した。
会場にはジオルドがいる。
と言うことはあの子が逃げ出したのもまだバレてない。
「実は…」
ミカエルは兄にあったことをそのまま話した。
「…にわかには信じがたいな。あのジオルドがそんなことをしてるなんて。新手の暗殺者だったりしないか?」
「こんなめんどくさいやり口で?なにより、彼はアザゼアにそっくりでしたよ。驚くほどに」
「…分かった。とりあえずそいつを匿ってやれ。もしもその話が本当だったら大変だからな。そいつが本当にアザゼアの弟がどうかはアザゼアと親に聞けばわかる」
アザゼア達の両親はアザゼアが幼少の頃から国内外を飛び回って仕事をしている。確認には時間がかかるかもしれない。
「とりあえずアザゼアに聞こう。パーティーに水を差すようで悪いが」
「じゃあ僕が聞いてきます」
ミカエルはマリウスと話しているアザゼアの方に向かった。
「アザゼア、ちょっといいですか?」
「なに?」
ミカエルはジオルドを気にして小声でアザゼアの耳元にささやいた。
「あなたに、監禁されている同い年の弟っていますか?」
アザゼアは真っ赤な目を丸くして、それから微笑んだ。
「良かった、ジオルドに見つかる前に助けてもらえたのね」
「じゃあやっぱり…」
「そうよ、ユキは私の双子の弟」
まさか本当にジオルドが弟を監禁してたなんて。
「本当によかった。ずっと解放してあげたいと思っていたの。でも、失敗したら2度目はない。今日はジオルドも油断していて、しかもユキを助けてくれそうな人が屋敷に来てくれるチャンスだったの」
アザゼアは安心したようにため息をついた。
「ミカエルなら安心だわ。面倒ごとを押し付けるようで悪いけど、ユキのことをお願いしてもいい?」
美しいアザゼアに首を傾げてお願いされると悪い気はしない。
「わかった、責任を持って彼は僕が守ります」
ミカエルはアザゼアとマリウスに礼をして兄の元へ戻った。
「兄上、どうやら本当だったみたいです」
「そうか…」
「彼を城に連れて行きます。いいですか?」
「あぁ」
ミカエルは馬車の中で震えて待っているだろう少年のために挨拶もそこそこに会場を後にした。
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