恋人の望みを叶える方法

藍栖 萌菜香

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14 【ダメ見本】無茶はやさしくとめましょう。

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『解すだけ。ぺニスには絶対にさわらないこと』
 それが幸成の提示した条件だった。

「む、ぅんん、んっ」
 幸成のくぐもった甘い喘ぎが、俺の腹の向こうであがる。
 ベッドに横たわった俺の上に、頭の向きを逆さにして幸成が跨がっていた。幸成のアナルには、すでに俺の指が四本も埋まっている。解しにはこれで十分だったが、すぐさま挿入へと持ち込むのは惜しい気もした。


 フェラをやめたがらない幸成に、それならと提案してみたものの、正直シックスナインを承知してもらえるとは思っていなかった。
 ペニスを触らないという条件に強く頷いて見せたが、さっきも「ちょっとだけ」と言いながら潮飲みを強行したからな。おそらく完全には信じてもらえなかっただろう。

 それに、幸成は条件を出すときに『ペニス』と言っていた。幸成が性器をそう呼ぶときは、まだどこかに緊張が残っていて、行為にのめり込めていない証拠だ。これが幼児語になる頃には、かなり後戻りできない状態にまでできあがっているんだが。
 ただでさえ恥ずかしがり屋の幸成が、まだできあがっていない状態でよくシックスナインなんて許したと、本当に思う。

 まあ、さすがに「俺の顔を跨いで」とお願いしたときには、真っ赤になって睨みつけてきたけど。それだって抗う言葉もなく、結局は向きを変えてくれた。


 そんな幸成も、アナルマッサージを再開するとあっという間にぐずぐずになった。幸成にとってアナルは最大のウィークポイントだ。アナルに沈めた指を少し揺らしただけで内腿を震わせるほど感じてしまうのも無理はない。

 アナルが解れていくにしたがって腰も支えきれなくなり、四つん這いだった姿勢もすっかり崩れてしまった。おかげでいまでは、熱くなった幸成のペニスは俺の胸元に、睾丸のやわらかな感触は俺の顎先にふにっとあたっている。

 当然、俺の指を咥えた幸成のアナルは、俺の目の前にあるわけで……ああ、絶景だ。
 追加したローションに濡れた会陰がひくつく様や、欲しがりなアナルがぱくぱくと口をひらく様子、さらには指を回したときに捲れた粘膜の色までが目の前でハッキリと見てとれた。


 それはそれで非常にいいとして。
 シックスナインでのアナルマッサージは、いまいち体勢がとりにくくて困ってしまう。

 はじめは内腿から手を伸ばしていたが、幸成の腰がさがってくるにしたがってそれもできなくなってしまった。いまは幸成の腰を抱えるようにして両脇から手を回していたが、へたり込んできた幸成の内腿が俺の両腕を拘束するせいで、やはり思うようには手を伸ばせなかった。

 もう少し奥のほうを広げてやりたいのだが、物理的に叶わず断念せざるを得ない。これでは前立腺や精嚢マッサージもできず、シックスナインの最大の目的でもある『幸成を挿れてほしくてたまらなくさせる』という作戦も頓挫していた。


 マズい事態はそれだけじゃない。どうやら幸成はシックスナインのコツを掴んだらしい。さっきから、ここぞとばかりに責め立ててくれていた。
 いまも、俺のペニスをゆっくりと喉の奥まで飲み込んで、頭を小刻みに揺らしている。亀頭が喉奥のやわらかな肉に擦りつけられ、まるでちゅくちゅくと喉奥でキスされているみたいだ。

 しかし……これはキツい。ただでさえ限界に近かったのに、こんなに濃厚な愛撫をされてはたまらなかった。

 この位置からは幸成の姿がほとんど見えないのが、またマズい事態をひき起こしていた。
 幸成は、どんな顔をして俺のぺニスを飲み込んでいるんだろう。見えない分だけ、そのいじらしい様子をリアルに想像してしまった。
 しかも、目の前には、マッサージに喜ぶアナルが丸見えなんだ。実際の視覚に脳内の妄想が加わり、さらにはペニスに施される愛撫もあいまって、幸成とのシックスナインの威力は、俺にとって破壊的だった。


 でも、覚えたてのそのテクは加減が難しいらしい。
「ッ、うぇッ」
 幸成がえずくような呻き声をあげた。
 グッと喉奥がひらいたかと思えば、たちまちギュギュッと絞られる。アナルで味わうのとは違う類いの強い快感を誘われて、たまらない気分にさせられた。

 けど、どんなに気持ちよくても、幸成がつらそうなのは嫌だ。
「ゆきなり、無理するなよ」
「ムリしてない。もっとおくまで……ぜんぶほしい」
 幼い印象の声音に、どこか焦りが滲んで聞こえる。アナルマッサージのおかげか緊張はなくなってきたみたいだが、幸成はいったい何を焦っているんだろうか。

 とめる間もなく、ふたたび幸成が俺のぺニスを飲み込んでいく。さっきよりも明らかに深い。このままじゃ、またえずくのは目に見えていた。
 それから、俺の限界突破も時間の問題……大ピンチだ。


 (焦るなよ)と自分に言い聞かせながら、幸成のアナルに埋めていた指をそっと引き抜いた。
 慎重にだ。下手をすれば幸成の喉を壊しかねない。

 片手を幸成の細い腰へ、もう一方の手を幸成の胸脇へとするりと這わせた。
「んッ、なッ」
 脇をローションに濡れた指でぬるりと辿られ驚いた幸成が、くくんっと背を反らして上半身を浮かせる。
 ペニスから幸成の口が外れた。いまだ。

 まわしていた腕でガシリと腰を抱きしめて、俺の鳩尾に引き寄せ固定する。
「や、だいごっ」
 腹からペタリと着いたからか、いったん浮いた幸成の上半身がカクリと前のめりに倒れた。内腿に幸成の頬を感じる。この位置ならペニスを咥えにくくなったに違いない。

 これでピンチは回避できたと内心でほくそ笑みながら、腹筋と胸筋を使って顔を起こす。ちょうどいいポジションだ。抱き寄せた細い腰にしがみつきつつ、迷わずそこへ舌先を伸ばした。


「ひゃあああっ、やめっだいごっ、なめないでっ」
 悪いが、そのお願いは聞けそうにない。
 満足に奥を弄らせてもらえないまま、目の前にありながらずっと見ていることしかできなかったんだ。これが舐めずにいられるか。

 幸成は散々俺のペニスを舐め倒したじゃないか。俺だって少しくらい舐めさせてくれてもいいだろう。
 それに、幸成のペニスに触ってるわけじゃないからな。ちゃんと約束は守ってる。
 そんなことを考えながら『少しくらい』がどのくらいかまでは考えずに、やわらかに解れた幸成のアナルへ力を込めた舌先をでき得る限りに押し込んだ。

「やああっ、なかっ、なかいやああっ」
 俺の腿にしがみついた幸成が、這い逃げようと俺の上をずっていく。それを腰にまわした腕で引き戻すと、幸成のペニスが俺の胸骨にあたり、ゴリリっと押し潰された。
「いッ、やあああっ」
 幸成の頭がぶんぶんと振られて、俺の内腿にあたる毛先がくすぐったい。


「も、もぉだめぇ、だいごだめえ」
 あとひと押しだ。
 舌先を上下左右に動かして、熱い肉の壁を舐めまわす。と同時に、幸成の脇に置いたままだった手をその隙間に挿し込んだ。

「や、だめ、それだめ」
 俺の手から逃れようと上体を浮かせた幸成は、墓穴を掘ったことに気づいてるだろうか。それまで晒されていなかった乳首が、実に触りやすく差し出された。

 指先にわずかに残ったローションが、幸成のアナルに次ぐその弱点をぬるりと捕らえる。
「んはっ、ああぁあんっ」

 アナルに舌先をきゅっと食まれるのを楽しみながら、ひと際高い喘ぎ声がやむのを、じっと待った。これ以上責め続けて、もし幸成がイッてしまったら、またヘソを曲げられかねないからな。

 荒く乱れた息の合間から、「わかった。も、わかったから」と幸成が力なく降参した。
「いれて。だいごのおちんちん、おしりにほしい」
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