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02 帳消しにする?
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「んんッ、らめっ」
舌を吸われながらだったから、変な発音になってしまった。これじゃ通じないと、慌てて背中をさまよう大きな手を捕まえようと手をまわす。
でも、ちょっと遅かった。背びれへと辿り着いた指先がやさしくそれを撫でていく。
「んんん、んぁっ」
根元からひれ先へ、羽毛が遊ぶように軽く触れられた。そのもどかしい感触が、よけいにくすぐったいし物足りない。
「ん、だめだめ。キング、お願いやめて」
キングのキスを振りきって懇願した。
すると、いつもはなかなか押し退けられないキングの腕が、今回は簡単に退いていく。
その腕がそのままふわりと舞い戻ってきて、背中のずっと上のほう……背びれから遠く離れた場所でその体温をわけてくれた。あたたかなその熱に、『ダメッ』と尖ってた気持ちが少しずつ丸くなっていく。
キングはやさしい。ときどき強引なときもあるけど、僕が人魚姿のときは、ことさらやさしくしてくれる。人魚のオスだということに引け目を感じてる僕のことをちゃんと理解してくれてるんだ。
「ベリル……どうしてもダメ?」
キングがやや顎を引いて、悲しげな表情で問うてくる。
やばい。キングお得意のおねだり攻撃だ。
「うん、だめ」
見られるのもいやなのに、キングに人魚の身体を触れさせたくない。いつもはつい負けてしまうキングのこの攻撃だけど、今回だけは譲れないよ。
そう思って、身構えていたら、
「……リーダーには触らせたのに?」
キングが思いもよらないことを言い始めた。
「リーダー?」
なんのことだろう? リーダーなんて名前の人は知らないし、僕がキング以外の人に触らせた? そんなこと……。
「ほら、ベリルの幼馴染の」
「え? クリスのこと?」
僕の幼馴染でリーダーといえば、たぶんクリスのことだろう。クリスはいつもみんなを引き連れていたから。
そのクリスに、僕を触らせた?
そこまで考えたとき、全身の血がザッと音を立てて一気に引くのがわかった。
忘れてた。人魚の里での、あのときのことだ。
おばあさまを人質にとられて、大婆様から里じゅうの繁殖期のメスたちと交尾しろと迫られた。あのとき、たしかにクリスに触られた。
よみがえった記憶に背筋が強張る。
クリスに触れられたあの瞬間、僕には無理だと反射的に理解した。心と身体がキング以外は嫌だと叫んで、気がついたときにはクリスを突き飛ばしていたんだ。
あんなにも強烈な体験をどうして忘れていられたんだろう。キングに言われるまで思い出しもしなかった自分が信じられない。
けど、すぐに気がついた。忘れていて当然だった。
あれからずっとキングのそばにいる。キングのそばで、愛し、愛され、僕は満たされ続けていた。どれだけ嫌な体験だろうと、思い出す余地なんて少しもなかったじゃないか。
「大丈夫か?」
キングのやさしい声にハッとした。
海の空の色をした大好きな瞳と視線が合い、強張ったままの肩をそっと撫でられる。
ああ、キングだ。
ここはキングの屋敷で、人魚の里じゃない。
大婆様は、人魚の性転換術の研究にクリスが手を貸すと知って、僕が里から離れることを許してくれた。メスたちに囲まれることももうないし、望まない相手との交尾を迫られることもない。
僕はここにいていいんだ。追い出されたって居座ってやる。さっきだって、夢うつつではあったけど、そう再決心したじゃないか。
「だいじょうぶ」
そう答えたのはたしかに本心だったけど、キングとのあいだにある腕ひとつ分の距離が不安になって、キングの首に抱きついた。
その勢いに、ぱちゃんとお湯が飛び跳ねる。浴室に響いたその水音に、いまの自分が人魚姿だったことを思い出してヒヤリとした。
けど、こうしていれば大丈夫。こうしてキングに抱きついて、擦り寄って、できるかぎりくっついていれば、僕はいつでも安心していられるから……。
「ごめんな」
キングが僕の肩を長いその両腕で抱きしめて、短くなった僕の金髪に顔を埋めながら「イヤなことを思い出させた」と囁いた。
キングに謝らせてしまった。キングは何も悪くないのに。
僕がオス人魚だということも、メスとの交尾を迫られたことも、クリスに触られたことだって、キングのせいじゃない。
むしろキングは、その事実を忘れさせてくれる唯一の人じゃないか。
謝らないでと、抱きつく腕をキツくしながら首を振る。
でも……。
「ね、なんでキングが知ってるの?」
不思議だった。キングが人魚の里まで僕を追いかけてきてくれたのは、たしか僕がクリスを突き飛ばしたあとだった。唯一着ていたTシャツを掴まれ揉み合いになっていたところに、ほかの人魚たちが騒ぎ出して、突然現れたルシナが「人間を連れてきた」と教えてくれたんだ。
僕がクリスに迫られ触られたことを、キングは知らないはずなのに。
「そりゃ、わかるよ。ベリルは里に戻る前から交尾を嫌がってたし、里ではリーダーと揉めていた。それに、ベリルが言ってただろ?」
言った? 何か言ったっけ?
「『もう二度とあんなのはイヤ!』って」
「あ……」
そうだ。思い出した。船の上でのことだ。キングの腕の中でその腕にしがみつきながら、力いっぱいそう叫んだんだった。
クリスに触られたことを思い出すだけで込み上げてきた嫌悪感に、吐き捨てるような言い方をしたはずだ。
「もしかして、ずっと気にしてた?」
キングに抱きついていた腕をゆるめて、そっと海の空を覗き込む。
「ベリルに何があったんだろうって」
僕の静かな問いに、キングが静かに答えた。
でも、海の空は不安に揺れてる。
「あの船の上からずっと?」
「人魚の里からずっと」
そんなに最初から……キングには、ひと目でわかっちゃったたんだ。僕の身に何かがあったに違いないと。
今日一日のことを思い出す。
ルークたちを見送って気落ちした僕のことも、キングはすぐに察してくれた。だから、僕の寂しさを紛らわせる工夫をたくさんしてくれた。
おかげで二人の時間を楽しく過ごせたけど、それでも不安に駆られたんだ。
僕じゃなくて、キングが。
寂しくなった僕が、海に帰ってしまうんじゃないかって。
今夜、僕が抱かれながら聞いたあの言葉の数々は、その不安の現れだ。
普段は、そんな不安なんか微塵も見せない。いつでもカッコよくて、ときどきかわいい、僕の大好きなキングだ。
でもそれは、キングの一面でしかないんだ。
さっきみたいに、僕が海に帰るだなんてあり得ないことを考えて不安になってしまうのも、こうして、ずっと気になっていたのに口に出せずひた隠しにしていたのも、全部がキングの一部だ。
ふいに、あたたかいもので胸がいっぱいになった。
キングが好きだ。キングを知れば知るほど好きになる。そのことを不思議にも思うけど、当然とも感じた。
僕には、キングがどんなキングでも愛し続ける自信がある。その自信の根拠は自分でもよくわからないけど、僕が僕で、キングがキングだからとしか言いようがなかった。
「ベリルのすべてを知りたいと思うのが、俺の我が儘だってことはわかってる。それでも知っておきたいんだ」
僕が黙ったままでいることにまた不安を覚えたのか、急にキングが饒舌になった。
「ベリルのことなのに、リーダーが知っててパートナーの俺が知らないなんておかしいし。嫌なことがあったんなら、それを俺が帳消しにしてやりたいんだよ」
できることならだけど……と、最後は力なく尻すぼみになっていく。
「帳消しって?」
聞き慣れない言葉だ。陸の上での生活にはだいぶ慣れたけど、僕にはまだまだ知らないことがたくさんある。
知らないことは、ひとつひとつ知っていけばいい。
いつもそう言ってくれるキングに、言葉の意味をたずねると、
「え、ああ、えーっと。マイナスをプラスで打ち消して、ゼロに戻すこと……かな?」
説明するのが苦手だというキングが、それでもわかりやすく教えてくれた。
胸を満たしたあたたかいものは、いまもそこから湧き出るように全身へと広がっている。
キングの前に人魚姿を晒して尖ってた気持ちも、あのときの嫌悪感を思い出して強張ってた背中も、そのあたたかい熱にやわやわと包まれ溶かされていくみたいだった。
うん、これなら大丈夫かも。
知らないことは、ひとつひとつだ。
「じゃあ……帳消し、する?」
舌を吸われながらだったから、変な発音になってしまった。これじゃ通じないと、慌てて背中をさまよう大きな手を捕まえようと手をまわす。
でも、ちょっと遅かった。背びれへと辿り着いた指先がやさしくそれを撫でていく。
「んんん、んぁっ」
根元からひれ先へ、羽毛が遊ぶように軽く触れられた。そのもどかしい感触が、よけいにくすぐったいし物足りない。
「ん、だめだめ。キング、お願いやめて」
キングのキスを振りきって懇願した。
すると、いつもはなかなか押し退けられないキングの腕が、今回は簡単に退いていく。
その腕がそのままふわりと舞い戻ってきて、背中のずっと上のほう……背びれから遠く離れた場所でその体温をわけてくれた。あたたかなその熱に、『ダメッ』と尖ってた気持ちが少しずつ丸くなっていく。
キングはやさしい。ときどき強引なときもあるけど、僕が人魚姿のときは、ことさらやさしくしてくれる。人魚のオスだということに引け目を感じてる僕のことをちゃんと理解してくれてるんだ。
「ベリル……どうしてもダメ?」
キングがやや顎を引いて、悲しげな表情で問うてくる。
やばい。キングお得意のおねだり攻撃だ。
「うん、だめ」
見られるのもいやなのに、キングに人魚の身体を触れさせたくない。いつもはつい負けてしまうキングのこの攻撃だけど、今回だけは譲れないよ。
そう思って、身構えていたら、
「……リーダーには触らせたのに?」
キングが思いもよらないことを言い始めた。
「リーダー?」
なんのことだろう? リーダーなんて名前の人は知らないし、僕がキング以外の人に触らせた? そんなこと……。
「ほら、ベリルの幼馴染の」
「え? クリスのこと?」
僕の幼馴染でリーダーといえば、たぶんクリスのことだろう。クリスはいつもみんなを引き連れていたから。
そのクリスに、僕を触らせた?
そこまで考えたとき、全身の血がザッと音を立てて一気に引くのがわかった。
忘れてた。人魚の里での、あのときのことだ。
おばあさまを人質にとられて、大婆様から里じゅうの繁殖期のメスたちと交尾しろと迫られた。あのとき、たしかにクリスに触られた。
よみがえった記憶に背筋が強張る。
クリスに触れられたあの瞬間、僕には無理だと反射的に理解した。心と身体がキング以外は嫌だと叫んで、気がついたときにはクリスを突き飛ばしていたんだ。
あんなにも強烈な体験をどうして忘れていられたんだろう。キングに言われるまで思い出しもしなかった自分が信じられない。
けど、すぐに気がついた。忘れていて当然だった。
あれからずっとキングのそばにいる。キングのそばで、愛し、愛され、僕は満たされ続けていた。どれだけ嫌な体験だろうと、思い出す余地なんて少しもなかったじゃないか。
「大丈夫か?」
キングのやさしい声にハッとした。
海の空の色をした大好きな瞳と視線が合い、強張ったままの肩をそっと撫でられる。
ああ、キングだ。
ここはキングの屋敷で、人魚の里じゃない。
大婆様は、人魚の性転換術の研究にクリスが手を貸すと知って、僕が里から離れることを許してくれた。メスたちに囲まれることももうないし、望まない相手との交尾を迫られることもない。
僕はここにいていいんだ。追い出されたって居座ってやる。さっきだって、夢うつつではあったけど、そう再決心したじゃないか。
「だいじょうぶ」
そう答えたのはたしかに本心だったけど、キングとのあいだにある腕ひとつ分の距離が不安になって、キングの首に抱きついた。
その勢いに、ぱちゃんとお湯が飛び跳ねる。浴室に響いたその水音に、いまの自分が人魚姿だったことを思い出してヒヤリとした。
けど、こうしていれば大丈夫。こうしてキングに抱きついて、擦り寄って、できるかぎりくっついていれば、僕はいつでも安心していられるから……。
「ごめんな」
キングが僕の肩を長いその両腕で抱きしめて、短くなった僕の金髪に顔を埋めながら「イヤなことを思い出させた」と囁いた。
キングに謝らせてしまった。キングは何も悪くないのに。
僕がオス人魚だということも、メスとの交尾を迫られたことも、クリスに触られたことだって、キングのせいじゃない。
むしろキングは、その事実を忘れさせてくれる唯一の人じゃないか。
謝らないでと、抱きつく腕をキツくしながら首を振る。
でも……。
「ね、なんでキングが知ってるの?」
不思議だった。キングが人魚の里まで僕を追いかけてきてくれたのは、たしか僕がクリスを突き飛ばしたあとだった。唯一着ていたTシャツを掴まれ揉み合いになっていたところに、ほかの人魚たちが騒ぎ出して、突然現れたルシナが「人間を連れてきた」と教えてくれたんだ。
僕がクリスに迫られ触られたことを、キングは知らないはずなのに。
「そりゃ、わかるよ。ベリルは里に戻る前から交尾を嫌がってたし、里ではリーダーと揉めていた。それに、ベリルが言ってただろ?」
言った? 何か言ったっけ?
「『もう二度とあんなのはイヤ!』って」
「あ……」
そうだ。思い出した。船の上でのことだ。キングの腕の中でその腕にしがみつきながら、力いっぱいそう叫んだんだった。
クリスに触られたことを思い出すだけで込み上げてきた嫌悪感に、吐き捨てるような言い方をしたはずだ。
「もしかして、ずっと気にしてた?」
キングに抱きついていた腕をゆるめて、そっと海の空を覗き込む。
「ベリルに何があったんだろうって」
僕の静かな問いに、キングが静かに答えた。
でも、海の空は不安に揺れてる。
「あの船の上からずっと?」
「人魚の里からずっと」
そんなに最初から……キングには、ひと目でわかっちゃったたんだ。僕の身に何かがあったに違いないと。
今日一日のことを思い出す。
ルークたちを見送って気落ちした僕のことも、キングはすぐに察してくれた。だから、僕の寂しさを紛らわせる工夫をたくさんしてくれた。
おかげで二人の時間を楽しく過ごせたけど、それでも不安に駆られたんだ。
僕じゃなくて、キングが。
寂しくなった僕が、海に帰ってしまうんじゃないかって。
今夜、僕が抱かれながら聞いたあの言葉の数々は、その不安の現れだ。
普段は、そんな不安なんか微塵も見せない。いつでもカッコよくて、ときどきかわいい、僕の大好きなキングだ。
でもそれは、キングの一面でしかないんだ。
さっきみたいに、僕が海に帰るだなんてあり得ないことを考えて不安になってしまうのも、こうして、ずっと気になっていたのに口に出せずひた隠しにしていたのも、全部がキングの一部だ。
ふいに、あたたかいもので胸がいっぱいになった。
キングが好きだ。キングを知れば知るほど好きになる。そのことを不思議にも思うけど、当然とも感じた。
僕には、キングがどんなキングでも愛し続ける自信がある。その自信の根拠は自分でもよくわからないけど、僕が僕で、キングがキングだからとしか言いようがなかった。
「ベリルのすべてを知りたいと思うのが、俺の我が儘だってことはわかってる。それでも知っておきたいんだ」
僕が黙ったままでいることにまた不安を覚えたのか、急にキングが饒舌になった。
「ベリルのことなのに、リーダーが知っててパートナーの俺が知らないなんておかしいし。嫌なことがあったんなら、それを俺が帳消しにしてやりたいんだよ」
できることならだけど……と、最後は力なく尻すぼみになっていく。
「帳消しって?」
聞き慣れない言葉だ。陸の上での生活にはだいぶ慣れたけど、僕にはまだまだ知らないことがたくさんある。
知らないことは、ひとつひとつ知っていけばいい。
いつもそう言ってくれるキングに、言葉の意味をたずねると、
「え、ああ、えーっと。マイナスをプラスで打ち消して、ゼロに戻すこと……かな?」
説明するのが苦手だというキングが、それでもわかりやすく教えてくれた。
胸を満たしたあたたかいものは、いまもそこから湧き出るように全身へと広がっている。
キングの前に人魚姿を晒して尖ってた気持ちも、あのときの嫌悪感を思い出して強張ってた背中も、そのあたたかい熱にやわやわと包まれ溶かされていくみたいだった。
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知らないことは、ひとつひとつだ。
「じゃあ……帳消し、する?」
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