4 / 4
第一章
4
しおりを挟む
「まさか、話す事で相手を操るチカラがあるなんて思いもしなかったから」
「あの王子の魅了の力の事は、魔術を使う者達には有名だったんだよ」
だけどまさか、この世界全体を守るはずの『聖女』までも操ろうとするなんて思いもしていなかった。力を使う兆候を見て、クロードは自分が一体何に加担したのかを知った。
聖女の私物化。この国に縛りつけ、国交のカードにするつもりだ、と。
カナはクロードの言葉に従い、それからつい先ほどまで、話せないフリをし続けた。
聖女としての力がないフリも。
そうして、カナが聖女では無いと王子が疑い始めた頃、クロード扮する『本物の聖女』が現れることで、カナを追放するように誘導したのだ。
「うまく行って良かったわ」
「カナはこれからどうしたい?」
クロードの問いにカナは窓から外を見た。真っ暗な森しか見えないけれど、カナにとっては望んだ外の景色。
「聖女って、本当は何をするものなの?」
「王子は知らなかったんだろうけど、本来、聖女は穢れの溜まった場所に居るだけでいいと言われてる。その存在自体が浄化の力をもってるって」
「じゃあ、この世界を旅しながら、浄化っていうのをしてみようかな」
無理矢理連れてこられたとはいえ、役目があるというならやってみようとカナは思う。
「それなら、僕にも召喚した責任を取らせて欲しい」
「責任?」
首を傾げるカナの前に跪き、クロードは彼女を見上げて告げる。
「ずっと側で君を支えさせてくれませんか?」
頬を染めるカナの手にキスを落とし、魔術士クロードはそうして優雅に微笑んだ。
「あの王子の魅了の力の事は、魔術を使う者達には有名だったんだよ」
だけどまさか、この世界全体を守るはずの『聖女』までも操ろうとするなんて思いもしていなかった。力を使う兆候を見て、クロードは自分が一体何に加担したのかを知った。
聖女の私物化。この国に縛りつけ、国交のカードにするつもりだ、と。
カナはクロードの言葉に従い、それからつい先ほどまで、話せないフリをし続けた。
聖女としての力がないフリも。
そうして、カナが聖女では無いと王子が疑い始めた頃、クロード扮する『本物の聖女』が現れることで、カナを追放するように誘導したのだ。
「うまく行って良かったわ」
「カナはこれからどうしたい?」
クロードの問いにカナは窓から外を見た。真っ暗な森しか見えないけれど、カナにとっては望んだ外の景色。
「聖女って、本当は何をするものなの?」
「王子は知らなかったんだろうけど、本来、聖女は穢れの溜まった場所に居るだけでいいと言われてる。その存在自体が浄化の力をもってるって」
「じゃあ、この世界を旅しながら、浄化っていうのをしてみようかな」
無理矢理連れてこられたとはいえ、役目があるというならやってみようとカナは思う。
「それなら、僕にも召喚した責任を取らせて欲しい」
「責任?」
首を傾げるカナの前に跪き、クロードは彼女を見上げて告げる。
「ずっと側で君を支えさせてくれませんか?」
頬を染めるカナの手にキスを落とし、魔術士クロードはそうして優雅に微笑んだ。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
カリスタは王命を受け入れる
真朱マロ
恋愛
第三王子の不始末で、馬に変えられた騎士との婚姻を命じられた公爵令嬢カリスタは、それを受け入れるのだった。
やがて真実の愛へと変わっていく二人の、はじまりの物語。
別サイトにも重複登校中
異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです
籠の中のうさぎ
恋愛
日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。
「はー、何もかも投げだしたぁい……」
直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。
十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。
王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。
聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。
そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。
「では、私の愛人はいかがでしょう」
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
聖女が追放される物語だから、聖女が主人公かと思いきや、影の主人公……いえ、真の主人公は間違いなく、悲しい生い立ちと育ち方をした第一王子だったと思えるほど、輝いていましたね。
まさか、追放を言い渡す王子様にそんな深い物語が秘められているとは……。
散りばめられた伏線が回収されていき、まるでパズルが完成するかのようにきれいにまとまって、とてもいい終わり方でした。
最後まで面白かったです!
読んでいただいた上、感想まで……ありがとうございます!
各々が主人公というつもりで書いていたのですが、気づいたらテオフィルが一番キャラが立っていて……、受け入れていただけるかドキドキしておりましたので、素敵なお言葉とても嬉しいです。
次も楽しんでもらえるよう頑張ります♪