鳴けない金糸雀 沈黙の聖女

オトカヨル

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第一章

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「まさか、話す事で相手を操るチカラがあるなんて思いもしなかったから」
「あの王子の魅了の力の事は、魔術を使う者達には有名だったんだよ」
 だけどまさか、この世界全体を守るはずの『聖女』までも操ろうとするなんて思いもしていなかった。力を使う兆候を見て、クロードは自分が一体何に加担したのかを知った。

 聖女の私物化。この国に縛りつけ、国交のカードにするつもりだ、と。

 カナはクロードの言葉に従い、それからつい先ほどまで、話せないフリをし続けた。
 聖女としての力がないフリも。

 そうして、カナが聖女では無いと王子が疑い始めた頃、クロード扮する『本物の聖女』が現れることで、カナを追放するように誘導したのだ。

「うまく行って良かったわ」
「カナはこれからどうしたい?」
 クロードの問いにカナは窓から外を見た。真っ暗な森しか見えないけれど、カナにとっては望んだ外の景色。

「聖女って、本当は何をするものなの?」
「王子は知らなかったんだろうけど、本来、聖女は穢れの溜まった場所に居るだけでいいと言われてる。その存在自体が浄化の力をもってるって」
「じゃあ、この世界を旅しながら、浄化っていうのをしてみようかな」
 無理矢理連れてこられたとはいえ、役目があるというならやってみようとカナは思う。
「それなら、僕にも召喚した責任を取らせて欲しい」
「責任?」
 首を傾げるカナの前に跪き、クロードは彼女を見上げて告げる。

「ずっと側で君を支えさせてくれませんか?」

 頬を染めるカナの手にキスを落とし、魔術士クロードはそうして優雅に微笑んだ。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

黒幸
2022.07.14 黒幸

聖女が追放される物語だから、聖女が主人公かと思いきや、影の主人公……いえ、真の主人公は間違いなく、悲しい生い立ちと育ち方をした第一王子だったと思えるほど、輝いていましたね。
まさか、追放を言い渡す王子様にそんな深い物語が秘められているとは……。
散りばめられた伏線が回収されていき、まるでパズルが完成するかのようにきれいにまとまって、とてもいい終わり方でした。
最後まで面白かったです!

2022.07.14 オトカヨル

読んでいただいた上、感想まで……ありがとうございます!

各々が主人公というつもりで書いていたのですが、気づいたらテオフィルが一番キャラが立っていて……、受け入れていただけるかドキドキしておりましたので、素敵なお言葉とても嬉しいです。

次も楽しんでもらえるよう頑張ります♪

解除

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