41 / 122
第三十七話 やる気の無い先生
しおりを挟む朝の調査も済ませたカンナはエナとシアに別れを告げて自分の教室へと入る いよいよ今日から学園生活が始まるのだ
?「カンナさんだっけ?」
教室に入ると仲の良さそうな男女グループの人が声をかけてくる
カンナ「……はい……私がカンナですよ(あんまり目立ちたく無いんだけど……でも名前覚えてくれたんだ 嬉しい)」
呼ばれ慣れていないのか暗い雰囲気で返事をしてしまうが内心は全く反対のようである
グライス「いきなりゴメンね 俺の名前はグライスって言うんだ!!これからよろしくね」
グライスと名乗った男の後から他のグループの人がどんどんと自己紹介をしてくるが一斉に沢山の名前を覚えられるはずもなく混乱してしまう
リナ「あっ……あの カンナさん困ってます」
混乱している所にリナが入ってきて助けてくれたが昨日のようにオドオドしており自信がなさそうだ
グライス「リナさん!?……ごめんね(なんだか珍しいな)」
リナが話す事は珍しいのかグループ全員が驚いているようだ
カンナ「大丈夫だよ 俺……じゃなくて私も少し混乱してただけだから」
男っぽい言葉使いがでてしまいグライス達は不思議に思うがホームルームの時間となってしまったのでクラス全員が指定の席に着く
カンナ(つい変な言葉遣いをしてしまうな……早く直さないと)
リナ(カンナさん何か難しそうな事を考えてるのかな?)
男として生きてきた分が長いためたった数週間で女性らしくするというのは演技が得意でもない海斗がやるのは無理がある
カンナ(はぁー……エナが言ってたけど普通に授業とかもあるんだったよな……頑張らないと)
魔法は殆ど素人であるカンナは気合いを入れる、編入生が初日から居眠りするようではクラスから変な目で見られる事は間違いない上に変に目立ってしまえばソルセリの調査所ではないからだ
とはいっても授業は八時半から始まり一時間の授業と十分の休憩を三回行い一旦十二時までで授業は終わりそこから一時間半程の昼休憩を挟んでもう一時間の授業をやるので実際は二時半には学校が終わり調査をする時間は充分にある
カンナ(眠りたい気持ちもあるけど……でもこんなんじゃ駄目だ……俺がクシアさんの授業をしっかりと聞いていれば説教される事も世間知らずな行動をする事も無かったからな、だから授業は眠くてもしっかりと聞くんだ)
今までの説教と馬鹿な行動を振り返してしまい反省した海斗は真面目になろうとしており人として少しだけ成長したようである
異世界で色々と思い知らされた結果海斗は少しだけ成長できたので、ある意味異世界転移をする事は良かったのかもしれない……しかし
―――――――――――――――――
ホームルームの時間が流れて授業開始の八時半を過ぎて十分が経とうとしていたのだがまだ先生が来ていない
カンナ「先生来ないな」
リナ「いつもこんな感じなんですよ……そろそろ来ると思います」
リナがそう言うと教室の扉が開いて負のオーラを全開にしたシドウが入ってくる
シドウ「あーい……遅れてすみませんねー それでは今から魔術応用の講義を……」
カリータ「先生 遅れた分をみんなにきちんと謝ってください編入生もきているのですよ?」
謝ってはいるが全く誠意の感じられない言い方にカリータが文句を言う、リーダーとしてクラスをまとめていく立場のためか編入生にだらしない雰囲気を見せたくなかったのだろう
シドウ「はいはい そういうのいいから 謝る時間が無駄なんだって」
カリータ「何故あなたのような人が先生なんてやっているんですか」
シドウ「こちらも非常勤講師でやりたくてやっている訳では無いので」
このやり取りにクラスの全員が「またか……」と言いたそうに呆れているのが伝わってきたのでカンナはリナに詳しい話を聞いた
リナが言うにはここ一週間はずっとこのような感じでやる気の無いシドウと真面目でプライドの高いカリータが噛み合わずに(噛み合う訳がない)この二人がよく言い争いをするらしい
カンナ「これは先生が悪いような感じがするけど……リナとか他の生徒は何も言わないの?(というよりか解雇にならないのかこの先生、日本だったら即クビになっちまうぞ)」
こんなにもやる気の無い先生は初めて見て逆にシドウの心配をしてしまう
リナ「でもほら……私達Eクラスだから……」
カンナ「Eクラス……か」
リナが昨日言ったようにこのクラスには成績の悪くパッとしない生徒が多いのは入ったばかりのカンナも感じていた……何故なら元の世界の自分から似たような雰囲気をカリータや一部を除いた人達から感じるからである
カンナ(ある意味俺と同じ人がたくさん集まってるって事か……ん?ちょっとまてよ魔法適正皆無の俺が入学できた理由ってもしかして……)
面接での手応えを全く感じていなかった海斗はまさかの可能性を思いつくが真相は定かではない
その裏で言い争いを続けていたカリータが折れてシドウは渋々と授業を始めていた
カンナ(あんなだけど授業はしっかりやるのか……)
授業の内容は魔術の応用についての授業なのだが……
カンナ(えぇ全然分かんない……そもそも基礎が出来ていないし何よりも黒板に書く字が汚ねえ)
カンナは分からないなりにしっかりしようと真面目にノートを取ろうとしてはいたがシドウのやる気のなく雑な板書は読み取りづらく何とも言えない気持ちとなり一時間目の授業が終わってしまった
カンナ(もーーどうしたらいいんだー)
リナ「カンナさん……良かったら私のノートを見ますか?」
困っているのを感じ取ったリナがノートを見せてくれた、ノートには板書された部分がしっかりと書かれておりシドウの板書よりも分かりやすくまとめられていた
しかし基礎がなってないカンナは理屈で説明された魔法の説明を見ても理解する事は難しかった
カンナ「ありがとうリナ、でも時間が無いかも 確か次の授業が」
リナ「そうですね……次は合同で実技の授業ですから後でゆっくり写してください」
カンナ(頭よりも体で覚える方が得意だからな……合同でやるって事はどこのクラスになるんだろ)
リナ「更衣室に行きましょうか……」
そんな事を思いながらも実技の授業は専用の体操服に着替えなければならないためリナと同じクラスの女子の後に着いて行くが皆の顔が暗い
カンナ(なるべく見ないようにして早く着替える……早く着替える)
斉藤「ねえカンナさん 何か変な感じが……って何か考えてる(何でだろ?皆の顔が暗いような感じがする)」
抵抗のあるカンナは別の事に気を取られてそんな事には気付かず何も知らない斉藤だけが妙な雰囲気を感じ取っていた
その疑問は更衣室に入った瞬間にすぐに解消されることとなる
女子生徒「うわっ……Eクラスの奴らだ」
更衣室へ入ると先に来ていたクラスの生徒が冷たい視線を送ってくる、Eクラスの生徒は嫌味を言われながら制服を脱いで体操着へと着替えている
体操着は白い上着と黒い膝下まであるズボンで元の世界の体操服とほとんど同じような感じだ
カンナ(見てない……見てない……見てない)
カンナはなるべく周りを見ないようにしてロッカーで顔を隠しながら着替えておりクラスの皆が悪口を言われているのを気にする余裕などなかった
カリータ「貴方たち!!いい加減にしなさい 編入生がいるのですよ」
耐えられなくなったのかカリータは悪口を言う生徒に注意をする
女子生徒「これはクラスリーダー様ですね 失礼失礼」
馬鹿にしたような捨て台詞を吐いてBクラスの生徒は更衣室から出ていった その中に工藤も居て何か言いたそうな感じだったが同調圧力に流されてBクラスの女子に着いて行った
斉藤「カリータさん……いつもこんな感じなのですか?」
カリータ「はい……薄々感じていたとは思いますけど私達Eクラスはあんな感じで劣等生として見下されているのです……でも斉藤さんは例外だとおもいます」
カリータの言葉を聞いた斉藤は悲しそうな顔を浮かべている、どうやら実力や成績がこの学園では全てであり最下層のEクラスは何も言い返す権利も無く 編入生で異世界からの勇者である斉藤は実力がある事は目に見えているため軽蔑の対象にはなっていないとの事だった
斉藤「そうなんですか……(先生も含めてこのクラスは他の生徒から見下されるように作られているのかな?)」
授業前に嫌な気分になるが時間が迫っているのでクラス全員急いで着替えて更衣室からでてグランドへと向かっていく
体を動かす授業なので少し楽しみにしているのはカンナだけでありクラスメイトの殆どが嫌そうな感じにしていた
指定のグランドへと向かうとEクラスとBクラスの生徒が並んでおりシドウの他に新しい先生が一人いる
?「えーっとEクラスの編入生の人は初めまして私はBクラス担任のローゼンといいますよろしくお願いします」
赤髪の先生で優しそうな目が特徴的で顔から分かるように誠実そうな雰囲気が漂っており先ほど見た生徒の担任とは思えない
ローゼン「こちらの先生がEクラス担任のシドウ先生です今日の実技は私達二人で見ていきますので座学で学んだ応用を活かせるように頑張っていきましょう」
シドウ「よろー」
それに対してシドウの適当さが目立つが気にしていても仕方がない
ローゼン「まず最初に編入生の実力を見てみたいのでテストをしたいと思います」
ローゼンが発言すると全員がカンナを含めた編入生に注目する、工藤、溝上、斉藤の三人は自信があるのか堂々としているが反対にカンナは冷や汗をかいており今にも逃げ出したい気分になってしまったのだった
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる