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第五十二話 競技祭の始まり

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 朝日が昇り小鳥の声が聞こえ始める時間帯に制服を着た女子生徒の三人が集まっている
 
 カンナ「いよいよ本番かー……」

 リナ「とうとう来ちゃいましたね……」

 カリータ「はい……全力で頑張りましょう」

 カンナ「そうだね、後開会式の挨拶のアレを忘れてないよね?」

 カリータ「うぅっ……本当にやるのですか?」

 カンナ「うーん……言い出しっぺはグライスとマリアだし最悪その二人のせいにすればいいよ」

 カンナ「はい……」

 リナ「頑張って優勝しましょう!!」

 三人は開会式の前に集まり頑張る事を誓い学校へと向かっていく


 今日は魔術競技祭、生徒達が高めた魔術を競いあって優勝を目指す大きな祭りであり毎年国の偉い人達が来訪したりするのでソルセリ最大のイベントといっても過言ではないだろう

 クラスの教室に行くと大きなイベントという事もあり全員ソワソワしており緊張している様子が伝わってくる

 カンナ「皆緊張してるみたいだな」

 リナ「当然するに決まってるじゃん だって色んな人が観に来るんだし……」

 教室は緊迫した雰囲気となっているがカリータとシドウが黒板の前に立つとそれに全員が注目する

 シドウ「今日は待ちに待った競技祭の当日だ お前達は三週間必死に練習したがそれは他のクラスも同じだ!! もしかしたら満足のいかない結果になるかもしれない」

 いくら頑張っても結果の出ない事がある事はこのクラス全員は理解しており真剣な様子でシドウの話を聞いている


 シドウ「Eの癖に生意気だの何だの言われているクラスだがお前達が大きく劣っている訳ではないと俺は思っているし充分に通用するから練習した事を信じて全力で頑張って楽しんで来い!!以上だ」

「はい!!」と全員が大きな返事を返すと次はクラスリーダーのカリータが前に立つ

 カリータ「シドウ先生が言いたい事はほとんど言ってくれましたが 目指すは優勝一つだけです!!そして散々馬鹿にしてきた人達を見返してやりましょう!!」

 この後にクラス全員が声を上げて叫んで早朝ではあるが盛り上がっておりやる気は充分なようで最後に全員が輪になって集まり掛け声をかけて気持ちが高ぶったところで競技祭が行われる場所へと移動する

 会場は円形の闘技場の様になっておりその真ん中で様々な競技が行われて観戦する観客や生徒は外側のスタンドから応援する形となっている

 最初は学長の挨拶と開会式の言葉があるので生徒達はグランドの入り口付近で待機しており外から歓声の声が聞こえてくる

 カンナ(凄い歓声だ これで良い成績を残せれば一番怪しい天空城に行けるんだな 頑張るぞ!!)

 リナ「いよいよだね」

 カンナ「うん……」

 シドウ「よし 今から入場だぞ 歓声に圧倒されると思うが堂々と胸をはって歩くんだぞ!!」

 先生が指示を出すと周りにいるAクラスから入場し始めて最後にはEクラスが入場する

 入り口に近づくと外からの光が見えて外に出ると今日の競技祭を見に来た観客の歓声が聞こえて圧倒されるが負けずに堂々とあるく

 斉藤「人がこんなに……凄い」

 観客席を見回すと空いてる場所はほとんど無く人で埋め尽くされており何故か斉藤は競技祭の人気ぶりに面を喰らっているようである

 全クラスがグランドの周りを一周し中央まで行くと豪華な観客席から学長が立ち上がり挨拶をする


 ジック「皆さん今日はお集まりいただきましてありがとうございます………………生徒の皆さんもお互い切磋琢磨しながら競い合う事で更なる魔術の向上を目指して頑張りましょう」

 ジックの話が終わると拍手が起こり次はゲストの紹介をするようで全員が赤く豪華な観客席に注目すると見覚えのある顔が何人かいるようである

 カンナ「なっ!?何であの人が……」

 ジック「最初のゲストは妖精族の長である大妖精様に来ていただきました、一言挨拶を」

 大妖精「ふむ、ウチが大妖精じゃ 其方達の魔法でウチをゾクゾクさせて欲しいのう そしてお互い悔いのないように頑張ってくれ」

 カンナ(何であのドM……じゃなくて大妖精様がここに?ゾクゾクとか言ってたけどまさかな……)

 ジック「大妖精様ありがとうございます それで次はこの学園の元講師であるマールさんです 一言お願いします」

 マール「私はマールといいます 生徒の人は知らない人が多いとは思いますが 私が担任してた時よりも皆さんのやる気が満ち溢れていて非常に楽しめそうです 頑張って下さい」

 カンナ(おい 一瞬目があったぞ というよりあんたが来るなんて聞いてないぞ)

 これにはクシアとエナもかなり驚いているようで何も知らされていなかったようである

 ジック「ありがとうございます 元教員として生徒に色々アドバイスをお願いしたいですね それでは最後にアトラス王国のリリィ王女 お願いします」


 リリィ「この度は父の代わりに招待していただきありがとうございます 今日は皆さんが日々積み重ねてきた事を存分に発揮してほしいと思います」
 
 
 カンナ(雪菜じゃなくてリリィ王女……元気そうでよかった でも誰かと目を合わせてるみたいだな、誰だろう?)

 リリィの視線は斉藤や山下などの勇者達に向いておりカンナがそれに気がつく事は無かった

 何かが起こりそうな雰囲気を匂わせながらもリリィの言葉の後に拍手喝采が起こる

 ジック「リリィ王女様ありがとうございます、懸命に競う生徒達を是非目に焼き付けて欲しいですね それでは各クラスの代表の方前へお願いします」

 各クラスのリーダーは返事をして全員の前に立つ

 一人ずつクラスの代表として真面目に挨拶をしなければならないのだがEクラスの何人かは笑いを堪えているようにも見える

 Aクラスのリーダーはマルク王子であり「絶対に勝って優勝してみせる」と自信満々に挨拶をする

 それに続いてBクラスのリーダーも意気込みを語りCクラスのリーダーであるサリーも挨拶をする

 カンナ(あのムカつく女はCクラスのリーダーだったんだな 知らなかった)

 そしていよいよEクラスの番が回ってきてカリータが壇上に上がり全員が注目する

 カリータ「すぅっ……」

 カリータは大きく息を吸い全員が聞き取りやすいように大きな声で話し始める

 リナ(カリータさん頑張って……)

 カリータ「今日の私達Eクラスは一味違います!!今まで散々馬鹿にされてきた積年の恨みをここで晴らし優秀なAクラスも追い抜いて優勝してみせます!!以上Eクラス代表カリータ」

 何と代表の挨拶で全クラスに宣戦布告をしたのであるこれはグライス、マリア、シドウの入れ知恵であり他クラスの生徒が文句を言いまくる中同じゼミのサブナック、パック、カンナは大笑いをしていた

 パック「ハハハー カリータさんやりますねー メチャクチャ面白いですよ」

 サブナック「あの時から大きく変わったなカリータ……面白いぞ」

 シドウ「ニッ……いいぞその調子だ煽れるだけ煽るんだ」

 カンナ(うはぁー凄い罵声だわw でもこれだけ言われてもカリータ含めた全員が堂々としてるから本当に皆変わったよな)

 Eクラスの宣戦布告が炸裂し予想以上に盛り上がってしまったのでジックが「静粛に」と一言言うと一瞬で静まり返る

 ジック「フフフ……皆さん元気の良い挨拶をありがとうございました この挨拶で宣戦布告をしたクラスはあなた達が初めてですよ 」

 ジックは盛り上がったのが嬉しかったのか笑顔で答える

 ジック「是非Eクラスに注目していきたい所ですね それでは今からソルセリ魔術学園 魔術競技祭を始めます!!」

 言い終わると花火と同時に歓声が上がり待ちに待った競技祭が幕を開ける

 カンナ「おっしゃー 色々と気になる事があるが取り敢えず優勝だな」

 リナ「はい!!頑張りましょう!!」

 気になる事はいくつかあるが気合いを入れ直し競技祭に向けてモチベーションを上げていくのだった

 

 
 

 
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