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第八十五話 暗い森の中で
しおりを挟む工藤(海斗と亜紀ちゃんみたいな関係にずっと憧れてたんだけどなー……)
辺りは暗くなり風の音が聞こえる中で食事の準備を終えた一同は楽しく話しているが先程色々と見せつけられてしまった工藤は少しだけ元気がない様子を見せている
クシア「工藤さん?どうかしたのでしょうか?」
工藤「えっ!? 何でもないですよ……」
クシア「……そうですか」
違和感に気がついたクシアが声をかけるが嘘をついているというのはクシアも理解した上で頷いたのである
そしてしばらく時間が経つと海斗は今日聞けなかった事などをクシアやエナに尋ね始めた
海斗「そう言えば昼くらいにアリスは王国に入らない方が都合が良いみたいな事言ってたけどあれはどう言う事なの?」
クシア「その事なのですが……」
質問を受けたクシアは説明を始める、クシア達がレオス王子と出会い直接話を聞いた事でアリスをこの国には入れない方が良いと判断したとの事であった
その理由が最近この国に居たダイナ族の男が裏切って王国を守る兵士の多くを引き連れて行方をくらませており同じダイナ族のアリスが獣人達から酷い目に遭う可能性があると感じたからなのであった
海斗「そうだったのか……外で待機してたのは幸いだったって事か」
クシア「それもそうですね、その裏切ったダイナ族はこの国を守る兵士で最強と呼ばれるほどの実力を持っていたそうなのです」
海斗「アリス以外のダイナ族か……気になるな」
アリス「そうだったんだ……でもその人のせいでこの国を守る人達が殆ど居なくなったんだよね?」
アリスが悲しそうな声でクシアに尋ねると少しだけ間を置いて返事を返す
クシア「……嘘をつくのも悪いですから正直に言いますアリスさんも相応の覚悟があって着いてきたのでしょうから、ハッキリ言うとかなり滅茶苦茶になっているのが現状です」
普段は穏やかなクシアは真剣な表情となりアリスを真っ直ぐに見つめて事実を話し始める
クシア「その人達が居なくなってしまったせいで国の治安が悪くなっています」
海斗「そうなると悪い奴らがやりたい放題ってなるからな」
工藤「うん……そのせいで昼みたいな子供を攫う奴らが現れたりして大変みたいなの」
海斗「だから門の前の兵士はあんなにピリピリしてたって訳か……」
アスフェア「少し揉めちゃったけどそんな事情があるなんて知らなかったわ」
海斗「お前はどんな状況でも絶対揉めてたと思うけどな」
アスフェア「うるさいわね 大体あんただってその原因に……」
いつもの言い争いをしようとする二人にクシアは優しく微笑みかける
その表情には威圧感があり察した二人は黙り込んで静かになったのでクシアは話を続ける
クシア「それで私達が問題を解決する為にマールさんがここに行くように指示されたのですよ」
エナ「少しだけなら聞いたことはあったけどそんなに酷い状態だったなんて知らなかったな……」
海斗「別に今日中じゃなくても良いと思ってたけどマールが俺達を急いで行かせた理由も何となく分かった気がする」
アスフェア「まじで怒られるわよあんた」
クシア「そんな事もあってかマザーサルビア等の悪人を捕まえる余裕がないみたいです」
工藤「今は守る事で精一杯だから私達が頑張らないといけないって事ですね」
海斗「この国が大変だってのは分かったけど……やっぱり今日会った盗賊の奴らは少し違和感を感じたな」
クシア「やはり逃したのですね」
海斗「そうですね、話したのは少しだったけど俺はあいつらが悪い奴には見えなかった」
エナ「うん……私もそう思った」
海斗「やっぱりエナもそう思うんだね」
工藤「でも子供を攫っていたのは事実だよ?」
海斗「確かにそうだけど……上手く言葉にできないや」
工藤「確かに捕まえた子達はまだ子供って感じで根っこは良さそうな感じがしたけど……だからって許される理由にはならないと思う」
クシア「その辺はまた明日にでもゆっくり考えましょうか」
海斗「そうだな 遅い時間になってきたしな」
クシア「今からは二人ペアで見張りをしつつ他の人は風呂などを済ませていきましょう」
エナ「そうした方がよさそうだね、それでペアと順番はどうする?先に見張りをした人から寝ていくって感じでいいんだよね?」
クシア「はいその通りです一応工藤さんと私で結界を貼ってますが念には念をいれておいた方が良いかと。順番は今日一番疲れているアリスさんと海斗からが良いかと思います」
工藤「私もそうした方が良いと思うかなー」
エナ「……そうだね」
エナは二人の時間がほしかったのか少し寂しそうな表情を浮かべている
海斗「そんなに疲れてはないけどみんながそう言うなら先に行かせてもらおうかな アリスもそれで良い?」
アリス「うん」
海斗「なら行くか、交代の時間はどれくらいにする?」
クシア「1時間程で次の人と交代する形でいきましょう それと何か異常があったら大声で知らせてくださいね」
海斗とアリスは元気よく返事をしてその場から離れて行きエナ、クシア、工藤、アスフェアがその場に残りフェンリルはぐっすりと眠っている
エナ「次は誰が行く?」
クシア「次はエナと工藤さんが行ってもらって良いですよ 私が最後に行くつもりだったので」
工藤「それだとクシアさんが一人になっちゃいます」
クシア「フェンリルとホーリアーがいるので安心してください」
工藤「それなら大丈夫そうですね なら私はエナさんと一緒で良いですか?」
エナ「うん大丈夫だよ」
クシア「決まりですね フェンリルがいるので恐らく大丈夫だとは思いますが油断なさらぬようにお願いします」
工藤「ふふふ、やっぱりクシアさんはしっかりしてますね」
工藤の褒め言葉にクシアは照れくさそうにしており嬉しそうにしている
エナ「でも時々抜けてるところもあったりするよねー」
工藤「あーそれ分かりますクシアさんは王宮での授業中に転んだりうっかりとネタバレしちゃったりしてて可愛いって思ってました」
クシア「ううぅー 恥ずかしいです」
アスフェア「クシアのエピソードで盛り上がりそうね」
クシアのエピソードやソルセリの事などを中心に話が盛り上がり時々海斗とアリスの事も話に入れつつ全員が楽しそうにしており微笑ましい雰囲気が広がっている
その頃アリスと海斗は自分達の事を話されているとも知らずに見張りをしつつ話していた
アリス「クチュン」
海斗「なんだアリス?風邪でも引いたのか?」
可愛いらしいくしゃみをするアリスに海斗が話しかけるとその後に海斗も豪快なくしゃみをしてしまったのでアリスが笑っている
アリス「あはは 海斗お兄ちゃんもじゃん」
海斗「そうみたいだな また誰か噂でもしてるんだろうな」
アリス「んー?どう言う事?」
海斗「大人になれば分かるぜ」
海斗はうっすらと聞こえるクシア達の話し声の方向へと耳を傾けながらアリスに話す
アリス「私も一応15だし大人だよー」
海斗「そういえばこの世界ではそうだったな」
アリス「でもダイナ族の15はまだ子供だってマールお姉ちゃんが言ってた」
海斗「そうなのか そういやアリスは何で着いてきたの?」
アリス「私もティラお姉ちゃんみたいに世界の為に頑張りたいって思ったからだよ」
海斗「それにしてもあんなに外に出るなって感じだったのにあの人も変わったな」
アリス「それは海斗お兄ちゃんのおかげだよ だから私も変われたの」
海斗「そんなに大した事はしてないさ 最後に決めたのはアリスなんだから」
アリス「確かにそうかもしれないけど海斗お兄ちゃんに会えなかったら私はずっとあのままだったと思う」
海斗「……でもアリスが差別されてるって事を知ったら危険な目に合わせたくないってなる気持ちはかなり分かるんだよな」
アリス「それはマールお姉ちゃんが私を思ってやってたって事は分かってる」
海斗「それでもアリスはティラお姉ちゃんを見習って外に飛び出したんだろ?」
アリス「うん!!私にはそれなりの力があるからその力を悲しんでいる人達の為に使いたいって思ったから」
海斗「アリスは立派だな」
アリス「えへへ」
海斗はアリスの頭を撫でるとアリスは懐いた子犬のようになりとても嬉しそうにしている
海斗「でもまだ子供な部分はあるな」
アリス「もーう」
アリスと戯れ合いながら過ごしていると時間はあっという間に過ぎ去りエナと工藤がやってきて交代の時間となったのであった
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