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一章
俺は出会った少女と二人で
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少女と交戦してから暫くして、蓮花は少女の目の前で座っていた。
鎖で縛られたときの痛みは未だに残っている。だが身体は問題なく動かせたので少し安心した。
「落ち着いた?」
覗き込むように蓮花の顔を見て少女は聞いてくる。
お前にも非があるだろとは思うが力の差を見せられた後だと言いたいことも言えない。ただ「あぁ」と頷いた。
少女と出会ってから分かったことがいくつかある。
まず、魔法は思っていたよりも強力なものであること。
まだ一目しか見ていないがその有用性は十分わかる。発動の仕方はわからないが道具なしでも発動でき遠距離にも対応できる点を考えると魔法の有無でその人が有用かはだいたい決まるだろう。
二つ目はどうやら召喚される対象は地球の生物だけじゃないということだ。
これは少女が何処の星から来たか聞いてきた時にそう感じた。無数の星の中から召喚対象が選ばれ召喚される感じだろう。その星の中には魔法が使える星も使えない星もあるはずだ。残念だが地球は使えない星である。
この二つは少女が地球を外れと言った理由としても納得がいく。
最後は少女が蓮花を召喚したということである。本人の口から聞いているので間違いはない。
これについて蓮花は疑問に思ったことがある。それは優が何処に行ったのかである。召喚されてからは頭から離れていたが蓮花が黒い雷に撃ち抜かれる前に優が倒れているのを見ている。黒い雷が召喚対象を撃ち抜いているのであれば優もまたこの世界に来ているはずであった。
そして何かしら目の前の少女も関係してるはずだと蓮花は睨んだ。
蓮花が考え込んでいると少女が
「そう言えばまだ名乗ってなかったわね。私はアリン・サルルカ。アリンって呼んでいいわ」
と自己紹介をしてくる。アリン・サルルカ、蓮花からしたら不思議な名前。アリンが名前でサルルカが苗字みたいなものだろう。
蓮花も名乗らない理由はないのでアリンに合わせて名乗る。
「俺は羽井蓮花。蓮花でいい」
「レンカ・・・・・・ね。いい名前じゃない」
蓮花はアリンが賛美してくるとは思わなかったので驚いた。
しかし優のことを考えると嬉しいという気持ちにはなれない。この少女が黒い雷を呼んだとすると目の前に優をどこかへやった本人がいるからだ。
気持ちも晴れないままただただ頷く。
「何か暗いわね。何かあった?」
蓮花が俯いていると少女は察したのか尋ねてくる。聞くのには絶好なタイミングであった。
蓮花はこのタイミングで聞いていいのかと迷った。もし少女が優を何処かにやったのならまた蓮花は少女を襲うだろう。
だがいてもたっていられずに口から言葉が漏れでる。
「お前が黒い雷を呼んだのか?」
蓮花がそう言った瞬間辺りが静かになったような気がした。少女は唸るように考え込む。本当にこの少女がやったのかと思い一歩後ろに下がる。少女は中々口を開かない。
そして重苦しい時間が過ぎていくやっと少女は口を開いた。
「それは私じゃないわ」
重苦しい雰囲気とは反対にあっさりとした返答だった。少女は言葉を続ける。
「それは神の力って人間は言ってるわね。召喚する時に何かしらの力が干渉して黒い雷が降るらしいわ。だけど・・・・・・」
そこで少女は口を紡いだ。また重苦しい時間が流れる。そして時間が経つと少女は頭を下げた。
「謝罪するわ!私がレンカを殺したのは間違いない!ごめんなさい!」
突然少女が頭を下げたので蓮花は慌てた。落ち着いてよくよく考えるとアリンのやったことは許せないことであった。間接的であったとしてもアリンが蓮花を殺したには違いなかった。
だがそれは蓮花にはどうでもよかった。今聞きたいのは優の事である。
「俺以外のやつはどうした」
「俺以外?どういうこと?」
アリンは知らないふりをしているのか首を傾げる。
「俺が死ぬ前に黒い雷が無数に落ちたがお前がやったんじゃないのか?」
「私が召喚したのはレンカだけよ?」
蓮花はその言葉に急に不安を覚えた。自分が生きているから優も生きているのだろうと安心していた。では優は何処にいるのか。見知らぬの者に召喚されるとなるとまた違った不安が込上がってくる。
いつの間にか蓮花の足は動いていた。
鎖で縛られたときの痛みは未だに残っている。だが身体は問題なく動かせたので少し安心した。
「落ち着いた?」
覗き込むように蓮花の顔を見て少女は聞いてくる。
お前にも非があるだろとは思うが力の差を見せられた後だと言いたいことも言えない。ただ「あぁ」と頷いた。
少女と出会ってから分かったことがいくつかある。
まず、魔法は思っていたよりも強力なものであること。
まだ一目しか見ていないがその有用性は十分わかる。発動の仕方はわからないが道具なしでも発動でき遠距離にも対応できる点を考えると魔法の有無でその人が有用かはだいたい決まるだろう。
二つ目はどうやら召喚される対象は地球の生物だけじゃないということだ。
これは少女が何処の星から来たか聞いてきた時にそう感じた。無数の星の中から召喚対象が選ばれ召喚される感じだろう。その星の中には魔法が使える星も使えない星もあるはずだ。残念だが地球は使えない星である。
この二つは少女が地球を外れと言った理由としても納得がいく。
最後は少女が蓮花を召喚したということである。本人の口から聞いているので間違いはない。
これについて蓮花は疑問に思ったことがある。それは優が何処に行ったのかである。召喚されてからは頭から離れていたが蓮花が黒い雷に撃ち抜かれる前に優が倒れているのを見ている。黒い雷が召喚対象を撃ち抜いているのであれば優もまたこの世界に来ているはずであった。
そして何かしら目の前の少女も関係してるはずだと蓮花は睨んだ。
蓮花が考え込んでいると少女が
「そう言えばまだ名乗ってなかったわね。私はアリン・サルルカ。アリンって呼んでいいわ」
と自己紹介をしてくる。アリン・サルルカ、蓮花からしたら不思議な名前。アリンが名前でサルルカが苗字みたいなものだろう。
蓮花も名乗らない理由はないのでアリンに合わせて名乗る。
「俺は羽井蓮花。蓮花でいい」
「レンカ・・・・・・ね。いい名前じゃない」
蓮花はアリンが賛美してくるとは思わなかったので驚いた。
しかし優のことを考えると嬉しいという気持ちにはなれない。この少女が黒い雷を呼んだとすると目の前に優をどこかへやった本人がいるからだ。
気持ちも晴れないままただただ頷く。
「何か暗いわね。何かあった?」
蓮花が俯いていると少女は察したのか尋ねてくる。聞くのには絶好なタイミングであった。
蓮花はこのタイミングで聞いていいのかと迷った。もし少女が優を何処かにやったのならまた蓮花は少女を襲うだろう。
だがいてもたっていられずに口から言葉が漏れでる。
「お前が黒い雷を呼んだのか?」
蓮花がそう言った瞬間辺りが静かになったような気がした。少女は唸るように考え込む。本当にこの少女がやったのかと思い一歩後ろに下がる。少女は中々口を開かない。
そして重苦しい時間が過ぎていくやっと少女は口を開いた。
「それは私じゃないわ」
重苦しい雰囲気とは反対にあっさりとした返答だった。少女は言葉を続ける。
「それは神の力って人間は言ってるわね。召喚する時に何かしらの力が干渉して黒い雷が降るらしいわ。だけど・・・・・・」
そこで少女は口を紡いだ。また重苦しい時間が流れる。そして時間が経つと少女は頭を下げた。
「謝罪するわ!私がレンカを殺したのは間違いない!ごめんなさい!」
突然少女が頭を下げたので蓮花は慌てた。落ち着いてよくよく考えるとアリンのやったことは許せないことであった。間接的であったとしてもアリンが蓮花を殺したには違いなかった。
だがそれは蓮花にはどうでもよかった。今聞きたいのは優の事である。
「俺以外のやつはどうした」
「俺以外?どういうこと?」
アリンは知らないふりをしているのか首を傾げる。
「俺が死ぬ前に黒い雷が無数に落ちたがお前がやったんじゃないのか?」
「私が召喚したのはレンカだけよ?」
蓮花はその言葉に急に不安を覚えた。自分が生きているから優も生きているのだろうと安心していた。では優は何処にいるのか。見知らぬの者に召喚されるとなるとまた違った不安が込上がってくる。
いつの間にか蓮花の足は動いていた。
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