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一章
俺は少女に縛り付けられる
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黒い雷に身体を撃ち抜かれてから意識を取り戻したのは天井の失われた石造りの建物の中でであった。
意識を取り戻すと身体を貫かれたのが一瞬前の出来事のように感じられて蓮花は身体を震わした。初めての死の感覚は予想よりも遥かに精神に響いた。それに優のことを思い出すと・・・・・・。
それから時間が経つにつれ段々と気分も落ち着いてきた。心は完全に晴れないにはせよ、しっかりと他のことを思考できるぐらいまでには落ち着く。
まずすることは状況の確認である。確かに自分は死んだ筈なのに意識があるということはどういうことか。
自分の身体の感覚を確かめる。しかし、妙な違和感があり本来の自分の身体ではないことがすぐに分かった。
起き上がり自分の目で確かめる。
胸元を見ると以前はなかった二つの山が布の服を押し上げている。夢か幻術か、顔をつねるが痛みを感じるだけである。ならば、と胸をつねってみると今までに感じたことがない甘い刺激が脳まで走り抜け、思わず「んっ」と声が漏れてしまう。
嘘だろとは思ったがここまでやれば悟るしかない、完全に女に性転換していると。
念の為に下半身の方にも手を伸ばしてみる。そろそろと手が身体のラインを伝って股に近づいていくに合わせて何故か胸の鼓動も高鳴っていく。そして、丁度股に手が触れそうになる直前、
「あ、貴女、何してるのよ!」
鈴を奏でたような凛とした声が耳に入った。
慌てて声がした方に振り向くとそこには白色の髪を垂らした可愛らしい少女がローブで身体を隠して立っていた。少女はオパール色の瞳で疑わしそうにこちらを見つめてくる。
蓮花はその少女の容姿に一瞬見とれてしまったが、自分がやっていたことを思い出しすぐに姿勢を正した。
「今更遅いわよ!召喚してすぐにそ、そんなことするなんて・・・・・・へ、変態!」
「ち、違う!これはあるか確認してただけだ!」
変態扱いされたことに咄嗟に反論する。まさか見られてるとは思わなかった。
「何意味わからないこと言ってるのよ!」
少女は疑問符を浮かべて疑わしそうに見つめてくる。
少女の言葉に蓮花も意味が分からなかったがその理由は考えてみればすぐに分かった。この少女は元男だということを知らない、だから色々と勘違いしてしまったのだろう。
そう結論づけた蓮花は何故女になっているかは置いといて目の前の少女を宥めることにした。
「大丈夫だ、本当にやましいことじゃないから」
先程の興奮した対応とは逆に今は落ち着いて話しかける。
「そ、そうなの」
「信じてくれるのか?」
案外あっさりとした返答に蓮花は思わず聞き返してしまう。
「信じるわよ・・・・・・そんな真剣な顔されたら疑えるわけないじゃない」
少女はぷいっと顔を横に逸らして答えた。
どうして顔を逸らしたのかは分からないがどうやら信じてくれたみたいだ。それにしてもこの少女は騙されやすいのでは。真剣な顔をしただけで信じてしまうのだからかなり騙されやすいのかもしれないなと蓮花は思った。
だが今はそんなことよりも優先しなければならない事がある。一応疑いは晴れたようなので次はこちらから気になることを質問した。
「どっかの森みたいだが、ここは何処なんだ?」
当たり前の質問である。辺りは見覚えのない森の中にある祠のような建物。記憶の中を辿っても祠なんて一度も見たことがない。では此処は何処なのか。
少女にとってはおかしな質問であろう。アホなのかと思われるかもしれない。だが少女の答えは
「あー、それもそうね、知らないのも無理ないわね。此処は貴女からすれば異世界といえる世界といえばいいかしら。私が貴女を召喚したの」
と予想を裏切ったものだった。
蓮花はその答えに喜びを一瞬覚えたが少女の言葉を真っ向からは信じなかった。
「異世界?本当なのか?」
確かに蓮花は異世界に憧れているが口からのでまかせもある以上真には受け止めない。何か証明してくれればと思っていると少女が口を開いた。
「貴女、何処から来たの?星の名前でいいわ」
何故そんなことを聞くのかと思ったが返答したところで損になるかは分からなかったので「地球」と正直に答える。
「地球・・・・・・はぁ、外れを引いたわね・・・・・・」
蓮花が答えると少女はそう言って残念そうにため息をついた。蓮花はその態度に少々ムカついてしまった。
「おい、外れってどういうことだよ!」
まるで人間としてはダメな方と言われた様だったので怒りがこみ上げる。
少女の失礼な態度にローブを掴み引き寄せ顔を近づける。
だが少女は怯えもせずこちらを睨み返してくる。すると少女は一言
「鎖の束縛」
と発した。
その言葉に反応したかのように地面から鎖が飛び出し、俺の身体を縛り付けてきた。
突然のことに慌ててしまい必死に解こうと無造作に力を入れるが逆に強力な力で縛り付けられてしまう。以前よりも大きくなった胸が圧迫され息遣いが苦しくなる。
「どう?それは魔法よ」
蓮花が鎖を解こうとしているなか少女は笑みを浮かべて話しかけてきた。
「確か地球には魔法が無いんでしょ?魔法は想像の中では存在するけれども実際には存在しない星なんて不憫よね」
蓮花は少女の言葉に外れと言われた理由が何となく分かった気がした。
だがどんな理由があろうとも外れというラベルを貼られたのは許せない。
渾身の力を外側に解放する。するといきなり鎖の力が緩んだ。対して力を加える対象が無くなったためにに蓮花はその場で横転する。蓮花が起き上がろうとすると少女が腹の上に乗ってきた。
「やっぱり戦いなれてないわね。だから外れなのよ」
少女に再度外れのラベルを貼られる。だが蓮花はまた襲いかかることは無かった。
意識を取り戻すと身体を貫かれたのが一瞬前の出来事のように感じられて蓮花は身体を震わした。初めての死の感覚は予想よりも遥かに精神に響いた。それに優のことを思い出すと・・・・・・。
それから時間が経つにつれ段々と気分も落ち着いてきた。心は完全に晴れないにはせよ、しっかりと他のことを思考できるぐらいまでには落ち着く。
まずすることは状況の確認である。確かに自分は死んだ筈なのに意識があるということはどういうことか。
自分の身体の感覚を確かめる。しかし、妙な違和感があり本来の自分の身体ではないことがすぐに分かった。
起き上がり自分の目で確かめる。
胸元を見ると以前はなかった二つの山が布の服を押し上げている。夢か幻術か、顔をつねるが痛みを感じるだけである。ならば、と胸をつねってみると今までに感じたことがない甘い刺激が脳まで走り抜け、思わず「んっ」と声が漏れてしまう。
嘘だろとは思ったがここまでやれば悟るしかない、完全に女に性転換していると。
念の為に下半身の方にも手を伸ばしてみる。そろそろと手が身体のラインを伝って股に近づいていくに合わせて何故か胸の鼓動も高鳴っていく。そして、丁度股に手が触れそうになる直前、
「あ、貴女、何してるのよ!」
鈴を奏でたような凛とした声が耳に入った。
慌てて声がした方に振り向くとそこには白色の髪を垂らした可愛らしい少女がローブで身体を隠して立っていた。少女はオパール色の瞳で疑わしそうにこちらを見つめてくる。
蓮花はその少女の容姿に一瞬見とれてしまったが、自分がやっていたことを思い出しすぐに姿勢を正した。
「今更遅いわよ!召喚してすぐにそ、そんなことするなんて・・・・・・へ、変態!」
「ち、違う!これはあるか確認してただけだ!」
変態扱いされたことに咄嗟に反論する。まさか見られてるとは思わなかった。
「何意味わからないこと言ってるのよ!」
少女は疑問符を浮かべて疑わしそうに見つめてくる。
少女の言葉に蓮花も意味が分からなかったがその理由は考えてみればすぐに分かった。この少女は元男だということを知らない、だから色々と勘違いしてしまったのだろう。
そう結論づけた蓮花は何故女になっているかは置いといて目の前の少女を宥めることにした。
「大丈夫だ、本当にやましいことじゃないから」
先程の興奮した対応とは逆に今は落ち着いて話しかける。
「そ、そうなの」
「信じてくれるのか?」
案外あっさりとした返答に蓮花は思わず聞き返してしまう。
「信じるわよ・・・・・・そんな真剣な顔されたら疑えるわけないじゃない」
少女はぷいっと顔を横に逸らして答えた。
どうして顔を逸らしたのかは分からないがどうやら信じてくれたみたいだ。それにしてもこの少女は騙されやすいのでは。真剣な顔をしただけで信じてしまうのだからかなり騙されやすいのかもしれないなと蓮花は思った。
だが今はそんなことよりも優先しなければならない事がある。一応疑いは晴れたようなので次はこちらから気になることを質問した。
「どっかの森みたいだが、ここは何処なんだ?」
当たり前の質問である。辺りは見覚えのない森の中にある祠のような建物。記憶の中を辿っても祠なんて一度も見たことがない。では此処は何処なのか。
少女にとってはおかしな質問であろう。アホなのかと思われるかもしれない。だが少女の答えは
「あー、それもそうね、知らないのも無理ないわね。此処は貴女からすれば異世界といえる世界といえばいいかしら。私が貴女を召喚したの」
と予想を裏切ったものだった。
蓮花はその答えに喜びを一瞬覚えたが少女の言葉を真っ向からは信じなかった。
「異世界?本当なのか?」
確かに蓮花は異世界に憧れているが口からのでまかせもある以上真には受け止めない。何か証明してくれればと思っていると少女が口を開いた。
「貴女、何処から来たの?星の名前でいいわ」
何故そんなことを聞くのかと思ったが返答したところで損になるかは分からなかったので「地球」と正直に答える。
「地球・・・・・・はぁ、外れを引いたわね・・・・・・」
蓮花が答えると少女はそう言って残念そうにため息をついた。蓮花はその態度に少々ムカついてしまった。
「おい、外れってどういうことだよ!」
まるで人間としてはダメな方と言われた様だったので怒りがこみ上げる。
少女の失礼な態度にローブを掴み引き寄せ顔を近づける。
だが少女は怯えもせずこちらを睨み返してくる。すると少女は一言
「鎖の束縛」
と発した。
その言葉に反応したかのように地面から鎖が飛び出し、俺の身体を縛り付けてきた。
突然のことに慌ててしまい必死に解こうと無造作に力を入れるが逆に強力な力で縛り付けられてしまう。以前よりも大きくなった胸が圧迫され息遣いが苦しくなる。
「どう?それは魔法よ」
蓮花が鎖を解こうとしているなか少女は笑みを浮かべて話しかけてきた。
「確か地球には魔法が無いんでしょ?魔法は想像の中では存在するけれども実際には存在しない星なんて不憫よね」
蓮花は少女の言葉に外れと言われた理由が何となく分かった気がした。
だがどんな理由があろうとも外れというラベルを貼られたのは許せない。
渾身の力を外側に解放する。するといきなり鎖の力が緩んだ。対して力を加える対象が無くなったためにに蓮花はその場で横転する。蓮花が起き上がろうとすると少女が腹の上に乗ってきた。
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