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5・気持ちいいの?
しおりを挟むあたしも、そうとう舞い上がっていたんだと思う。
村であばずれと名高いマチルダが、聞いてもいないのに、何度も町の男と遊んだ話を自慢していた。そんな話聞かせないでよと思っていたけど、まさか役に立つ日がくるなんて。
自分でも気が付かないうちに、あたしはマチルダに聞いたとおりをなぞっていた。
『指先でね、さわさわって撫でるのよ』
さわさわ……の加減がよく分からないけれど、試しに両肩に手を置いて、すっと撫で下ろしてみる。すると指の下でジュリオ様がひくりと震えた。
「はあっ!」
男の人のこんな声、初めて聞いた。二の腕や鎖骨の上も同じようにすると、ジュリオ様はその度に小さく声をあげて震える。さすがマチルダ、これで合ってるのかもしれない。ええと、それから何て言ってたっけ?
『そこらじゅうに口づけするの。舐めるのもいいわよ』
おおう、これはちょっと恥ずかしいけど……。でも、躊躇ってる場合ではないんだ。なんとしてもジュリオ様に、その気になってもらわなくっちゃ。でも、そこらじゅうって……?
「ジュリオ様、こっち向いて」
ジュリオ様の頬は真っ赤だった。潤んだ瞳が不安そうにあたしを見上げている。あたしもさっきからどきどきしてるけど、そんなジュリオ様を見ちゃったら、本当に息が止まりそう。
―――ええい、しょうがないの! こうしないと帰れないんだから、やるしかないの!
ぎゅっと目を閉じて、ジュリオ様の頬に口づける。それから思い切って、首から肩へと、ちゅっ、ちゅっ……って口づけながら下りていった。
「んあっ!」
「ふぅんっ」
「やっ、あっ!」
その度にびくん、びくんと身体を震わせて、ジュリオ様が女の子みたいな声をあげる。こんなジュリオ様を見るのはもちろん初めてだ。そのせいかよく分からないけど、あたしも何だか、頬が熱くなってきてしまった。
『それからね……』
頭の中に、マチルダの声が響く。
『男もね、おっぱい触ると気持ちいいのよ』
ああもう、あたし限界です。男も……って、そもそもおっぱいって、気持ちいいものなの? 自分のことだって分からないのに、どうしたらいいの?
本当はもう逃げ出したい。だけどこのままじゃ帰れないし、今さら後には引けない……。
ええい、どうにでもなれ。そんな気持ちで顔を上げると、あたしは思い切ってジュリオ様の胸に手を這わせた。
「ふあっ!」
またしても、ジュリオ様の高い声が響く。あたしはもう半ばヤケになって、胸のあたりをひたすら撫で回していた。
「あっ」
指先が乳首を掠めたとき、ジュリオ様の声が裏返った。
―――そうか、きっとこれが。
恥ずかしさの度が過ぎて、おかしくなっていたんだと思う。あたしはひたすら、ジュリオ様の小さな乳首に集中した。指先で撫で、くりくりと転がすうちに、そこはますます小さくしこって固くなってゆく。
「はぁんっ」
「嘘っ」
「や、こんな……!」
思い切って、指先できゅっとつまんでみる。ジュリオ様は声を上ずらせて、何かを耐えるように頭を左右に振っている。手応えらしきものを感じたあたしは、勇気を出して、思い切ってそこに口付けた。
「ああ、ダリア……」
唇に、ジュリオ様の震えと、激しい鼓動が伝わってきた。その時マチルダの『舐めるのもいいわよ』って言葉が頭をよぎり、ついぺろりとそこを舐めてみた。
「あ―――っ!?」
ジュリオ様は細い顎を仰け反らせ、小さく叫ぶような声を上げた。
これがマチルダの言う、「気持ちいい」なんだろうか。
反対側も同じようにしてみると、ジュリオ様はまた仰け反って、ぎゅっとローブの裾を握りしめている。
「……ジュリオ様、気持ちいいの?」
思い切って聞いてみると、ジュリオ様は弾む息で答えた。
「き、気持ちいいか……は、分からない。だけど……今まで味わったことがないくらい、とにかく強烈なんだよ、ダリア。君が触れたところから、まるで魔法が走るみたいなんだよ」
それって、いいのか悪いのかわからない。
「やめた方が……いいの?」
するとジュリオ様は、カッと頬を赤らめた。
「……分からない。今すぐやめてほしいような、でもやめると……今も、どうにも物足りないような……」
俯いて、髪に顔を隠すようにして続ける。
「本当に、こんなの初めてなんだ。体中が痺れるみたいで、それに、言いにくいけど、その、下腹が、なんか変で……」
「……下腹」
下腹、……シタハラ。それってもしかして……、そういうことだよね?
ってことは、さすがマチルダ! どうやら間違っていないらしい。
わずかな希望が湧いてきて、それまでのあたしのためらいを押し流した。見よう見まねどころか、聞きかじっただけのあたしの拙い技でも、どうやらジュリオ様は反応してくれている。それなら頑張れば、無事にここを出られるかもしれない。
「ジュリオ様、頑張りましょう!」
「は? ええっ?」
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