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12・何も考えるな 後

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「や、ジェラー……っ、もう……、ああっ!」
「もう何だよ、ちゃんと言ってみろ」
「やだ、お願い! もう、無理ぃ……」
「だから、それじゃ分からないだろ?」
 あれからあたしは指と舌で責め立てられ、何度も何度も絶頂の寸前まで押し上げられていた。なのにジェラールは、ギリギリまでいくとぴたっと止めてしまう。
 1度イった身体は容易く火がついてしまうのに、イきそうになる度に寸止めされて、もうおかしくなりそうだった。

 分かっている。ジェラールはあたしに、自分からおねだりをさせたいのだ。でもあたしは、なかなかその言葉を口から出すことができない。
「ジェラール……ん、ジェラール!」
しがみついて必死に名を呼ぶけれど、ジェラールはそれでは許してくれなかった。

「あ……あっ、ジェラール……! また、もう」
「また、どうしたんだ?」
ジェラールにまた動きを止められて、あたしは泣きそうになった。もうこれ以上焦らされたら、どうなってしまうか分からない。
「いや、ジェラールお願い! もうだめぇ……!」
 しがみついたあたしを、ジェラールは片腕で抱いた。
「なら、言えよ。―――どうしてほしいんだ?」
ごく浅いところを指先でゆっくりとかき回され、くちゃ、と音をたてる。それだけであたしの中はうねるように感じてしまい、腰が震える。


 ―――降参だ。
ちっぽけな意地も羞恥心も、もうどうでもいい。このままにされるのはたまらない。
「イかせて……! ジェラール、お願い、イきた―――」
言い終わらないうちにジェラールに深く口づけられ、指が最奥へ滑り込む。
「――――――!!」
 さっきより深い2度目の絶頂はジェラールの唇に吸い取られ、声にならなかった。


 乱れた息が整わないまま呆けたように天井を見ていると、イったばかりのそこに押し当てられる熱い塊を感じた。
「挿いれていいか、とは聞かないぞ」
ジェラールがあたしを見下ろしてにやりと笑む。
「おまえに何か言うと、すぐ余計なこと考えるからな」
「もう、馬鹿っ……んぁ……!」
返事を待たず挿入はいってきたそれは、漠然と思っていたより、はるかに存在感のある……モノだった。

「は、あぁ……っ!」
ものすごい圧迫感だ。
「んっ……痛っ、ジェラールっ……!」痛みもあるけれど、ただ痛いというのとは少し違う。とにかく無理矢理押し開かれ、ぎちぎちと音がしそうなほどいっぱいに広がる、異物感。
「いやぁ……。無理、大き……っ!」
「くそ、煽るな。―――もう少しだ、シャル」
ひどくかすれた声でジェラールが言い、あたしにのしかかってキスをして……一気に昂りを押し入れた。
「んん、っう……っ!」

「っく、キツいな……」
あたしはこっちの世界では長身のほうらしいけど、それでもジェラールとはそうとう体格差がある。その大きな筋肉質の身体にのしかかって身体を押し開かれると、もちろん下半身はきついし、だいいち重くて苦しい。
「シャル、大丈夫か」
 ジェラールが起こした身体を腕で支え、少し楽になった。それでも、辛くない訳じゃない。初めてだけど、日本にいたから分かる。これ、ぜったい普通サイズじゃない!
「大丈夫じゃ、ない……! も、やだ……、はやく……イっちゃって……っ!!」

 ジェラールの肩が震え、口元がひくついた。
「ひでぇな……。ヤワな男なら、萎えるぞ」
それでもあたしの脚を抱え、ゆっくりと腰を動かしだす。
「自分で言ったんだからな。知らないぞ」
「んん……!」
 あたしは眉を寄せ、顔を歪めた。ジェラールのモノが、さっき無理矢理広げた狭いところを抉るように引き抜かれ……、それから内部を探るように角度を変え、浅く、深く突き入れる。その動きは決してゆっくりではないけれど、言葉とは反対にあたしを気遣ってくれているのは表情で分かった。


「ん、あっ……」
深く穿たれるごとに目を閉じて耐えているうちに、少しは馴染んできたのか。最初ほどには辛くなくなってきて、あたしから力が抜けた。すると僅かながらも身体が快感を拾いはじめ、ジェラールの抽送に合わせて、水気のある音が混じってきた。

「少しは良くなってきたみたいだな」
「ん、最初より、は……?」
するとジェラールの口角がキュッと上がった。
「なら、いいな。少し頑張れるか」
「えっ!?」


「……ジェラールのバカ」
ジェラールの「頑張れるか」は、並の頑張りではきかなかった。
 あの後のことはよく覚えていない。たぶん、何度もイかされたと思うし、ちょっと喉も痛い。とにかく嵐の海の小舟のように翻弄され、ジェラールが果てたときにはもう動けなくなっていた。

 後始末をしてくれたジェラールは、笑ってあたしを抱きしめ、横に転がった。
「何で馬鹿なんだよ」
そしてまたあたしにキスをする。深くなりそうなキスから逃げたくて、あたしはジェラールの胸に顔を埋めた。
「だって、初めてだったのに、……あんな」

「あんなにいやらしくイきまくった、ってことか?」
「もうっ」
恥ずかしくて、ジェラールの胸を拳で叩く。細く見える割にプロスポーツ選手のように割れた腹筋には、何の効果もないみたいだけど。
「すごく可愛かったぞ、シャル」
 ―――やだ、そんな恥ずかしいこと言わないで! 
 そこで遅ればせながら気がついた。

「え、シャル……って」
いつの間にそう呼ばれてた? するとジェラールの切れ長の目が見開かれる。
「おい、今頃気が付いたのかよ。さっきからずっと……、おまえって本当に……」
「だって、ずっと緊張してそれどころじゃ……! もう、笑わないで」
 ジェラールはそれ以上笑わなかった。あたしに再びのしかかっていたから。

「もうやだ、ジェラールのバカぁ……!」
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