転生魔王は逃げ出したい〜元カレが勇者になってやってきた〜

砂月美乃

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18・魔王の褥(しとね) 下 ★

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 その笑みを見たところまでしか、私は覚えていない。

 次に気づいた時には、ベッドの上で、謙斗の腕に抱かれていた。謙斗は私を胸元に抱き寄せ、目を閉じていた。眠っているのか、厚い胸が規則正しく上下している。
 ちらりと「今なら逃げられるかも」と思ったけれど、すぐに無理だと悟った。身体中が痛かったし、私の肩を抱いている腕はがっしりと太く、私は首を廻すのがせいいっぱいだったから。

 ベッドは目を覆いたくなるほどの惨状だった。エリーにどうにかして欲しかったけれど、指一本動かすことも出来なければ、すっかり枯れてしまって声すら出ない。まるで謙斗にすべて吸い取られてしまったみたいに、私はボロボロだった。


「う……」
「気がついたか」

 私の身動みじろぎに、謙斗が目を覚ました。

「ほら、飲め」

 言うが早いか唇が押し付けられ、冷たい水が流れ込んできた。欲しがっていた身体が夢中になって飲み込んでいく。途中で口移しだと気がついたけれど、途中で止めることは出来なかった。

「もう、いい……」

 ようやく声が出るようになったけれど、身体中が重く、やはり動けない。おかしい、魔王になってこのかた、こんなことはなかったはずなのに……。


「よし、風呂だな」

 言うが早いか、謙斗は私を抱き上げて歩きだした。
 魔王専用の浴室は広い。謙斗にぐったり抱かれたままの私は、おもむろに浴槽へ沈められた。

「はぁ……」

 温かさが強ばった身体に染み渡り、思わず吐息を洩らしてしまう。よく考えたら謙斗に抱きかかえられているし、身体の調子はちっとも戻っていないのだけれど。
 それで気がついた。私、どうして回復して来ないの?


 実は、私の本質は淫魔サキュバス。本来は、相手の精力を吸い取って糧にするもの。
 もっとも魔王の私くらいになると、わざわざそんなことをしなくても平気。魔王城の皆が発する気を吸い取って、普段なら何もしなくても元気いっぱいでいられる。どんなに疲れても、少し休んで回復しないなんてことは今までなかった。それなのに、なぜだろう?
 ていうか思い出すのも悔しいけど、謙斗の出したもので、私の下半身ドロドロになってたよね? それでも回復してないって、何で?

 ―――そういえば謙斗には、最初の時以外、魔法も攻撃も効かなかった。もしかして、謙斗の傍にいると……私の能力は使えなくなってしまうとか? そんなこと、あるのかしら?


 謙斗が私の胸をまた揉み始めたけれど、だるすぎてそれを制することさえ出来ない。声は出るようになっていたので、ぶっきらぼうに言った。

「ねえ、もう触らないで。―――それより、いろいろ説明して欲しいんだけど?」

 すると謙斗は目元を笑わせて、私を向かい合って謙斗の膝に跨るような形に抱えなおした。お腹の間に挟まるモノの感触に、私はぎょっとする。

「ちょっと、あれだけしたのに何で……!? 嫌、無理よ私……!」
「心配するな、俺が勝手にするから」
「そうじゃな……やだっ、ああぁっ!?」


 もちろん謙斗は私の言葉に耳など貸さない。腰を持ち上げて堅いものの上に下ろされ、私は身体を強張らせる。そのまますんなりれられてしまったけれど、今の体力でこれ以上されたら、さすがの私でも死んでしまう気がする。

「や……、むりっ、ん……」

 蚊の鳴くような声で訴えたけど、抜いてくれようとはしない。それでもさっきのようにガンガン突くことはなく、ほんのわずかに私を揺らすだけ。

「あ……ぁ……」

 それなのに、そこからじわじわと疼くような快感が広がってゆく。お湯の中だけれど、身体の奥からじゅんと溢れてくるのを感じて、私はかっと頬が熱くなった。

「ん? 溢れたのか? ……さすが淫魔サキュバス、エロいな」
「えっ……」


 蕩けかかっていた身体が、瞬時に凍り付いた。何で、謙斗が私の本質を知ってるの?

「そんな驚かなくていいって。さっき言っただろう、俺はこの世界の創造主マスターだって」
「本当に、そうなの……? この世界は……」

 さすがに信じないわけにはいかず、まじまじと謙斗を見つめて問いかけた私に、謙斗は何でもない顔で頷いた。

「ああ、すべて俺が設定したのさ。おまえの性質も外見も、あの将軍たちも、魔王城も……もう20年も前にな」
「嘘、なんでそんな……? どうやって、私を……?」
「それは俺にも分からねえ。ああ、詳しい話は後だ。―――いくぞ」

 謙斗は眉をひそめて私を抱え、いきなり激しく上下に揺さぶりだした。

「え、や、待って! わた、し、無理っ……やめ……!」

 ―――無理、もう本当に限界を超えてるんだってば。

 腕に力が入らないので、謙斗に掴まって自分を支えることも出来ない。激しく突き上げられ、お湯が跳ねる音を聞きながら、私は声も出ないまま達した。謙斗が低く呻いて私の中で震える。胎内を熱いもので満たされ、私はまた意識を失った。



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