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17・魔王の褥(しとね) 中 ★
しおりを挟む「ああもう、もうだめぇ! お願い、お願いだから……!」
懇願しながら、私は屈辱に顔を歪めた。謙斗はそんな私をからかうように見て笑う。
「何がお願いなんだよ、言ってみろ」
「もう、我慢できないの……っ。お願い……」
「だから、どうして欲しいんだ? もっと、このまま続けるか?」
「嫌、分かってるくせに……! もうだめ、挿れてぇ……っ!」
ああ、私がこんなことを言わされるなんて、悔しくて涙が出てきた。それでも、もうこれ以上、たとえ一分でも引き延ばされたら……本当におかしくなってしまう。この状態から逃れるためなら、どんな恥ずかしい行為でもする、そんなただの女になってしまう。それが怖いから、嫌だったのに。
「挿れてください、だろ。魔王様」
「魔王様」だなんて、絶対にわざとだ。かっと頬に血が昇り、快楽に流されたプライドを思い出そうとした。―――けれど、もう無理だった。
「うぅ、お願い……。挿れて、くだ……さい」
言い終える前にきつく閉じた目から、また涙が一粒零れた。悔しい。よりによってこの男に、こんなことを口にしてまで、欲しがってしまう自分が。
「泣いたりして可愛いとこあるんだな、魔王様」
謙斗の笑い含みの声も、今の私には官能を煽る媚薬になってしまう。目を閉じて待っていることさえ出来ずに、涙の滲む目でさらに訴えてしまう私、もう最低だ……。
謙斗の目がスッと細められた。
「いくぞ、沙織」
―――その名はだめ。
そう思った瞬間、謙斗が一気に挿入ってきた。
「あ、あ――――――!」
もう何も考えられなかった。
固く猛り立ったものに一気に最奥を穿たれ、身体中が歓びに震えた。これまでさんざん弄りつくされ、何度も何度もイかされた。そのせいでもともと人間の何倍も感覚が鋭い私は、ひと突き毎に痙攣してしまうのを、もう抑えられない。
「ああっ、あんっ」
「―――さすが、すごい締めつけだ」
「や、言わ、ないで……っん!」
ずん、ずんっ、と奥まで響くたびに、身体中が痺れる。それはもはや甘いなんて生易しいものではなくて、意識ごとどこかへ行ってしまいそうで怖いくらいだ。
「あっ……は……、いや、もういや……!」
「おまえが挿れてくれって言ったんだろ?」
謙斗の声は相変わらず余裕たっぷりで、絶望的な気持ちになる。
「―――だって、こんなっ……! 激し、すぎいぃ……っ!」
飛びそうな意識の底で、何かおかしいと囁く声がする。魔王の私がこんなふうになってしまうなんて……ああ、それに謙斗は人間のはずだ。ただの人間が、こんな……。
「何を考えてる?」
「っひああぁ!?」
急に腰を引き寄せて感じるところを抉られ、まとまりかけた思考は霧散してしまった。謙斗は私の脚を肩にかけてさらに引きつけ、同じところを狙うように腰を打ち付ける。そこを擦られる度に、私の腰が浮き上がってはうねり、あられもない声が上がる。
「あああ、いや、やめっ……!」
「考え事する余裕があったんだろ? 悪かったな、魔王様には物足りなかったか」
「やだっ、違っ……!」
最初から分かっているのだから、謙斗にはやめる気などさらさらない。たちまち下腹がきゅうっと締まり、背中を疼きが駆け上がってきた。足先が痺れるように震えて、もっとも大きな波が襲い来るのを感じる。
「あ、あ、だめ……っ、来ちゃ、う……!」
感覚が暴走し始め、自分で自分が分からなくなりそうで……ただもう、これ以上感じてしまうのが怖い。
「も、無理っ……! おかしく、なるっ、から! やめて、やめ……!」
昔、初めて「イく」ということを知ったときも……未知の感覚に怯えた。今度は似ているけれど完全に違う。未知ではない。イくという感覚を、私はもう知っている。知っているからこそ、常軌を逸したこの激しさが怖いのだ。
「ああ、だめぇ……っ! こわ、れ……!」」
―――身体じゃない。精神が壊れてしまう。
謙斗は何も言わず、口元を曲げて笑った。
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