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02.白虎と千里
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『正面に立ち、カードを提示してください』
――ピッピー
『情報が一致しました。白虎様、どうぞお入りください』
「…おぉ」
流石WG本部。
セキュリティ万全だ。
このシステムは顔を判別して個人まで特定するらしい。
そう思いながら瑞稀は、顔認識の為に脱いだフードを再び深く被り直し、カードをポケットに入れて扉に向かって歩いた。
瑞稀が近付くと、自動的に扉が開く。
ノスタルジアは手動のドアだったし、カードもセキュリティもなかった。
今度絢音さんに提案してみよう。
瑞稀はいつもと違う環境に対して、興奮を顔に出さずにはいられなかった。
「どうした? そんなキョロキョロして」
「うわっ! …びっくりした…」
瑞稀が色々見渡していると、後ろから肩を叩かれた。
驚いて少し体を震わせる。
振り向いてみると、肩を叩いた相手は瑞稀より少し高いくらいの背丈で、年齢も近いように感じられた。
瑞稀と同様フードを被っているので顔は分からないが、口は笑っている。
「悪い、驚かせちまったな。――てかそれ、ギルドのコートだよな? WGに用事?」
男は再び瑞稀に聞く。
「えーと…多分、新入り…?」
「何でそこ疑問形なんだよっ!」
瑞稀が不安げに答えると、何故か彼はツボに入ったらしく、大笑いし始めた。
「…そんなに笑わなくてもいいだろ」
余りにも馬鹿笑いするから、瑞稀は口を尖らせて呟く。
確かに、不安だったとは言え「多分」と言ってしまったのは、少々可笑しな言い回しだったが。
そんな瑞稀の態度を知ってか知らずか、また彼は口を開いた。
「ふ、ごめんごめん! 面白いなお前、気に入ったよ」
彼は少し肩で息をして、呼吸を整える。
「気に入った?」
「そう、気に入った。こんな半端な時期に入隊も珍しいし、何かあったら俺を頼れよ!」
そう言って親指を突き立てた男は、首を傾げる瑞稀に握手を求める。
反射的にその手を取った瑞稀は、早速親切な人と知り合えた、と安堵の笑みを零した。
――ピッピー
『情報が一致しました。白虎様、どうぞお入りください』
「…おぉ」
流石WG本部。
セキュリティ万全だ。
このシステムは顔を判別して個人まで特定するらしい。
そう思いながら瑞稀は、顔認識の為に脱いだフードを再び深く被り直し、カードをポケットに入れて扉に向かって歩いた。
瑞稀が近付くと、自動的に扉が開く。
ノスタルジアは手動のドアだったし、カードもセキュリティもなかった。
今度絢音さんに提案してみよう。
瑞稀はいつもと違う環境に対して、興奮を顔に出さずにはいられなかった。
「どうした? そんなキョロキョロして」
「うわっ! …びっくりした…」
瑞稀が色々見渡していると、後ろから肩を叩かれた。
驚いて少し体を震わせる。
振り向いてみると、肩を叩いた相手は瑞稀より少し高いくらいの背丈で、年齢も近いように感じられた。
瑞稀と同様フードを被っているので顔は分からないが、口は笑っている。
「悪い、驚かせちまったな。――てかそれ、ギルドのコートだよな? WGに用事?」
男は再び瑞稀に聞く。
「えーと…多分、新入り…?」
「何でそこ疑問形なんだよっ!」
瑞稀が不安げに答えると、何故か彼はツボに入ったらしく、大笑いし始めた。
「…そんなに笑わなくてもいいだろ」
余りにも馬鹿笑いするから、瑞稀は口を尖らせて呟く。
確かに、不安だったとは言え「多分」と言ってしまったのは、少々可笑しな言い回しだったが。
そんな瑞稀の態度を知ってか知らずか、また彼は口を開いた。
「ふ、ごめんごめん! 面白いなお前、気に入ったよ」
彼は少し肩で息をして、呼吸を整える。
「気に入った?」
「そう、気に入った。こんな半端な時期に入隊も珍しいし、何かあったら俺を頼れよ!」
そう言って親指を突き立てた男は、首を傾げる瑞稀に握手を求める。
反射的にその手を取った瑞稀は、早速親切な人と知り合えた、と安堵の笑みを零した。
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