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02.白虎と千里
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瑞稀と千里は並んで広い廊下を歩いていた。
(どうして受付嬢の子は知ってて、千里は俺が来る事を知らないんだ?)
さっき抱いた違和感の原因を考える。
よく考えれば、千里が知らないという事実が至極不自然である。
「…おーい、俺の話聞いてる?」
「あっごめん、考え事してた」
千里の顔が視界に映るように移動してきてやっと、話し掛けられている事に気付く。
「いや、いいんだけどさ。どこのギルド出身か聞いてんの」
若干いじけて聞いて来る千里。
瑞稀が知らない内に、話題は切り替わっていた。
「えっと“ノスタルジア”って知ってるか? 地方の小さいギルドなんだけど…」
瑞稀はそう言って、コートの左胸辺りを指差した。
そこには月の紋章がついている。
何代か前の女性のギルドマスターがこの紋章を作ったらしいが、綺麗な三日月にクロスが交わっていて、瑞稀も気に入っていた。
「ノスタルジア…って、もしかしてお前、そこでトップだった?」
「あ、うん。一応」
瑞稀がキョトンとして答えると、千里は顔に手を当てて溜め息をついた。
「はぁ…俺、お前と会った事あるわ」
まるで嫌な記憶だと言わんばかりに、千里は顔を歪めた。
「…え? いつ?」
瑞稀は身に覚えがないようで、首を傾げて千里の言葉を待つ。
「いや…WGの団員を増やす為に、全国のギルドのトップに監査員を付けたんだ。俺は少しずつだけど、全員見たよ」
千里は頭を掻きながら、小さい声で細々と呟くように言った。
その時の事を思い出しているようで、空を目を細めて見詰めた。
「“ノスタルジア”のトップは、監査員にも俺にも気付いたんだ。団員になるだろうとは思ったけど――まさかお前だったとはな」
「あぁ! えっと…ごめん」
「いや、いいよ。つか謝んな」
瑞稀もそれで思い出したようで謝り、千里は苦笑いで返す。
謝った、とは言っても、瑞稀は忘れていた事に対して謝った訳ではない。
時を遡ること、約1ヶ月――
(どうして受付嬢の子は知ってて、千里は俺が来る事を知らないんだ?)
さっき抱いた違和感の原因を考える。
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「…おーい、俺の話聞いてる?」
「あっごめん、考え事してた」
千里の顔が視界に映るように移動してきてやっと、話し掛けられている事に気付く。
「いや、いいんだけどさ。どこのギルド出身か聞いてんの」
若干いじけて聞いて来る千里。
瑞稀が知らない内に、話題は切り替わっていた。
「えっと“ノスタルジア”って知ってるか? 地方の小さいギルドなんだけど…」
瑞稀はそう言って、コートの左胸辺りを指差した。
そこには月の紋章がついている。
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「ノスタルジア…って、もしかしてお前、そこでトップだった?」
「あ、うん。一応」
瑞稀がキョトンとして答えると、千里は顔に手を当てて溜め息をついた。
「はぁ…俺、お前と会った事あるわ」
まるで嫌な記憶だと言わんばかりに、千里は顔を歪めた。
「…え? いつ?」
瑞稀は身に覚えがないようで、首を傾げて千里の言葉を待つ。
「いや…WGの団員を増やす為に、全国のギルドのトップに監査員を付けたんだ。俺は少しずつだけど、全員見たよ」
千里は頭を掻きながら、小さい声で細々と呟くように言った。
その時の事を思い出しているようで、空を目を細めて見詰めた。
「“ノスタルジア”のトップは、監査員にも俺にも気付いたんだ。団員になるだろうとは思ったけど――まさかお前だったとはな」
「あぁ! えっと…ごめん」
「いや、いいよ。つか謝んな」
瑞稀もそれで思い出したようで謝り、千里は苦笑いで返す。
謝った、とは言っても、瑞稀は忘れていた事に対して謝った訳ではない。
時を遡ること、約1ヶ月――
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