* 闇の白虎

慈雨

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05.待つ者、追う者

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絢音さんーー佐倉絢音あやね

ギルド “ノスタルジア” を若くして継ぎ、ギルドマスターを務めている。
平均より小さな規模ではあるが、無名ながら勢いのあるギルドで、かつて瑞稀もそこに所属していた。

絢音の、どこか気の抜けたような喋り方を思い出す。

「いやー、君が想像するよりも遥かに、姉貴は君のこと考えてるよ」

直隆さんの過剰なほどストレートな表現は、絢音さんとは真反対だ。どちらかというと、絢音さんは言葉足らずで何も伝えようとしない。

だが、正直過ぎるという二人の本質は凄く似ていて、だから瑞稀は思わず目を逸らしてしまうのだ。


「暇が出来たら、絢音さんとこにも行こうかな」

「ああ、そうしてやってくれ。反応はどうであれ喜ぶから」

全然喜んでるようには見えないだろうけど、と瑞稀は直隆の言葉の後ろに脳内で付け加える。


「…それで? まさか挨拶に来ただけではないんだろ?」

「あ、うん。直隆さん、廃墟マニアだったよね?」

ポケットから四つ折りにした紙を取り出して、机に広げると、直隆は前屈みにして顎に手を当てた。


「これ、手描きなんだけど…何処か分かるかな?」

「瑞稀が描いたのか?」

「そうだけど…」

直隆は不思議そうに絵を眺めた。
規則的に並べられた石畳の広間に、古びた時計塔。建物は石造りで損壊も著しい。2枚、3枚と同じ石造りの建造物や街並みがそれぞれ描かれている。


「これだけでは何とも…だが、街並みや建物の作りは西の方にある国のものと似ているな。…この時計の枠組みの装飾は…」

「もし可能なら、調べて欲しいんだけど」

瑞稀はコーヒーを啜る。


「結構これが手強くて。俺も手当たり次第、資料や本を漁ってみたんだけど、手応えなし」

「実在する場所なのか?」

「うーん、多分…」

自信なさげな瑞稀の返事を聞いて、直隆は呆れたようにため息を吐いた。


「時間はかかるかも知れないが、やるだけやってみよう。だが、高くつくぞ?」

「…か、覚悟はしてます」

直隆の情報収集の力や、しぶとさは承知しているため、その実力を信用していた。
それゆえに今までも、絞り取るだけ取られたこともあったなあ…と瑞稀は遠い目をしたのだった。


「なんなら身体で払っても「きっちり準備しますので」

怪しげに笑う直隆に一刀両断。
…だから、瑞稀 はこの人物に会うのに、少し気合いがいるのだ。 
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