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07.夜の帳が下りる町 2
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千里は一度深く息を吐き、右腕を前に出して指を鳴らした。
目の前に現れた剣を掴み、両手で斜めに構えた。
それでもなお動かない狐の呼吸を感じる。
「風を纏え」
そう唱えると、剣身を風の魔力で包み込んだ。これなら、近付かずとも相手に攻撃が出来る。
千里は思い切り、一歩踏み出して剣を振り下ろした。その勢いで、魔力だけが鋭い鎌のように形を成し、正確に狐の方向へと向かっていく。
だが、やはり距離には敵わず、狐はひょいと横へジャンプするだけで躱してしまった。
そこへ、接近していた千里が直接剣を振る。
避けられる事は分かっていたのだ。
続け様の斬撃で、狐は咄嗟に避けたが、片目の上を切っ先が掠った。
「…!」
一瞬、千里が狐を確認すると、開いている片目と目が合った。
(…あ、マズい)
思ったのも束の間、千里は後方に飛ばされ、背後にあった大きな岩に、背中を打ち付けられる。
鈍い痛みが伝わり、顔を顰めると同時に身体は自由になった。
(…拓真は行ったな)
背後になくなった気配を察知して、取りあえずはホッとする。
だが、やはり狐のあの目は厄介だ。
目で確認しなければ、攻撃は単調になり当たらない。だが、狐と目が合えば、その目に引き込まれてしまうのだ。
(それにしても、あの狐…)
先程から気になっている事があった。
こちらが攻撃しなければ、相手も動こうとしない。
ただの時間稼ぎのためなのか、それとも攻撃出来ない理由があるのか…。
(攻撃しない?…出来ない?)
視界の隅に狐を入れる。
何か試さなきゃ、状況は変わらない。千里は決心した。
つかつかと狐の反対方向へ進み、先程打ち付けられた大きな岩の前まで歩いた。
やはり狐が動く気配はしない。
岩に両手を着けて、勢いよくーー頭突きをした。
鈍くて耳を塞ぎたくなる音が響いた。
狐が動揺しているように見えるのは、恐らく勘違いではないだろう。
そして、また狐と向き合う形になって、千里は顔を上げた。月明かりに照らされて、額から一筋の血を流し、ニヤリと笑っていた。
「…痛みに勝る感覚なんてないだろ」
はっきり言って、かなり不気味である。
だが、効果はあったようだ。千里はズキズキした痛みを感じながら、狐の目をはっきりと睨んだ。
目の前に現れた剣を掴み、両手で斜めに構えた。
それでもなお動かない狐の呼吸を感じる。
「風を纏え」
そう唱えると、剣身を風の魔力で包み込んだ。これなら、近付かずとも相手に攻撃が出来る。
千里は思い切り、一歩踏み出して剣を振り下ろした。その勢いで、魔力だけが鋭い鎌のように形を成し、正確に狐の方向へと向かっていく。
だが、やはり距離には敵わず、狐はひょいと横へジャンプするだけで躱してしまった。
そこへ、接近していた千里が直接剣を振る。
避けられる事は分かっていたのだ。
続け様の斬撃で、狐は咄嗟に避けたが、片目の上を切っ先が掠った。
「…!」
一瞬、千里が狐を確認すると、開いている片目と目が合った。
(…あ、マズい)
思ったのも束の間、千里は後方に飛ばされ、背後にあった大きな岩に、背中を打ち付けられる。
鈍い痛みが伝わり、顔を顰めると同時に身体は自由になった。
(…拓真は行ったな)
背後になくなった気配を察知して、取りあえずはホッとする。
だが、やはり狐のあの目は厄介だ。
目で確認しなければ、攻撃は単調になり当たらない。だが、狐と目が合えば、その目に引き込まれてしまうのだ。
(それにしても、あの狐…)
先程から気になっている事があった。
こちらが攻撃しなければ、相手も動こうとしない。
ただの時間稼ぎのためなのか、それとも攻撃出来ない理由があるのか…。
(攻撃しない?…出来ない?)
視界の隅に狐を入れる。
何か試さなきゃ、状況は変わらない。千里は決心した。
つかつかと狐の反対方向へ進み、先程打ち付けられた大きな岩の前まで歩いた。
やはり狐が動く気配はしない。
岩に両手を着けて、勢いよくーー頭突きをした。
鈍くて耳を塞ぎたくなる音が響いた。
狐が動揺しているように見えるのは、恐らく勘違いではないだろう。
そして、また狐と向き合う形になって、千里は顔を上げた。月明かりに照らされて、額から一筋の血を流し、ニヤリと笑っていた。
「…痛みに勝る感覚なんてないだろ」
はっきり言って、かなり不気味である。
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