* 闇の白虎

慈雨

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07.夜の帳が下りる町 2

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「さあ、どうしてやるかな」

千里がバキボキと指の関節を鳴らす。流血したままで、拭う事もせずに近付く姿は、少し不気味である。

一歩一歩進みながら、両手を丸く包むような動作をとると、両手の中に風の塊が出来た。
バレーボール大ほどの大きさで、圧縮された風が渦巻いている。


それを、狐に向かって投げた。
狐も、それを躱そうと姿勢を低くして構える。左方に避けると同時に、千里はパチンと指を鳴らした。

乾いた音が響き、圧縮された風の塊は、四方に弾け飛んでいく。
沢山の手裏剣のような、ブーメランのような無数の刃物と化した風は、そのいくつかが狐に当たった。


さらに、追い打ちをかけるため千里は狐に接近する。



『…ま、待って待って!』

剣を振りかぶった時、千里の脳に悲痛な声が響いた。
目の前には、怯えた狐。声の主はそいつに間違いなかった。


「なんだ、狐」

狐は千里の膝ほどの大きさである。足元で怯える姿を見て、些かとどめを刺しづらくなったのもあるが、千里は話を聞いてみようと思ってしまった。


千里が動きを止めると、狐は軽く息を吐いたようだった。

だが千里は体制を崩さない。狐の首に剣先を当てがい、いつでも攻撃出来るよう構える。


『わ、悪気はなかったの!
あのヒカリって奴に、無理矢理魔力を与えられて、指示に従ってただけなの!』

必死に訴える狐の様子を見ていると、嘘を言っているようには感じられない。


「与えられるってどういうことだ?」

『そんなの知らないの。
だってわっちはただの狐だもの』

確かに思い当たる節はあった。

大きいだけで持て余している魔力も、無理矢理与えられたものだと言われれば納得がいく。


千里は、構えていた剣を引き、鞘に収める。
同情する点もあるし、それにハーバルへ早く戻りたい気持ちもあった。


千里が背中を向けたその時、狐が隠れて怪しく笑った。

狐がジャンプして千里に飛びかかるーーが、


「ベタ過ぎんだよ、馬鹿狐!」

直ぐさま振り返った千里の握り拳に打たれ、かなり遠くの方まで飛ばされてしまった。


「魔力制御も出来ねえくせに、背後取れると思うんじゃねえよ」

気絶してしまった狐に捨て台詞を吐いて、そいつの首根っこを掴んだ。
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