* 闇の白虎

慈雨

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08.タチの悪い悪戯

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次の日もしとしとと雨が降り続いていた。

瑞稀は約束通り、澪梨と挨拶を交わすことなく、淡々と1日を過ごした。

澪梨は目も合わせようとしないし、やはりなくなった教科書やノートは今日も持っていないようだった。


(…昨日はあった参考書がない)

瑞稀は冷静に澪梨を観察していた。
ーー勿論、本人には気付かれないように。


(けど…なくなるだけ、なんて)

嫌がらせにしては、違和感がある。
それは昨日の慎也達の部屋でも話していた事だが、日に日に物がなくなっていくだけ・・というのは、どういう事だろうか。

目立つ事をしたくないからなのか、別の理由があるのか。


澪梨は移動教室の際は、鞄を含む全ての教科書やノートなどの持ち物を持参した。
自分が居ない時に盗まれてしまうのを防ぐためだ。

痛々しいほど、一人で乗り越えようとしているのが分かってしまう。


澪梨は鎖骨の下辺りを左手で押さえて、ずっと考え込む仕草を見せていた。




放課後になると、生徒が帰っていくなか、澪梨だけはじっと動かなかった。

今までだったら、無駄な事はせずにサッと身支度をして直ぐに帰ってしまっていたのに。


(尾行って、あんまり気持ちが良いものじゃないけど…)

帰り支度をして、慎也と彰と共に教室を出ていく。
そして、平行に並んでいる校舎へ向かった。


「澪梨、昨日も帰りが遅かったんだ」

道中、二人に説明する。
丁度自分達のクラスが見える所まで移動した。真向かいだから、動きがはっきり見える。


「…移動するぞ」

影から見ていると、教室に誰も居なくなった瞬間に澪梨は立ち上がって、教室の外へ出た。

三人もそれを追っていく。

近付き過ぎず、ギリギリ見える所で距離を測る。
やがて、澪梨は歩みを止めた。


「…ゴミ収集場、か」

家から持ってきたのか、軍手をはめて、一人黙々となくした物を探している。


「やっぱり、ほっとけないよ」


同情ではないかと聞かれたら、全く否定も出来ないかも知れないけれど、見て見ぬ振りもしたくない。


「手の届く範囲の人は、出来れば笑顔であってほしい」

寂しそうに、そう呟いた。
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