* 闇の白虎

慈雨

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08.タチの悪い悪戯

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赤い目のゴブリンを肩に乗せて、澪梨は歩いていた。
左隣には瑞稀。右には彰、慎也と続いて、横並びに広がっている。


「池永先生に、ゴブリンのケージの錠を強化してもらわないとな」

この4人は、職員室までグラナートを返しに行くところだ。
当の本人は、澪梨に貰ったネックレスを身に着けて、満足そうに澪梨の肩を占領している。


「ネックレス、大事なものじゃないのか?」

「…昔、友達に貰って、御守り代りに着けてたんだ」

慎也の問いに、素直に答えた。
なにか吹っ切れたような、そんな声だった。


「3人には全て話すよ。ーー僕、昔虐められてて」

ゆっくりと、雨のようにポツリポツリと言葉を落とす。他のみんなは黙ってそれを聞いていた。


「あれ以来、人と関わりを持つことが出来なくて。正直、今回の事も怖かった」

「せやから、遠ざけたんやな」

「うん、それで落ち着いてくれればって思って。
でも、結局思い違いだったんだけど」

澪梨はグラナートをチラッと見た。


「“アルビノ”だから?」

呟くような声量で、瑞稀が言った。


「…えっ?」

「澪梨、アルビノでしょ。
髪や目の色素も薄いし、いつも足を隠してるのも、色白で目立つから?」

澪梨の足元に注目する。
いつも、スカートの下に長いパンツを履いており、素肌を露見する事はない。


「…そうだよ。それで、みんなと違うのが気持ち悪いって」

「…同じ人間なんて居ないのにねえ」

少し震えて、澪梨は答えた。
だが今までのしがらみまで取っ払ってしまう瑞稀の言葉に、澪梨は呆気にとられるしかなかった。


「俺は綺麗やと思うでー、みおりん」

「…彰」

初めて名前を呼ばれた事で、彰は目をキラキラさせて、澪梨の方を向いた。


「ありがとう。…でもその呼び方、ウザい」

素直になったのか、そうでないのか。
グサッと刺さった凶器のような言葉には、瑞稀も慎也も同情はするにしろ、成す術はない。


パラパラと降っていた雨はやがて減力し、向こうの雲には切れ間が見える。

傘がなくても大丈夫なくらい、湿った空気の中に光が宿っていた。
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