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09.疑心と信頼
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一時間ほど歩いただろうか。
もう二人の間に、会話はなくなっていた。
ただひたすらに、前だけ見て一歩一歩を踏みしめて進む。
軽い山を登るために、瑞稀はバックパックから折りたたみ式のステッキを二人分取り出した。
飛び出た木の枝で擦りむいた慎也に、消毒液と絆創膏を差し出した。
汗を拭うために、白いフェイスタオルを。
水分補給には、塩分の入った飲料を手渡した。
瑞稀のバックパックからは、とにかく何でも出てきた。
魔術も使っていないならば、その荷物も相当な重量があるに違いない。
「荷物、代わろうか?」
「いや、気にしないで。俺はいつもと同じ事してるだけだし」
「…そうか」
一度慎也が荷物交代を提案したが、一片の迷いもなく断られてしまった。
それからはあれこれ考えず、ただ歩くことだけに集中して、瑞稀に続くことにしたのだ。
少しの休憩を幾度か挟みながら、二人は前へ進んだ。
また暫く歩いた所で、瑞稀が足を止めた。
木漏れ日の中をひた進んで、やっと森を抜けたようだった。
拓けた土地が見える。
汗や泥でぐちゃぐちゃになった身体が、少し軽くなった気がした。
「…着いたよ」
「ああ」
森を抜けると、見通しの良い丘に出た。
一際大きい木があり、そこに向かう。
「…墓 か」
「うん」
木の下には瑞稀の肩幅程の、横長の石が二つ並んでいる。
その隣にバックパックをそっと下ろして、瑞稀は墓石に対面して胡座をかいた。
瑞稀の表情は見えない。
だが、何時間もかけて、魔術まで封じてここに来るという事は、ここに眠る故人は瑞稀にとって余程 大事な人ということだ。
バックパックのサイドポケットから、包まれた花を優しく取り出して、片方の墓石の前に置く。
もう片方には、ブランデーの瓶を供える。
「二宮 正親、二宮 明日美。
俺の両親の墓だ。13年前に亡くなった」
ゆっくりと瑞稀は話した。
「慎也が一回でも弱音吐いたら、強制転移でセントラルに戻そうかと思ってたんだけど。
ここまで来るなんて、お人好しにも程があるだろ」
一時間ほど歩いただろうか。
もう二人の間に、会話はなくなっていた。
ただひたすらに、前だけ見て一歩一歩を踏みしめて進む。
軽い山を登るために、瑞稀はバックパックから折りたたみ式のステッキを二人分取り出した。
飛び出た木の枝で擦りむいた慎也に、消毒液と絆創膏を差し出した。
汗を拭うために、白いフェイスタオルを。
水分補給には、塩分の入った飲料を手渡した。
瑞稀のバックパックからは、とにかく何でも出てきた。
魔術も使っていないならば、その荷物も相当な重量があるに違いない。
「荷物、代わろうか?」
「いや、気にしないで。俺はいつもと同じ事してるだけだし」
「…そうか」
一度慎也が荷物交代を提案したが、一片の迷いもなく断られてしまった。
それからはあれこれ考えず、ただ歩くことだけに集中して、瑞稀に続くことにしたのだ。
少しの休憩を幾度か挟みながら、二人は前へ進んだ。
また暫く歩いた所で、瑞稀が足を止めた。
木漏れ日の中をひた進んで、やっと森を抜けたようだった。
拓けた土地が見える。
汗や泥でぐちゃぐちゃになった身体が、少し軽くなった気がした。
「…着いたよ」
「ああ」
森を抜けると、見通しの良い丘に出た。
一際大きい木があり、そこに向かう。
「…墓 か」
「うん」
木の下には瑞稀の肩幅程の、横長の石が二つ並んでいる。
その隣にバックパックをそっと下ろして、瑞稀は墓石に対面して胡座をかいた。
瑞稀の表情は見えない。
だが、何時間もかけて、魔術まで封じてここに来るという事は、ここに眠る故人は瑞稀にとって余程 大事な人ということだ。
バックパックのサイドポケットから、包まれた花を優しく取り出して、片方の墓石の前に置く。
もう片方には、ブランデーの瓶を供える。
「二宮 正親、二宮 明日美。
俺の両親の墓だ。13年前に亡くなった」
ゆっくりと瑞稀は話した。
「慎也が一回でも弱音吐いたら、強制転移でセントラルに戻そうかと思ってたんだけど。
ここまで来るなんて、お人好しにも程があるだろ」
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