* 闇の白虎

慈雨

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10.とある闇の事端

10

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「それで、これからの作戦とか考えてんの?」

「いや、具体的には…」

瑞稀が珍しく言葉を濁した。
実は、リュストルの事は全くといっていい程 情報が得られていないため、対策の立てようがないのだ。


「…だけど、ヒカリが俺に興味を持っている以上、また接触してくる可能性は充分にある。
そこを狙うしか…ないと思う」

「お前にしては、行き当たりばったりな案だな」

「うん、だからこそ、慎也には側にいて欲しいんだ。一人じゃ対処しきれない事だってあるし、新しい情報を得たら、その都度 作戦を立て直そう」

一人で抱えきれるなんて思っていない。
人よりたくさんの情報量を持った瑞稀でも、それを一人で取り計らうのは困難な事だ。


WGの白虎として入団してから、目まぐるしく変化していく状況に対処するには、信頼出来る協力者が必要だった。

自分を制御する為でもあるし、客観的に意見を聞くべきところだってある。


「目的は、リュストル討伐か?」

「一応…だけど、リュストルの狙いも探らなきゃ」

まだ、さほど前に進めてなどいないのかも知れない。だが、気持ちが前を向いてきているのは確実だった。


この、今いる部屋で十数年間ひっそりと生きてきた。

ギルドの依頼をこなしていく中で、人助けをする事は充実感を得られたし、少しの免罪符のようなものでもあった。

だからといって、過去を忘れられる訳ではないのだけれど。


瑞稀のことは、自分自身がきっと一生許せないだろう と本人も思っていた。だが、慎也に話した事で、少しだけ肩が軽くなったのも事実だった。


「慎也、ありがとう」

何度も見た悪い夢を、忘れることは出来ないし、これからも何度も繰り返し見るだろう。

でも、知ってくれている人がいる。
たったそれだけのことで、一人ではないと自覚することが出来る。


「ああ。こちらこそ」

慎也はグラスの水を飲み干した。
今一度慎也の顔を見直すが、総帥様には…あまり似ていない気がする。

まだまだ、慎也とはお互いの色々な事を話したいと瑞稀は思った。

重要な話だけではなく、たくさんの他愛のない話を。



空調の整った部屋で、一筋の汗が頭皮を伝った。

そこで初めて、瑞稀は自分が緊張していたのだと認識したのだった。
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