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10.とある闇の事端
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「それで、瑞稀の闇が“奪う能力”なら…さしずめ光は“与える能力”ってところか」
「正解だ。ほら、ククリで狐が言ってただろ?」
「はあ、これでやっとスッキリしたよ。
ヒカリが狐に魔力を与えてたって事か。それを、瑞稀が奪って元通りにしたんだな」
「そういうこと」
そこまでで一旦仕切ると、瑞稀は立ち上がって、冷蔵庫から水を取り出した。
「飲むか?」
「ああ、貰おうかな」
グラス2つに水を注ぐと、慎也の元へ持って行って、コトリとテーブルに置く。
「…一つ、瑞稀に言っておきたい事がある」
また瑞稀が椅子に座ると、慎也は少し重い雰囲気で切り出した。
「…うん、どうした?」
不安が伝染する。どちらの不安が先だか、当人たちもわからないが。
「総帥ってさ、俺の祖父なんだよな」
「ーーん?」
一瞬時が止まる。
瑞稀はハッキリと聞こえたにもかかわらず、聞き間違いかと思ってしまった。
「だから、俺は総帥の実の孫なんだ」
聞き返したところで、表現が変わっただけで やはり内容は変わらない。
瑞稀は思わず頭を抱えた。
「まじか…その可能性は全く考えなかったわ…」
「瑞稀さーん」
「記憶奪っとくか…? でも信頼するって言ったし…」
「心の声漏れてんぞ」
慎也は腕を組んで、わざとらしく大きなため息を吐いた。
「瑞稀の過去を聞いたのに、俺が言わないなんてフェアじゃないと思ってね。
瑞稀がどうするかは自由だけど、俺は瑞稀のこと信じてるし、WGにもし裏があるんなら見極めたい」
そう言った慎也の目は真っ直ぐだった。
瑞稀も慎也をじっと見詰める。
「…もちろんさっきのは冗談だけど、いいのか? 俺なんか信じて。
板挟みは一番しんどいと思うぞ」
「構わない。俺は俺の信じたいものを信じるし、WGのことも信じたい。
だいたい、祖父だって言っても、喋るようになったのはつい最近なんだよ。血縁者って自覚もあんまりないし」
「ーーわかった。
俺もWGにいる限りは、この国の役に立ちたいからな。その代わり、慎也は無理するなよ」
疑うより、信じる方が何倍も難しい。
だけど、その難しい選択をするのが慎也だ。瑞稀は、慎也の重荷にはしたくなかった。
それなら、自分も慎也の信じるものを、同じように信用して 共有したいと思うのだった。
「正解だ。ほら、ククリで狐が言ってただろ?」
「はあ、これでやっとスッキリしたよ。
ヒカリが狐に魔力を与えてたって事か。それを、瑞稀が奪って元通りにしたんだな」
「そういうこと」
そこまでで一旦仕切ると、瑞稀は立ち上がって、冷蔵庫から水を取り出した。
「飲むか?」
「ああ、貰おうかな」
グラス2つに水を注ぐと、慎也の元へ持って行って、コトリとテーブルに置く。
「…一つ、瑞稀に言っておきたい事がある」
また瑞稀が椅子に座ると、慎也は少し重い雰囲気で切り出した。
「…うん、どうした?」
不安が伝染する。どちらの不安が先だか、当人たちもわからないが。
「総帥ってさ、俺の祖父なんだよな」
「ーーん?」
一瞬時が止まる。
瑞稀はハッキリと聞こえたにもかかわらず、聞き間違いかと思ってしまった。
「だから、俺は総帥の実の孫なんだ」
聞き返したところで、表現が変わっただけで やはり内容は変わらない。
瑞稀は思わず頭を抱えた。
「まじか…その可能性は全く考えなかったわ…」
「瑞稀さーん」
「記憶奪っとくか…? でも信頼するって言ったし…」
「心の声漏れてんぞ」
慎也は腕を組んで、わざとらしく大きなため息を吐いた。
「瑞稀の過去を聞いたのに、俺が言わないなんてフェアじゃないと思ってね。
瑞稀がどうするかは自由だけど、俺は瑞稀のこと信じてるし、WGにもし裏があるんなら見極めたい」
そう言った慎也の目は真っ直ぐだった。
瑞稀も慎也をじっと見詰める。
「…もちろんさっきのは冗談だけど、いいのか? 俺なんか信じて。
板挟みは一番しんどいと思うぞ」
「構わない。俺は俺の信じたいものを信じるし、WGのことも信じたい。
だいたい、祖父だって言っても、喋るようになったのはつい最近なんだよ。血縁者って自覚もあんまりないし」
「ーーわかった。
俺もWGにいる限りは、この国の役に立ちたいからな。その代わり、慎也は無理するなよ」
疑うより、信じる方が何倍も難しい。
だけど、その難しい選択をするのが慎也だ。瑞稀は、慎也の重荷にはしたくなかった。
それなら、自分も慎也の信じるものを、同じように信用して 共有したいと思うのだった。
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