* 闇の白虎

慈雨

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11.灯りの途絶えぬ一夜

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日が傾いてからは、夜になるのはあっという間だった。
薄暗い道を、瑞稀と慎也は歩く。
何となく、少し気まずい空気をお互いに感じていた。


「瑞稀」

慎也が沈黙を破った。
柔らかい物言いで、少し瑞稀は安心する。


「俺は感謝してるんだ」

「…慎也」

宥めるように言う慎也の口調は、瑞稀の考えなんてお見通しだと言わんばかりである。


「総帥の孫だってのは形だけで、この国の事なんて興味なかったんだ。
ただ、目の前の人を助けられて、そのために自分の力が使えればいいと思ってた」

大きく全体が見えないものよりも、手が届く範囲を精一杯救いたい。
慎也らしい考えだ。


「だけど、幼い頃からずっと見てきたWGにさえ、俺の知らない事がたくさん起きていた。
デリーの町の隠蔽や……瑞稀の13年前の実験も。調べれば、世に出ていない隠された過去がもっと出てくると思う」

隠すのは、不都合があるからだと慎也は考える。
公にすると、WGの信用問題に関わることや、簡単に悪用されてしまうような事柄。


「出来る限り、それを知りたい。
ーー俺がWGのやり方を変えてやる」

慎重に、ゆっくりと慎也は言い切った。


瑞稀はゴクリと唾を飲み込んだ。


「慎也…俺、鳥肌立った…」

揶揄からかうなよ。…俺もこんなんなってる」

慎也は自分の握りこぶしを瑞稀に見せる。
小刻みに震えて、力が入り過ぎた腕に視線を向けて、2人はふっと同時に笑った。


「ーービビってるな、俺たち」

「そうだな。めちゃめちゃビビってる」

そうして ひとしきり笑いほうけた後、大きく呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせた。

一番星がひときわ明るく見える。


「瑞稀でも動揺するんだな」

「当たり前だろ。人間なんだから」

「…そうだよな」

2人はポツリ ポツリと短い言葉で会話した。
静かな夜に相応しい、心地良いテンポだ。


「世界を相手にするなんて、どうかしてる」

「だな。俺ら消されるかも」

双方冗談っぽく笑う。


「総帥の孫は消されないだろ」

「血縁は選べない。不本意だ。
ーー瑞稀こそ最強の力持ってるだろ」

「俺だって、好きで闇を持ったんじゃねえよ」

言葉とは裏腹に、2人は穏やかに話していた。
お互いに、選択出来ない運命に縛られていたのだと実感する。
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