* 闇の白虎

慈雨

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11.灯りの途絶えぬ一夜

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直隆が調べた範囲では、地図上からもその町は抹消されており、それはさかのぼって調べても同じ事だった。

30年という、歴史の視点から見ると 決して長くはない年月ねんげつの中で、人々に語られることもない。
そんなことが出来るのは、大きな力が動いている他は考えられなかった。


「ーーつまり、政府WGぐるみで隠蔽したってわけだな」

ゆっくりと慎也が言う。
頭の整理をしながら聞いていたが、ようやく一番 噛み合ってしまう仮定が弾き出たらしい。

ぎゅっと目を瞑って、眉間に皺を寄せる。


「そうだな。それはきっと、間違いはないと思う。
ただ、どうして町がなくなってしまったのかーー例えば、疫病えきびょうが町に充満したのかもしれないし、反政府軍によるテロかもしれない」

瑞稀は説明したが、慎也はそれでは納得がいかない様子だった。


「でも! それだったら、町の存在ごと消す必要はない筈だ。
調べられたら困るから、WGは隠したんだろう」

「…慎也」

感情的になっていく慎也を、瑞稀が制した。
慎也の肩に手を置き、至極穏やかな声で語りかける。


「何があったか、調べよう。
結論を出すのは それからでも遅くない」

そう言って、瑞稀は直隆に向き直る。


「直隆さん、まだ協力してくれる? ちょっと危険かも知れないけど」

「…ちょっとどころじゃない。既に両足を泥沼に突っ込んでる気分だ」

直隆はアピールせんとして溜め息をついた。

瑞稀の頼み事は頻繁にある訳ではないため、出来るなら力になりたいと思っている。
だが、たまに協力を要請される時こそ、大きく危険な依頼が殆どなのだ。


「ーー学園長、俺からもお願いします。全てを確かめたい。
デリーという町がどうして滅びて、それが隠蔽されたのか…。総帥がデリーとそっくりな町を作ったのは、何故なのか」

慎也がこうして、信じていたものを疑って、頭を悩ませるのは、瑞稀は予想出来た事だった。


何も知らなければ、幸せでいられたかもしれない。

あるいは、二人が出会った事は、慎也にとっては悲運の始まりだったと言われれば、否定は出来ない。


瑞稀は拳を強く握る慎也を見て、そう思わずにはいられなかった。
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